配送用のバンがやっと通れるほどの路地
ハジ・レーンは短くて幅の狭い路地です。アスファルトの道を挟んで、低いショップハウスが2列に向かい合っています。シャッターや側壁、上階には一面にペイントが施されています。壁画やレタリング、色面のデザインは、店が入れ替わるたびに塗り直されて姿を変えていきます。
1階には個人経営の小さなブティックや古着店、カフェ、バーが並んでいます。2階に目を向けると、鎧戸の閉まった窓や古い木製のルーバーが残っています。端から端まで歩いても数分で終わってしまう距離です。だからこそ、ゆっくり歩いて気になる店にふらりと立ち寄るのがこの路地の楽しみ方です。
巡礼者の路地がデザインの街になるまで
「ハジ」という名前は、メッカ巡礼を意味する「ハッジ」に由来します。植民地時代のシンガポールで、カンポン・グラムはマレー系とアラブ系の人々が暮らす地区でした。メッカへ船出する前の巡礼者たちは、この路地に宿をとっていたといわれています。間口が狭くて背の低いショップハウスが軒を接して建っていますが、どれもその時代の建物です。
クリエイティブな店が集まり始めたのは、ずっと後のことです。1階には独立系のファッションブランドやレコード店、雑貨店、小さなバーが次々と入りました。ストリートアートが描かれるようになったのはその後です。数分先のブギス・ストリートに比べると、今も人通りはそれほど多くありません。周りをゆっくり眺める余裕があること、それこそがこの路地を訪れる理由です。
ブギスからのアクセス
いちばん簡単なのは、MRT東西線またはダウンタウン線でブギス駅(Bugis Station)まで行くルートです。地上に出たらビクトリア・ストリート方面へ進み、ブギス・ジャンクションの前を通って北東へ歩きます。路地までは徒歩約10分です。
- ビーチ・ロード側からなら、ニコル・ハイウェイ駅(Nicoll Highway Station、サークル線)からも同じくらいの距離です。
- ハジ・レーンは、ノース・ブリッジ・ロードとビーチ・ロードの間をアラブ・ストリート(Arab Street)と平行に通っています。
- タクシーや配車サービスなら、名前を告げるだけで通じます。住所は69 Haji Ln, Singapore 189262です。
昼はショッピング、夜は一杯
ハジ・レーンは公道なので、閉まる時間はありません。ただし沿道の店はそれぞれの営業時間で営業していて、店ごとに違います。ブティックは昼前に開く店が多いようです。バーがにぎわうのは夕方以降で、テーブルやスツールが道端まではみ出します。
人の少ない壁画を撮りたいなら、ほとんどの店がまだシャッターを上げていない朝のうちが最適です。特に見事なペイントの中にはシャッターに描かれたものもあるので、それを見られるのもこの時間帯だけです。夜になったら、改めて一杯飲みに訪れましょう。シンガポールは暑いので、午後の半ばは屋外で過ごすのがいちばんつらい時間帯です。
迷惑をかけずにハジ・レーンを歩くには
小さな路地なので、ここで働く人たちは一日中カメラを向けられています。次のような点に気をつけると、お互いに気持ちよく過ごせます。
- 入口をふさがないこと。 店先は撮影スポットとして人気があります。撮り終えたら、お客さんが出入りできるよう脇に寄りましょう。
- 店員や店内を撮るときは、先に声をかけましょう。 商品の撮影を断っているブティックもあります。
- バンに注意。 今も配送車が通るので、エンジン音が聞こえたら端に寄りましょう。
- 支払いは簡単です。 シンガポールではカードやタッチ決済、PayNowのようなQRコード決済が広く使われています。ごく小さな店に備えて、現金も少し持っておくと安心です。
- チップは不要です。 チップを渡す習慣はありません。着席して食事をする店の多くでは、サービス料が勘定に含まれています。
カンポン・グラムは今もムスリムの街で、中心には現役のモスクがあります。サルタン・モスクの中に入るつもりなら、それにふさわしい服装で出かけましょう。入口ではローブを貸してもらえます。礼拝の時間帯、特に金曜の昼は見学が中断されます。最新の見学時間はモスクの公式サイトに掲載されています。
カンポン・グラムの周辺スポット
ハジ・レーンは、地区全体をぐるりと巡るコースに組み込むと、いっそう楽しめます。
- サルタン・モスク(Masjid Sultan): ブッソーラ・ストリートの突き当たりに建つ、金色のドームを戴くモスクです。この地区の歴史の中心でもあります。
- ブッソーラ・ストリート(Bussorah Street): ヤシの並木が続く歩行者専用の通りで、正面にモスクのドームを望めます。
- アラブ・ストリート: 1ブロック隣の通りで、布地やバティック、絨毯の店が並んでいます。
- マレー・ヘリテージ・センター(Malay Heritage Centre): かつてのスルタンの宮殿、イスタナ・カンポン・グラム(Istana Kampong Gelam)の建物を使っています。
- ノース・ブリッジ・ロード(North Bridge Road): モスクの向かいに、ムルタバやビリヤニで知られる老舗の食堂が並んでいます。
- バリ・レーン(Bali Lane): すぐ近くにある、さらに小さく静かな路地です。ショップハウスの規模はハジ・レーンとよく似ています。
無理のない回り方としては、昼前にハジ・レーンを散策し、昼食はノース・ブリッジ・ロードで済ませ、午後にモスクとヘリテージ・センターを訪れるのがおすすめです。夕方になったら、また路地に戻って一杯楽しみましょう。
よくある質問
ハジ・レーンの最寄りのMRT駅はどこですか?
東西線とダウンタウン線が乗り入れるブギス駅が最寄りで、歩いて約10分です。ビーチ・ロード側から向かうなら、サークル線のニコル・ハイウェイ駅も利用できます。
ハジ・レーンは夜も入れますか?
はい、入れます。公道なので24時間通行できます。ただし営業時間は店やバーによって異なります。ブティックは昼前に開く店が多く、バーがにぎわうのは夕方以降です。
ハジ・レーンの所要時間はどのくらいですか?
路地だけなら1時間ほどです。サルタン・モスクやブッソーラ・ストリート、アラブ・ストリート、マレー・ヘリテージ・センターもあわせて巡るなら、半日を見込んでおきましょう。
壁画の撮影に最適な時間帯はいつですか?
ほとんどの店が開く前の朝のうちです。写り込む人が少ないうえ、ペイントされたシャッターもまだ下りたままなので、その絵も撮影できます。
サルタン・モスクも一緒に訪れることはできますか?
はい、歩いて2〜3分の距離です。肌の露出を控えた服装で訪れましょう(入口でローブを借りられます)。礼拝の時間帯、特に金曜日は見学が中断されるので、見学時間はモスクの公式サイトで確認してください。
カンポン・グラム旅行の準備
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