レンガの建物と川、博覧会のために生まれた中庭
絵画にたどり着く前から、まずエーレンホーフ(Ehrenhof)そのものに目を奪われます。赤褐色のレンガ造りの建物が細長い中庭をぐるりと囲み、その中庭はライン川に向かって開けています。設計したのはヴィルヘルム・クライスです。健康、社会福祉、身体運動をテーマに1926年に開かれた大規模な博覧会「ゲゾライ(GeSoLei)」のために建てられました。
当時の博覧会建築が、今ではデュッセルドルフを代表する美術館として使われています。中庭の北端に建つドーム屋根の建物はトーンハレ(Tonhalle)です。かつてはプラネタリウムでしたが、現在はコンサートホールになっています。同じ建物群の中にはNRWフォーラム(NRW-Forum)も入っています。よく晴れた午後には、この中庭がライン川の遊歩道へと続く前庭のように感じられます。
実際に見られる作品
コレクションの幅はとても広く、古典絵画から戦後の実験的な作品まで揃い、その間を工芸作品がつないでいます。2023年に展示が全面的に掛け替えられ、リニューアルオープンしました。年代順に厳密に並べるのではなく、時代やメディアを混ぜ合わせて見せる構成になっています。
特に注目したいのは次の作品群です。
- ペーテル・パウル・ルーベンス。 壁一面を埋める巨大な祭壇画「聖母被昇天」は圧巻です。「ヴィーナスとアドニス」も展示されています。
- デュッセルドルフ派。 19世紀、この街の美術アカデミーは風景画と風俗画で名を馳せました。ヨーロッパ各地やアメリカからも画家たちが学びに集まりました。
- ZERO(ゼロ)。 ハインツ・マック、オットー・ピーネ、ギュンター・ユッカーの3人は、1950年代後半にデュッセルドルフで共同制作を始めました。光や動き、釘、反射する素材を使った作品が並びます。
- ガラス。 ヘントリッヒ・ガラスコレクションは、世界でも屈指の規模を誇ります。古代のガラスからアール・ヌーヴォーの花瓶まで見ることができます。
企画展は別の展示室で開催されており、週末の混雑の原因になること��よくあります。開催中の展覧会や、別途チケットが必要かどうかは公式サイトで確認してください。
木曜は午後6時以降がねらい目
この美術館ならではの特徴が木曜日で、ここを上手に使うのがいちばんの攻略法です。ほとんどの日は午前11時〜午後6時の開館ですが、木曜だけは午後9時まで開いています。
人の流れを計測したデータによると、平日で最も空いているのは午後6時〜7時です。そして、その時間帯に実際に開いている平日は木曜しかありません。午後5時頃に到着して日中の来館者が帰っていく間に企画展を見ておけば、6時以降は常設展示室をほぼ独り占めできます。
週末はその逆です。土曜・日曜の午後12時〜6時が最も混み合う時間帯なので、できれば避けましょう。週末しか行けない場合は、混雑の波が来る前、午前11時の開館と同時に入館するのがおすすめです。
エーレンホーフへの行き方
最寄りのUバーン駅はトーンハレ/エーレンホーフ(Tonhalle/Ehrenhof)で、U78とU79の2路線が停まります。どちらもデュッセルドルフ中央駅(Düsseldorf Hauptbahnhof)を出てハインリッヒ・ハイネ・アレー(Heinrich-Heine-Allee)を経由するため、中央駅から乗り換えなしですぐに着きます。地上に出れば、目の前がレンガ造りの中庭です。
旧市街から歩くなら、ライン川の遊歩道を北へ進みましょう。川沿いの平坦な道で、15〜20分ほどの散歩です。かつての宮廷庭園であるホーフガルテン(Hofgarten)を抜けていく道もあります。この庭園は美術館の東側に隣接しています。
疲れすぎないための回り方
常設展だけでも2〜3時間は見ておきましょう。大規模な企画展が開かれていれば、さらに1時間ほど必要です。展示室は長く連なっており、バロックの大作からガラスのショーケース、ZEROの光の作品へと移り変わるうちに、館内図から想像する以上に疲れがたまります。
