9世紀の遺跡を背にしたスタートライン
まだ暗いうちにスタートラインに並ぶと、すぐ隣にそびえているのが世界最大の仏教遺跡です。ボロブドゥールは8〜9世紀にシャイレーンドラ朝が築いたもので、灰色の安山岩を山のように段々に積み上げた建造物です。500体を超える仏像が安置され、上部のテラスには釣鐘形のストゥーパが72基並んでいます。
バンク・ジャテン・ボロブドゥール・マラソンは、このユネスコ世界遺産の周囲をめぐるコースで行われる大会で、2026年は11月15日に開催が予定されています。
大会名は、冠スポンサーである中部ジャワの地方開発銀行、バンク・ジャテン(Bank Jateng)に由来します。これまでの大会では、フルマラソンに加えて短い距離の種目も用意されてきました。最新の種目や参加規定、エントリー用のリンクは、主催者がボロブドゥール・マラソンの公式サイトで公開しています。
大会の舞台:ボロブドゥールとクドゥ平野
ボロブドゥールがあるのはマゲラン県で、マゲラン市ではありません。寺院が建つクドゥ平野(Kedu Plain)は、ジョグジャカルタの北西およそ40 kmに広がる盆地です。火山性の肥えた土に水田が連なっています。これまでの大会では、寺院の敷地内にある開けた公園、タマン・ルンビニ(Taman Lumbini)がスタート・フィニッシュ会場になってきました。
この公園は、レース当日の朝に大きな役割を果たします。平らで広く、ところどころに木陰もあるので、手荷物預かりやウォーミングアップをするランナーの人波、ゴール後の休憩テントまで無理なく収まります。フィニッシュ前の直線からは、たいてい木々の上に寺院のシルエットを望めます。
火山の稜線に向かって走る
ほぼ四方を山に囲まれたレースです。クドゥ平野の周りには火山が連なり、よく晴れた朝には、走るにつれてさまざまな山が次々と姿を見せます。
- ムラピ山(Merapi):東にそびえるインドネシアで最も活発な火山で、山頂から噴煙が上がっていることもよくあります
- ムルバブ山(Merbabu):そのすぐ北に連なる、ムラピより穏やかで裾野の広い山です
- スンビン山(Sumbing)とシンドロ山(Sindoro):北西に並ぶ双子の円錐形の山です
- ムノレ丘陵(Menoreh Hills):南から西にかけて長く続く緑の尾根です
山々のあいだを縫うように、水田やココヤシ、瓦屋根の家々に沿った村道を走ります。幹線道路ではなく寺院周辺のカンポン(村)を抜けるルートなので、路面はアスファルトになったり細い路地になったりします。ゆるやかな起伏はあるものの、平野なのでおおむね平坦です。だからこそ景色が主役になるのです。
中部ジャワでは、11月は雨季の始まりにあたります。朝から蒸し暑く、この時期は午後に激しいにわか雨が降ることも珍しくありません。こうした気候のため、この地域の持久系レースは夜明け前にスタートするのが一般的です。ランナーは暑さが厳しくなる前にゴールしたいと考えるからです。
ジョグジャカルタやスマランからマゲランへ
海外からのランナーの多くは、ジョグジャカルタに空路で入ります。ジョグジャカルタ国際空港(YIA)は市の西側のクロン・プロゴ(Kulon Progo)にあり、ここからボロブドゥールへはムノレ丘陵のふもとを抜けて車で向かいます。ジョグジャカルタ中心部からは車で通常1時間から1時間半ほどで、所要時間はスレマン(Sleman)周辺の渋滞次第です。
もうひとつの玄関口は、中部ジャワの州都スマランです。スマランのアフマド・ヤニ国際空港は、車で北へ2〜3時間ほどの距離にあります。ジョグジャカルタとマゲランでは、グラブ(Grab)やゴジェック(Gojek)などの配車アプリが使えます。旅行者のあいだでは、運転手付きの車を1日貸し切るのもよくある方法です。
どこに泊まるかは、夜明け前にどれだけ移動してもよいかで決まります。
- ボロブドゥール村:寺院の敷地まで歩いて、または車ですぐの距離にゲストハウスや小規模なホテルがあり、レース当日の朝はいちばん楽です
- マゲランの町:北へ約15 kmの場所にあり、大きめのホテルや飲食店が多くそろっています
- ジョグジャカルタ:宿の選択肢は最も豊富で、街のグルメやナイトライフも楽しめます。ただし夜明け前に長距離を移動しなければなりません
深夜から早朝にかけては配車アプリの車がつかまりにくいため、ジョグジャカルタに泊まるランナーは前の晩のうちに移動手段を手配しておくのが一般的です。
ボロブドゥール周辺の村道で応援する
沿道で声援を送るのは、ほとんどが自宅の門の前に立つ地元の人たちです。カンポンの路地には家族連れが繰り出し、子どもたちはハイタッチをしようと手を差し出してくれます。例年、地元の芸能グループがコース沿いのあちこちで演舞を披露してきました。ガムランや太鼓、竹を編んだ馬にまたがって踊るジャワのトランス舞踊、クダ・ルンピン(kuda lumping)などが見られるでしょう。
ランナーでも観客でも、次のような習慣を心得ておくと地元に溶け込みやすくなります。
