コンクリートを踏む靴音がかすかに響きます。デッキの下にあるのは、茶色く濁ってゆったりと流れるブリスベン川だけです。リバーウォークは水面の上へと張り出し、川の湾曲に沿って市街地からニューファームへと続いています。振り返ればオフィスビルが立ち並び、行く手にはストーリー・ブリッジの鋼鉄の桁が見えてきます。
ブリスベンの街の成り立ちをつかむのに、これほど手軽な方法はそう多くありません。料金は一切かからず、ランニングシューズでもサンダルでも気軽に歩けます。
ルートの概要
市街地側の起点はイーグル・ストリート周辺で、住所は45D Eagle St, Brisbane Cityとされています。ここから川べりに沿って下流方向へと進みます。
ニューファームへ向かう途中には、次のような場所があります。
- ハワード・スミス・ワーブズ(Howard Smith Wharves):崖の下にひっそりと佇む埠頭地区を修復したエリアで、レストランやバーが集まっています
- ストーリー・ブリッジ(Story Bridge):橋のちょうど真下をくぐり抜けます
- ニューファーム・リバーウォーク(New Farm Riverwalk):水上に長く延びる区間です
- 終点側にはニューファーム・パーク(New Farm Park)と、アートセンターのブリスベン・パワーハウス(Brisbane Powerhouse)があります
のんびり歩いた場合、全行程にかかる時間は、立ち止まる回数にもよりますが、たいていの人で45分から1時間半ほどです。訪れた人からの評価は常に高く、その理由は特定の名所というより、主に道中の眺めにあります。
洪水が生んだ二代目の遊歩道
現在歩ける区間は、実は二代目にあたります。ブリスベンの初代リバーウォークは水に浮かぶ浮き桟橋式の遊歩道でした。2011年1月の洪水で本体が外れてしまい、大きな残骸が河口へ向かって流されていきました。
その後継として2014年に開通したのが今の遊歩道です。洪水に浮かんでやり過ごすのではなく、洪水に耐えることを前提に造られています。浮き台ではなく固定された橋脚の上に建っているため、川が増水しても流されることはありません。
この経緯を知ると、構造物の見え方が変わってきます。頑丈な支柱も、水面からデッキまでの高さも、飾りではなく洪水対策のための設計なのです。穏やかに見えるこの川が、過去に何度も急激に水位を上げてきたことを、静かに物語っています。
アクセスと帰り道
いちばん簡単なのは、片道を歩いて、帰りはシティキャット(CityCat)のフェリーに乗るプランです。フェリーはまさにこの区間の川を行き来しており、イーグル・ストリート近くのリバーサイド(Riverside)、ハワード・スミス・ワーブズ、ニューファーム・パークにそれぞれ乗り場があります。出発前にトランスリンク(Translink)の時刻表を確認しておきましょう。
徒歩の場合、クイーン・ストリート・モール(Queen Street Mall)やセントラル駅(Central Station)から中心業務地区を抜けて、イーグル・ストリート側の起点まで楽に歩けます。ニューファーム側から歩き始めるなら、公園とパワーハウスのそばが起点です。逆方向に歩いて、最後は市街地で夕食をとるという楽しみ方もできます。
夕暮れどきの散策
川の向こう岸には、カンガルー・ポイント・クリフス(Kangaroo Point Cliffs)がそびえています。日が傾くと、低い陽光が岩肌を照らし出し、背後の市街地ではビル群の明かりが灯り始めます。
日が落ちるとストーリー・ブリッジがライトアップされ、デッキの照明のおかげで暗くなっても問題なく歩けます。多くの人が足を止めて写真に収めるのは、上流の中心業務地区の高層ビル群を振り返る眺めです。ちょうど中間地点にあるハワード・スミス・ワーブズは、一杯飲んでひと休みするのにうってつけです。そのまま散策を続けても、ここからフェリーに乗ってもよいでしょう。
ブリスベンは亜熱帯気候です。おおむね5月から9月にかけては穏やかで乾燥した日が続き、散策には理想的な季節です。一方、夏の日中は開けた水面に照りつける日差しが厳しく、川の上には日陰がほとんどありません。早朝か夕方に歩くほうがずっと快適です。
通勤者と上手に共存するために
