石を取り除いて描かれた生き物
「クモ」の全長はおよそ46メートルです。数字だけ聞くと大きく感じますが、旋回するセスナ機の窓から見下ろすと、親指一本で隠れてしまいそうなほど小さく見えます。コンパクトな胴体から8本の脚が広がり、そのうち1本だけが奇妙なほど長く線となって伸びています。
この図形は絵の具で描かれたものでも、彫り込まれたものでもありません。およそ2,000年前にこの地で栄えたナスカの人々が、パンパ(平原)を覆う鉄分を含んだ黒っぽい石をかき分け、その下にある白っぽい地面を露出させて描いたものです。地表近くでは雨も風もほとんどない砂漠のため、線は何世紀にもわたって消えずに残ってきました。1994年からはユネスコ世界遺産の一部となっています。
地図上のこの地点が注目されない理由
グーグルの掲載情報では、「クモ」はPE-1S沿いにあり、24時間営業とされています。とはいえ、それは見渡すかぎりの砂漠に門がないというだけの話です。地上絵の上を歩くことは禁止されていますし、道路脇からでは図形はまったく見えません。地上絵は上空から眺めて初めて形がわかるものなのです。
そのため、「クモ」は定番の遊覧飛行ルートに含まれているにもかかわらず、この地点に寄せられるレビューはごくわずかです。目にする人のほぼ全員が、ハイウェイのこの区間に立つのではなく、飛行機の座席から眺めているからです。これほど有名な地上絵でありながら、ナスカの掲載情報の中ではひっそりとした存在です。
ナスカへの行き方と空からの見学
ナスカの町は、リマの南、パンアメリカン・ハイウェイ沿いにあります。クルス・デル・スール(Cruz del Sur)やオルトゥルサ(Oltursa)などの長距離バスで、所要時間は約7〜8時間です。アレキパ方面へ南下する途中、パラカスやワカチナと組み合わせて訪れる旅行者が多くいます。
遊覧飛行は、町の中心部からタクシーですぐのマリア・ライヘ・ノイマン飛行場(Aeródromo María Reiche Neuman)から出発します。定番の周回コースは約30〜35分で、通常は次の地上絵をめぐります。
- 「クジラ」と、丘の斜面に描かれた「宇宙飛行士」
- 渦巻き状の尾をもつ「サル」
- 「クモ」
- 「ハチドリ」と「コンドル」
- 道路脇の展望塔近くにある「手」と「木」
ピスコやイカから飛ぶ運航会社もあります。その場合は飛行時間が長くなり、地上絵が見えてくるまでの時間もそのぶん長くなります。
「クモ」を見る遊覧飛行の予約
予約は、飛行場にある登録済みの運航会社か、町の信頼できる旅行会社で行いましょう。搭乗前にパスポートの確認があるので、必ず持参してください。小型機のバランスをとるため、パイロットが乗客の体重も量ります。空港税は飛行料金とは別払いで、現在の金額はカウンターで教えてもらえます。
快適に楽しむためのポイントは次のとおりです。
- 午前中の便を選ぶ。 時間が経つにつれて風や熱による乱気流が強まり、それに伴って遅延も重なっていきます。
- 食事は軽めに。 機内の左右どちらの席からも見えるよう、パイロットは地上絵ごとに左へ、続いて右へと大きく機体を傾けます。そのため乗り物酔いになる人が少なくありません。
- 目当ての図形を把握しておく。 地上絵に近づくと、副操縦士がひとつずつ名前を告げてくれます。「クモ」を探すときは、長く伸びた1本の脚を目印にしましょう。
- 撮影は手短に。 カメラのストラップは着けたまま数枚だけ撮り、あとはレンズを下ろして自分の目で眺めましょう。
飛行機に乗りたくない場合は、ハイウェイ脇の展望塔(ミラドール)に上れば、地上から「手」と「木」を見ることができます。ただし「クモ」は見えません。
見たあとで図形の意味を読み解く
地上絵が何のために描かれたのかについては、研究者たちが何十年も議論を続けています。天文暦説、儀式のための歩行路説、地球上でも有数の乾燥地帯で水を祈願したという説などがあります。「クモ」については、この海岸地帯から遠く離れたアマゾンに生息するクモの一種を描いたものだとする見方もあります。ただし、これはあくまで解釈のひとつで、定説ではありません。
背景を知るなら、町なかの施設が最適です。マリア・ライヘ博物館は、何十年にもわたって地上絵の測量と保護に尽くしたドイツ人数学者にちなんで名づけられました。町のプラネタリウムでは天文学的な説を紹介する解説も行われており、どちらも夜のひとときを過ごす価値があります。
パンパで過ごす一日
ナスカには丸一日を充てる人がほとんどです。午前中に遊覧飛行を楽しんだら、午後は実際に歩いて見学できる遺跡をめぐりましょう。
- カンタヨック水路(Cantalloc): 渦巻き状に石を組んだプキオ(地下水路)で、今も地下水を導いています。
- チャウチージャ墓地(Chauchilla): 穴の開いた墓所で、ナスカ時代の埋葬が砂の中にむき出しのまま残っています。
- パルパの地上絵: 北側の丘の斜面に描かれた図形で、長めの遊覧飛行に組み込まれることがよくあります。
午後の見学には日焼け対策が欠かせません。パンパには日陰がほとんどなく、白っぽい地面からの照り返しも強烈です。
よくある質問
「クモ」は地上から見られますか?
いいえ、見られません。地上絵の上を歩くことは禁止されています。また、道路脇の展望塔から見えるのは「手」と「木」で、「クモ」は見えません。見るには遊覧飛行に参加する必要があります。
ナスカの地上絵の遊覧飛行はどのくらいの時間ですか?
ナスカのマリア・ライヘ・ノイマン飛行場から出発する定番の周回コースは約30〜35分で、「クモ」「サル」「ハチドリ」「コンドル」「クジラ」をめぐります。ピスコやイカ発の便はさらに時間がかかります。
「クモ」を見る遊覧飛行に最適な時間帯はいつですか?
午前中です。午後になるにつれて風や熱による乱気流が強まり、揺れが激しくなるうえ、遅延の原因にもなります。
ナスカへはどうやって行けばよいですか?
リマからパンアメリカン・ハイウェイ経由で、クルス・デル・スールやオルトゥルサなどの長距離バスが運行しており、所要時間は約7〜8時間です。途中でパラカスやワカチナに立ち寄る旅行者も多くいます。
「クモ」の近くにはほかにどんな見どころがありますか?
カンタヨック水路、チャウチージャ墓地、パルパの地上絵、マリア・ライヘ博物館は、いずれもナスカの町から気軽に足を延ばせる場所で、日帰りの見学を充実させてくれます。
ナスカ旅行の準備
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