まだ元気なうちにルーベンスから見始め、次に19世紀のデュッセルドルフ派の部屋を回るのがひとつの方法です。ガラスコレクションは体力よりも、じっくり近づいて眺める根気が報われる展示なので、後半に回しましょう。ベンチを見つけたら、遠慮なく腰を下ろしてください。
デュッセルドルフ流・美術館のマナー
ドイツの美術館には、口には出されないいくつかのルールがあります。知っておけば、クロークで気まずい思いをせずに済みます。
- 荷物とコート。 大きなバッグやリュックは、展示室に入る前にロッカーかクローク(Garderobe)に預けるのが一般的です。デポジットとして硬貨が必要なロッカーもあるので、1ユーロ硬貨をポケットに入れておくと安心です。
- チケット。 人気の企画展は、特に週末ならオンラインで事前購入しておきましょう。最新の料金や時間指定の有無は、美術館の公式サイトに掲載されています。
- 支払い。 受付では通常カードが使えますが、ドイツは今も多くの国より現金を重視する傾向があります。ロッカーやちょっとした買い物用に、少し現金を持っておくと便利です。
- 写真撮影。 ルールは展覧会によって異なり、とりわけ他館からの借用作品には制限がかかることがあります。展示室入口のカメラマークを確認し、フラッシュは絶対に使わないでください。
- 月曜日。 毎週月曜は休館日です。月曜にデュッセルドルフ観光を丸一日詰め込んだ人ほど、閉ざされた扉の前で立ち尽くすことになりがちです。
鑑賞のあとはエーレンホーフ周辺へ
美術���は、散策の起点にぴったりの場所にあります。ライン川の遊歩道をまっすぐ南へ下れば旧市街です。旧市街の醸造所併設パブでは、アルトビールが小さなグラスで出てきます。グラスが空になるたびに店員が新しい一杯と取り替えてくれるので、もう十分ならビアコースターをグラスの上に載せましょう。
もっと近場なら、ホーフガルテンは鑑賞の合間の散歩に最適です。隣のトーンハレは、コンサートに行かなくてもドーム屋根を眺めに立ち寄る価値があります。まだアートを見足りないなら、旧市街方面へ南に少し歩いたところに、ノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館(Kunstsammlung NRW)のK20がグラッベ広場(Grabbeplatz)にあります。
よくある質問
クンストパラスト美術館が最も空いているのはいつですか?
平日で最も空いているのは午後6時〜7時です。午後6時以降も開いているのは木曜(午後9時まで)だけなので、この時間帯を活用するなら木曜の夜に訪れましょう。最も混み合う土日の午後12時〜6時は避けるのがおすすめです。
クンストパラスト美術館の開館日はいつですか?
火曜から日曜の午前11時〜午後6時に開館しており、木曜は午後9時まで延長しています。月曜は休館日です。
公共交通機関でクンストパラスト美術館へ行くにはどうすればよいですか?
UバーンのU78またはU79でトーンハレ/エーレンホーフ(Tonhalle/Ehrenhof)駅へ向かえば、美術館のレンガ造りの中庭がすぐそばです。旧市街からなら、ライン川の遊歩道を北へ15〜20分歩いても気軽に行けます。
クンストパラスト美術館の見学にはどのくらい時間をみればよいですか?
ルーベンス、デュッセルドルフ派、ZEROの作家たち、ガラスコレクションといった常設展には2〜3時間を見込んでおきましょう。企画展も見るなら、さらに1時間ほど加えてください。
クンストパラスト美術館の周辺には何がありますか?
同じエーレンホーフの建物群にはNRWフォーラムが入っており、隣にはドーム屋根のトーンハレが建っています。美術館に接してホーフガルテン公園が広がり、ライン川の遊歩道を南へ進めば旧市街やグラッベ広場のK20にたどり着きます。
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