リバーウォークは観光用の遊歩道であると同時に、日常的に使われる通勤路でもあります。いくつかの心得を押さえておくと安心です。
- 歩行者レーンを歩きましょう。 遊歩道は歩行者用と自転車用のレーンに分かれています。市街地へ出勤する自転車はスピードを出しており、レーンが空いていることを前提に走っています。
- 左側通行を守りましょう。 オーストラリアでは歩行者も自転車も左側を通行し、追い越しは右側から行います。
- 写真を撮るときは脇に寄りましょう。 街並みを撮ろうとしてレーンの真ん中で急に立ち止まるのが、旅行者がヒヤリとする場面を招くいちばんの原因です。
- フェリーはタッチで乗車します。 シティキャットではゴーカード(go card)のほか、タッチ決済対応の銀行カードやスマートフォンが使えます。乗り場の読み取り機で、乗船時と下船時の両方にタッチしてください。
- 夏は水を持参しましょう。 いったん水上の区間に入ると、日差しを避けられる場所はありません。
平日の朝と夕方は通勤時間帯にあたるため、ジョギングや自転車の利用者で混み合います。のんびり散策したいなら、この混雑する時間帯を外すとゆとりをもって歩けます。
両端で楽しめるスポット
この散策路は、二つのエリアをつなぐルートとして歩くと最も楽しめます。ニューファーム側のニューファーム・パークには、広々とした芝生や日陰をつくる大木があり、川辺でピクニックも楽しめます。かつての発電所をアート施設に生まれ変わらせたブリスベン・パワーハウスでは、公演や週末マーケットがよく開かれています。日程は施設のプログラムでご確認ください。
市街地側では、川沿いに少し上流へ歩くとシティ・ボタニック・ガーデンズ(City Botanic Gardens)があります。対岸のカンガルー・ポイント・クリフスには、展望スポットや崖の上を通る遊歩道が整っています。ストーリー・ブリッジを歩いて渡ればたどり着けるうえ、橋の上からリバーウォークを見下ろすこともできます。
これらを組み合わせれば、半日で回れる周遊コースが完成します。まずリバーウォークを歩いてニューファームへ向かい、シティキャットで戻ります。そのあと崖を登り、さきほど歩いた遊歩道を上から眺めてみてください。出かける前には、特に大雨のあとは、補修工事による通行止めがないかブリスベン市議会(Brisbane City Council)のお知らせを確認しておきましょう。
よくある質問
ブリスベン・リバーウォークを歩くのにどれくらい時間がかかりますか?
イーグル・ストリート側からニューファームまでのんびり歩くと、立ち止まる回数にもよりますが、45分〜1.5時間ほどかかります。片道を歩き、帰りはシティキャットのフェリーに乗る人が多くいます。
リバーウォークの起点へはどう行けばよいですか?
市街地側の起点は45D Eagle St, Brisbane City周辺で、クイーン・ストリート・モールやセントラル駅から楽に歩いて行けます。シティキャットのリバーサイド、ハワード・スミス・ワーブズ、ニューファーム・パークの各乗り場も、いずれもルートのすぐ近くにあります。フェリーではゴーカードのほか、タッチ決済対応のカードやスマートフ���ンが使えます。
歩くのにいちばんよい時間帯はいつですか?
夕方から日暮れにかけての時間帯なら、夕日に照らされるカンガルー・ポイント・クリフスや、ライトアップされたストーリー・ブリッジを楽しめます。最も快適な季節は5月から9月です。夏は水上に日陰がほとんどないため、日中の散策は避けましょう。
ブリスベン・リバーウォークは自転車でも通れますか?
はい、通れます。遊歩道は自転車用と歩行者用のレーンに分かれています。通勤の自転車がスピードを出して走っているので、自分のレーンを守り、左側に寄って通行してください。
周辺にはどんな見どころがありますか?
ルート沿いにはハワード・スミス・ワーブズとストーリー・ブリッジがあります。ニューファーム側の終点にはニューファーム・パークとブリスベン・パワーハウスがあります。市街地側の起点からは、シティ・ボタニック・ガーデンズやカンガルー・ポイント・クリフスへも少し歩けば行けます。
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