赤錆色の石が4層に積み重なる塔
空に向かって、塔の壁が一面だけそびえています。積み上げられているのはラテライトで、4層になっています。ラテライトとは、ポルトガル人がオールド・ゴア(Old Goa)で建てたほとんどの建物に使われた、穴の多い赤褐色の石です。高さ46mの塔は今もホーリー・ヒル(Holy Hill)でいちばん高い建造物です。聖アウグスティヌス教会のうち、人の背丈より高く残っている部分はこの塔しかありません。
塔の足もとには、教会の跡が広がっています。低い壁や崩れた柱の台座が並び、屋根のなくなった礼拝堂には草が生えています。かつて身廊だった場所を歩いて横切れるのも、ここならではです。アーチ形の開口部の向こうには、ただ空が見えるだけです。
大教会が崩れ落ちるまで
アウグスティノ会の修道士たちがこの教会群を完成させたのは1602年のことです。ポルトガル領ゴアでも指折りの大きな教会でした。しかし、修道会がなくなると教会も運命をともにします。1835年に修道会が廃止されて修道士たちが去ると、建物を手入れする人はいなくなりました。
1842年には丸天井が崩落しました。1930年代にはファサードと塔の大部分も崩れ、今見られるような層を重ねた外壁だけが残りました。大鐘はパナジ(Panaji)の無原罪の御宿りの聖母教会に移されました。今もその白い階段の上に吊るされています。
この遺跡は、ユネスコ世界遺産「ゴアの教会群と修道院群」の構成資産のひとつです。ここで発掘調査を行った考古学者たちは、聖ケテヴァンゆかりの遺物も確認しました。聖ケテヴァンはペルシャで殉教したジョージアの王妃です。ジョージアからわざわざ訪れる人がいるのは、そのためです。
ホーリー・ヒルへの行き方
オールド・ゴアは、マンドヴィー川に沿ってパナジから東へ約10kmのところにあります。パナジのカダンバ・バススタンド(Kadamba bus stand)からオールド・ゴア行きの路線バスが出ています。タクシーやレンタルスクーターを利用するのも一般的です。鉄道なら、コンカン鉄道のカルマリ(Karmali)駅が最寄りです。
塔は、オールド・ゴアの中心にある教会群の裏手から路地を上った先にあります。ボム・ジェズ教会からは、上り坂を少し歩けば着きます。途中では、同じ丘に立つサンタ・モニカ修道院とロザリオの聖母礼拝堂の前を通ります。
人混みを避けて遺跡を歩くには
ここはオールド・ゴア巡りの定番スポットで、ツアーバスもよくやって来ます。比較的すいているのは、平日なら午前9時〜11時、週末なら午前9時〜10時です。週末の午前11時〜午後5時は、ボム・ジェズ教会を見終えた団体客が次々に押し寄せます。この時間帯の到着はできるだけ避けましょう。
次のような点を心がけると、見学しやすくなります。
- 早い時間に訪れるのがおすすめです。 人が少ないだけでなく、光もきれいです。朝は低い角度から日差しがラテライトを照らします。昼ごろになると、丘の上には日陰がほとんどありません。
- 遊び場ではなく遺跡として接しましょう。 塔には登れません。崩れかけた壁の上は写真映えしそうに見えますが、乗らないようにしてください。
- 服装は隣の教会に合わせましょう。 遺跡そのものは礼拝の場ではありません。ただ、多くの人はボム・ジェズ教会やセ・カテドラルとあわせて訪れ、そちらでは今もミサが行われています。肩と膝が隠れる服装なら、一日を通して困ることはありません。
- 詳しいことは入口で確認しましょう。 この遺跡は保護記念物として管理されています。入場のルールや、チケットが必要な場合はその案内が入口に掲示されています。最新情報はインド考古調査局(Archaeological Survey of India)の公式案内でも確認できます。
現在の案内では、開館時間は午前9時〜午後5時です。ただし、歴史遺産の開館時間は時期や祝日によって変わります。わざわざ足を運ぶ前に確認しておくと安心です。
オールド・ゴアのほかの見どころとあわせて
遺跡での滞在時間は、30〜45分ほどが一般的です。教会の跡を歩き、案内板を読み、下から塔を撮影するには十分な時間です。半日かけて歩いて巡るルートに組み込むのがいちばんです。
- ボム・ジェズ教会: 丘のふもとにあり、聖フランシスコ・ザビエルの墓所があります。
- セ・カテドラル: 大通りの向かい側に立つ、白壁の巨大な大聖堂です。
- アッシジの聖フランチェスコ教会: セ・カテドラルの隣にあります。かつての修道院の建物は考古学博物館になっています。
- サンタ・モニカ修道院: 塔へ向かう坂道の途中にあります。
- ロザリオの聖母礼拝堂: 丘の端に立ち、マンドヴィー川を見下ろせます。
訪問の計画を立てるなら
日差しを遮るもののない丘の上の遺跡を歩くなら、11月〜2月がおすすめです。雨が少なく、もっとも過ごしやすい時期です。おおむね6月〜9月のモンスーンの時期には、草が緑に色づき、ラテライトは雨に濡れて黒ずみます。道が滑りやすくなるため、この時期に訪れるなら滑りにくい靴を履いていきましょう。
季節を問わず、水は持参してください。丘の上ではほとんど手に入りません。塔は午前中に訪れ、午後は川沿いやパナジの古い街並みが残るフォンタイニャス(Fontainhas)地区で過ごすのがよいでしょう。
よくある質問
聖アウグスティヌス教会の塔がいちばんすいているのはいつですか?
平日は午前9時〜11時、週末は午前9時〜10時が比較的すいています。週末の午前11時〜午後5時はもっとも混み合う時間帯なので、避けることをおすすめします。
パナジから聖アウグスティヌス教会の塔へはどう行けばよいですか?
オールド・ゴアはパナジの東約10kmにあります。カダンバ・バススタンドから路線バスが出ており、タクシーやスクーターを使う人も多くいます。塔はホーリー・ヒルの上にあり、ボム・ジェズ教会から上り坂を少し歩けば着きます。
塔には登れますか?
登ることはできません。1842年以降に段階的に崩れた教会のなかで、唯一残っているのがこの塔です。傷みやすい遺構なので、見学は地上から行います。周囲では、発掘された教会の跡を歩いて回れます。
見学にはどのくらいの時間をみておけばよいですか?
遺跡だけなら30〜45分ほどです。ボム・ジェズ教会、セ・カテドラル、アッシジの聖フランチェスコ教会、考古学博物館もあわせて巡るなら、半日ほどみておきましょう。
開館時間を教えてください。
現在の案内では午前9時〜午後5時です。ただし、歴史遺産の開館時間は季節や祝日によって変わることがあります。お出かけ前に、現地の掲示や公式の案内でご確認ください。
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