一万人が全曲を歌える夜
マックス・ペッツァーリのライブに集まる観客は、最初から全曲を知っています。1990年代に十代だった世代が、今では十代のわが子を連れてやって来ます。歌詞をよく覚えているのは、たいてい子どもより大人のほうです。2027年1月4日、ミラノで最も新しいアリーナ、ウニポル・ドームがそんなファンで埋め尽くされます。コンサートというより、会場全体での大合唱に近い一夜になるでしょう。
公演日は月曜日です。しかもイタリアのクリスマス休暇の最終盤にあたり、この点が思いのほか大きな意味を持ちます。詳しくは後ほどご紹介します。
イタリア中が一緒に歌う理由
ペッツァーリが育ったのは、ミラノから電車で南へ30分ほどの町パヴィアです。1990年代初め、883のボーカルとして一躍有名になりました。友情やスクーター、うまくいかない片思い、何もすることのない土曜の夜など、小さな町の日常を歌ったバンドです。飾らない言葉で綴られた歌は、ひとつの世代にまるごと受け入れられました。
アリーナが特に大きな声で歌うのは、次のような曲です。
- 「Hanno ucciso l’Uomo Ragno」:1992年、ブレイクのきっかけとなった曲
- 「Nord sud ovest est」
- 「Come mai」
- 「Gli anni」:郷愁を誘う一曲で、セットリストの終盤に置かれることが多い
- 「La regola dell’amico」
- 「Sei un mito」と「Tieni il tempo」
2022年以降、サン・シーロやローマのチルコ・マッシモなど、国内屈指の大会場でも公演を重ねてきました。それに比べると、屋内アリーナでのライブはぐっと密度が高く感じられます。会場全体がひとつになって歌うのです。
サンタ・ジュリアのウニポル・ドーム
このアリーナは、ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックのアイスホッケー会場として建設されました。ウニポルが命名権を取得するまでは、アレーナ・サンタ・ジュリアと呼ばれていました。設計はデイヴィッド・チッパーフィールド・アーキテクツです。ロゴレドとサンタ・ジュリアの集合住宅群に挟まれた再開発エリアに、なめらかな楕円形の外殻が収まっています。
外観は、装飾のない淡い色の曲面の壁だけというあえて簡素なつくりです。内部の座席数は約16,000席です。客席の傾斜が急なため、上層席でも古いパラスポルト(屋内競技場)よりステージが近く感じられます。新しい建物なので、イタリアの古いアリーナにありがちな、くたびれたコンクリートの通路とも無縁です。
ロゴレドへのアクセス
来場者のほぼ全員がミラノ・ロゴレド駅を利用します。この駅の存在こそ、会場の最大の強みです。
- 地下鉄: M3線(黄色線)でロゴレドFS駅へ。ドゥオーモ、中央駅、レプッブリカから乗り換えなしで行けます。
- 近郊列車: S13(パヴィア行き)をはじめとするS線が利用できます。ペッツァーリの出身地を考えると、なんとも便利な路線です。
- 高速列車: フレッチャロッサとイタロの一部列車がロゴレドに停車します。ボローニャ、トリノ、ローマから来るファンは、中央駅を通らずに済ませることも多いです。
駅からは、サンタ・ジュリアの新しい街並みを少し歩けばアリーナに着きます。終演後は、観客がひとかたまりになってゆっくりとロゴレド駅へ戻っていきます。M3線のホームが最も混み合う時間を避けるため、一杯飲んでから帰るファンも少なくありません。満員のアリーナ周辺、しかもまだ開発途中の地区とあって駐車場は限られています。車を置いて出かけるミラノっ子が多いのはそのためです。
公現祭の週ならではの事情
公演日は公現祭の2日前にあたります。イタリアでは1月6日(ベファーナ)が祝日で、それが過ぎるまで休みが続く学校や職場も多くあります。そのため、この月曜日は普段の平日の夜とは事情が異なります。まだ休暇中の家族も多く、親子連れが目立つのはそれも一因です。
この時期は移動にも影響します。ロンバルディア州やさらに遠方から来るファンは、ライブを休暇中の小旅行にすることがよくあります。ミラノへ向かう列車も、1月の普通の月曜日より混雑するかもしれません。また、真冬でもあります。この時期のミラノはたいてい寒く湿っぽく、ポー平原では霧もよく発生します。アリーナの中で持ち歩いても苦にならないコートを用意して来る人がほとんどです。
