反乱を終わらせるために築かれた要塞
フォート・ジョージ(Fort George)が誕生したきっかけは、カロデンの戦いです。1746年にジャコバイト軍が敗れると、政府はハイランド地方を永久に抑え込める駐屯地を求めました。設計を担ったのは軍事技師のウィリアム・スキナーで、工事は1748年に始まり、20年以上に及びました。スコットランドの建築家一族として名高いアダム家も、請負業者として建設に加わっています。
こうして完成した要塞は実に巨大で、当時の姿をほぼそのまま残しています。空堀に架かる木造の橋を渡り、角度をつけて組まれた石壁の門をくぐると、内側には練兵場が広がります。その周りを囲むのは、整然と並ぶ細長い兵舎棟です。
この要塞は一度も攻撃を受けたことがありません。これほど完全な形で残っているのも、今なお基地として機能しているのも、そのことが理由の一つです。
城壁を歩いて一周
まずは城壁から歩いてみましょう。城壁は敷地全体をぐるりと囲み、一周するとおよそ1マイル近くになります。上の芝生の遊歩道に立つと、三方を水に囲まれているのがわかります。狭い湾の向こう岸に見えるのは、ブラック・アイルのチャノンリー・ポイント(Chanonry Point)です。両岸に挟まれたこの水路は、陸からハンドウイルカを観察できる場所として、イギリス屈指のスポットです。
道中で��次のようなものが見られます。
- 今も海に砲口を向けたままの大砲が残る砲座
- インヴァネスやケソック橋(Kessock Bridge)を振り返って眺められる稜堡
- 将校たちが連隊で飼っていた犬を葬った小さな犬の墓地
城壁の上は吹きさらしです。マレー湾から風がまともに吹きつけるため、インヴァネス周辺のほかの観光地と比べても、防風性のある上着がとりわけ欠かせません。
駐屯地の内部
城壁の下では、兵士たちがどのような暮らしをしていたのかを知ることができます。再現された兵舎の部屋には、時代ごとの寝台や装備がそのまま並べられており、居住空間がいかに窮屈だったかがよくわかります。かつて火薬の保管庫として建てられたグランド・マガジンには、現在マスケット銃や銃剣、刀剣が数多く収められています。
内部が質素な駐屯地礼拝堂もあり、今も軍関係者のコミュニティに使われています。ここは現役の陸軍兵舎だということを忘れないでください。立ち入りが禁止されている建物や区域があるほか、日々の任務にあたる兵士の姿を目にすることもあります。
ハイランダーズ博物館
要塞の中にあるハイランダーズ博物館(The Highlanders’ Museum)では、クイーンズ・オウン・ハイランダーズ、シーフォース、キャメロンなど、ハイランド地方の連隊の歴史を紹介しています。展示品は勲章や軍服、連隊の銀器、個人の手紙などで、2世紀以上にわたる戦役の歩みをたどれます。エディンバラ以外では、スコットランド最大級の連隊コレクションです。
軍事史に興味があるなら、この博物館だけで1時間は確保しておきましょう。要塞本体とは別に運営されているため、予定を組む前に開館日を確認しておくと安心です。
城壁散策を満喫するために
多くの人は、入口近くの建物にまっすぐ向かいます。そこで逆方向に進み、体力が残っているうちに城壁をひと回りしてしまいましょう。そのあとで兵舎の部屋や博物館を順に見て戻るのがおすすめです。
- イルカ:チャノンリー・ポイント方面の水路に注目しましょう。上げ潮の頃が最も見つけやすいので、出発前に潮汐表を確認しておきましょう。
- 時間帯:開館は毎日午前10時〜午後4時です。週末は午前10時〜午後4時のあいだずっと来場者が少なく、人混みを気にする必要はありません。それでも午前10時近くに着けば、慌てずにすべてを見て回れます。
- 支払い:チケット窓口ではカードが使えます。フォート・ジョージを運営するのはヒストリック・エンバイロメント・スコットランド(Historic Environment Scotland)で、最新の料金は同団体のウェブサイトに掲載されています。同団体の会員証やエクスプローラー・パスも利用できます。
- 軍の規則:立ち入り禁止区域の標示には必ず従ってください。また、兵士や基地の業務を許可なく撮影するのはやめましょう。
いちばんもったいないのは、午後の半ばに到着してしまうことです。閉館は午後4時なので、午後2時30分に着くと城壁は駆け足になり、博物館は見送ることになってしまいます。
アクセスと周辺の組み合わせ
フォート・ジョージは、インヴァネスの北東約11マイル、アーダーシア(Ardersier)村の先にあります。車ならA96をネアン方面へ進み、B9006に入ってアーダーシアを抜けながら北上すると要塞に着きます。敷地内には駐車場があります。インヴァネス空港からもわずか数分の距離なので、到着日や出発日に立ち寄るのにも向いています。
公共交通機関でも行けますが、便は限られています。インヴァネスからアーダーシアまではバスが出ていますが、最後の区間は歩かなければならないため、事前に最新の時刻表を確認してください。
1日かけて巡るなら、次の場所と組み合わせるのがおすすめです。
- カロデンの戦場跡(Culloden Battlefield):車で約15分。この要塞が築かれるに至った物語の始まりの地です。
- コーダー城(Cawdor Castle):南東へ車ですぐです。
- ネアン(Nairn):海岸沿いを東へ進んだ先にある町で、ビーチと港が魅力です。
- ブラック・アイルのチャノンリー・ポイント:対岸からイルカを眺めたい方に。
よくある質問
フォート・ジョージが空いているのはいつですか?
週末は午前10時〜午後4時の開館時間中ずっと空いているので、混雑を避けるために時間帯を選ぶ必要はありません。それでも午前10時頃に到着すれば、午後4時の閉館までたっぷり時間を使えます。
インヴァネスからフォート・ジョージへはどう行けばよいですか?
車ならA96をネアン方面へ進み、B9006に入ってアーダーシアを通り抜けると要塞に着きます。距離は合計で約11マイルです。敷地内に駐車場があります。インヴァネスからアーダーシアまではバスも出ていますが、最後の区間は徒歩になるので、事前に時刻表を確認しておきましょう。
フォート・ジョージの見学にはどのくらい時間がかかりますか?
城壁の散策、兵舎の部屋、グランド・マガジンを見て回るには2〜3時間を見ておきましょう。ハイランダーズ博物館もじっくり見学したい場合は、さらに1時間を足してください。
フォート・ジョージからイルカは見られますか?
はい、見られることはよくあります。要塞とチャノンリー・ポイントのあいだの水路にはハンドウイルカがやって来ます。城壁の上からは高い位置で見渡せます。上げ潮の頃が最も見つけやすい時間帯です。
フォート・ジョージは今も軍に使われているのですか?
はい。現役の陸軍兵舎のため、見学者が立ち入れない区域もあります。標示に従い、軍関係者を撮影する際は事前に許可を得てください。
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