- インドネシア語で応援しましょう。 沿道から飛んでくる「スマンガット!(Semangat!)」は「がんばれ、元気を出して」という意味です。「アヨ!(Ayo!)」(さあ行け!)も使えます。
- お礼を伝えましょう。 給水所のボランティアに「トゥリマ・カシ(Terima kasih)」とひと言かけるだけで、ずいぶん喜ばれます。ジャワ語の「マトゥル・ヌウン(matur nuwun)」なら、笑顔が返ってくるはずです。
- 支払いは地元流で。 寺院近くの小さなワルン(家族経営の食堂・屋台)は、ほとんどが現金払いです。大きめの店やカフェでは、インドネシアの全国統一QR決済規格QRISが広く使え、多くの銀行アプリで読み取れます。
- お金や食べ物の受け渡しは右手で。 ジャワ全域に共通する基本的なマナーです。
- 田んぼには気を配りましょう。 水田のあぜも誰かの農地です。観客は苗の植わった田に足を踏み入れず、道の端で応援します。
写真に寺院を収めたい観客は、たいてい敷地内のスタート・フィニッシュ付近に集まります。村の雰囲気を味わいたい人は、数キロ離れた路地まで足を延ばします。
脚が回復したら寺院を見学
ボロブドゥールは、スタート待機エリアからちらりと眺めるだけではもったいない遺跡です。この建造物は巡礼の道として造られています。9層に積み重なった基壇を時計回りに歩いて上り、仏教の教えやジャワの宮廷生活を描いたレリーフを眺めながら、中央の大ストゥーパを目指します。
近年は石材を保護するため、上部テラスへの立ち入りが厳しく管理されています。上る場合は人数の限られたグループでガイドと一緒に回り、現地で貸し出される編み草履(ウパナット)を履きます。建造物本体の見学ルールやチケットの種類は、ボロブドゥールの公式チケットサイトと入口に掲示されています。敷地内では、肩とひざを隠す服装が基本です。
すぐ近くにある2つの小さな寺院も合わせて訪れると、見学がより充実します。
- ムンドゥッ寺院(Mendut Temple):東へ約3 km。2体の菩薩を脇に従えた大きな仏坐像が安置されています
- パウォン寺院(Pawon Temple):ムンドゥッ寺院とボロブドゥールを結ぶ一直線上にある小さな祠堂です
レース後に1〜2日滞在して、これらの寺院を訪ねるランナーも少なくありません。2つの寺院をめぐるルートなら、疲れた脚でも気軽に出かけられます。
朝日の丘と旅の続き
平野を囲む丘は、霧の上にボロブドゥールが浮かび上がる朝日の絶景で知られています。最も有名なビューポイントは、寺院の西のムノレ丘陵にあるプントゥック・スティンブ(Punthuk Setumbu)です。駐車場から少し坂道を歩けばたどり着けます。近くのブキット・レマ(Bukit Rhema)は丘の上に建つ祈りの家で、地元では「ゲレジャ・アヤム(Gereja Ayam)」、つまり「ニワトリ教会」と呼ばれています。ここからもまた違った稜線の眺めが楽しめます。
旅の締めくくりにジョグジャカルタを訪れる人も多くいます。市の反対側には、9世紀に築かれた壮大なヒンドゥー寺院群プランバナンがあります。旧市街の中心、マリオボロ通りの近くには、スルタンの王宮クラトンが構えています。ボロブドゥールとプランバナンを一度の滞在で両方めぐるのが中部ジャワ観光の定番コースで、レースウィークはそれを実行する絶好の機会になります。
よくある質問
ボロブドゥール・マラソン2026はいつ開催されますか?
バンク・ジャテン・ボロブドゥール・マラソンは、2026年11月15日に中部ジャワのマゲラン県で開催される予定です。種目やエントリー用のリンクは、主催者がボロブドゥール・マラソンの公式サイトで公開しています。
スタートとフィニッシュはどこですか?
これまでの大会では、ボロブドゥール寺院の敷地内にある公園、タマン・ルンビニ(Taman Lumbini)がスタート・フィニッシュ会場になってきました。コースはそこから寺院周辺のクドゥ平野に広がる村々や水田をめぐります。
ジョグジャカルタからボロブドゥールへはどう行けばよいですか?
ボロブドゥールはジョグジャカルタの北西およそ40 kmにあり、車で通常1時間から1時間半ほどです。この地域ではグラブ(Grab)もゴジェック(Gojek)も利用でき、運転手付きの車を借りるのも一般的です。もうひとつの玄関口はスマランの空港で、2〜3時間ほどかかります。
ランナーはどこに泊まることが多いですか?
レース当日の朝の移動を最短にしたい人はボロブドゥール村に、北へ約15 kmのマゲランの町に、あるいはホテルの選択肢が最も多いジョグジャカルタに泊まるのが一般的です。ジョグジャカルタに泊まる人は、前の晩のうちに夜明け前の移動手段を手配しておくのがふつうです。
旅行中にボロブドゥール寺院に上ることはできますか?
はい、できます。ただし上部テラスへの立ち入りは管理されています。見学者は人数の限られたガイド付きグループで回り、現地で貸し出される編み草履ウパナットを履きます。チケットの種類やルールは、ボロブドゥールの公式チケットサイトと入口に掲示されています。
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