大合唱の中で:観客のふるまい方
イタリアのポップス系アリーナ公演のマナーはシンプルです。この夜の主役は、アーティストだけでなく観客でもあります。
- 歌うのが当たり前。 ペッツァーリがサビでマイクを客席に向ければ、アリーナ全体が引き継いで歌います。黙っていることこそ、唯一のマナー違反といえます。
- 記名式チケット。 イタリアの大規模コンサートでは、記名式チケット(ビリエッティ・ノミナティーヴィ:購入者名義のチケット)が使われることが多くあります。常連客がチケットと一緒に写真付き身分証明書を持参するのはそのためです。
- 購入方法。 イタリアの大規模アリーナ公演の多くは、チケットワンなどの公認販売元が扱っています。入口で足止めされるのは、非公式の転売サイトで買ったファンです。
- スマートフォン。 「Gli anni」やスローな曲では、スマホのライトが一面に灯ります。地元の観客も一緒に掲げます。
- 売店での注文。 ビールは「ウナ・ビッラ」、水は「ウナックア・ナトゥラーレ」と頼みます。ひと言「グラツィエ」と添えるだけで、スタッフの対応がぐっと和らぎます。売店でのチップは不要で、ミラノの新しい会場ではカード払いが一般的です。
ファンは照明が落ちるよりかなり前に着席するのが普通です。開演前、場内のBGMに合わせて歌うのも、この夜の楽しみのひとつです。
サンタ・ジュリア周辺の開演前と終演後
サンタ・ジュリアは歴史ある街ではなく、新しく生まれた地区です。アリーナでの公演でもなければ、ここまで食事に来る人はあまりいません。ほとんどのファンは別の場所で食事を済ませ、M3線で南へ下ってきます。2駅先のポルタ・ロマーナやコルソ・ローディ周辺には、トラットリアやピッツェリアがたくさんあります。
アペリティーヴォを楽しむなら、中心部にとどまり、地下鉄での移動時間を十分に見込んでおく人が多いです。
週末を絡めて旅をするなら、見どころはM3線で北へ乗り換えなしで行けるミラノ中心部に集まっています。
- ドゥオーモと屋上テラス
- すぐ隣のヴィットリオ・エマヌエーレ2世のガッレリア
- 夜の一杯にぴったりのナヴィリオ運河
ライブ当日の夜遅く、M3線はアンコール曲を歌い続ける人々で満員になります。北へ戻るこの車内で、多くのファンが一夜を締めくくるのです。
よくある質問
マックス・ペッツァーリのウニポル・ドーム(ミラノ)公演はいつですか?
2027年1月4日(月)です。1月6日の祝日・公現祭の2日前で、イタリアではまだクリスマス休暇中の家族が多い時期にあたります。
ウニポル・ドームへはどう行けばよいですか?
M3線(黄色線)か鉄道でミラノ・ロゴレド駅まで行き、サンタ・ジュリア地区を少し歩けば到着します。ロゴレド駅には近郊列車のS線のほか、フレッチャロッサやイタロの高速列車も一部停車します。そのため、ほかの都市から来るファンは中央駅ではなくロゴレド駅で降りることが多いです。
この公演のチケットはどこで購入できますか?
イタリアの大規模アリーナ公演は、チケットワンなどの公認プラットフォームで販売されるのが一般的です。イタリアのコンサートでは記名式チケットが使われることが多いため、ファンはたいてい写真付き身分証明書を持参します。チケットのトラブルの大半は、非公式の転売で起きています。
ウニポル・ドームとはどんな会場ですか?
サンタ・ジュリア地区にあるミラノの新しいアリーナで、設計はデイヴィッド・チッパーフィールド・アーキテクツです。ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックのアイスホッケー会場として建設され、以前はアレーナ・サンタ・ジュリアと呼ばれていました。収容人数は約16,000人です。
開演前に会場近くで食事できる場所はありますか?
サンタ・ジュリアには、定評のあるレストランがまだあまりありません。ほとんどのファンは、M3線で数駅のポルタ・ロマーナやコルソ・ローディ周辺、あるいはミラノ中心部で食事を済ませてから、地下鉄でロゴレドへ向かいます。
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