10月の10日間、いくつかの映画館で、その年に各地の映画祭を巡った作品がまとめて上映されます。それがイスタンブールの秋の映画ショーケース、フィルムエキミ(Filmekimi)です。この街の文化シーズンを代表するイベントのひとつに数えられています。2026年の会期は10月9日〜18日で、アトラス1948(Atlas 1948)とイスタンブール市内のほか3つの映画館で上映が行われます。
野外ステージもリストバンドも、映画祭村のようなものもありません。あるのは暗い客席と字幕、そして歩道に延びる行列です。1日に何本もはしごするのも、ここではごく当たり前のことです。
フィルムエキミとはどんな映画祭か
フィルムエキミはコンペティションではなく、街で開かれるショーケースです。主催はイスタンブール文化芸術財団(İKSV)で、春のイスタンブール国際映画祭も同じ財団が運営しています。秋に担うのはキュレーションです。その年に主要な国際映画祭で上映された作品を選び、短く濃密な会期のなかでイスタンブールの観客に届けています。
10日間という期間の短さが、すべてを左右します。ほとんどの作品は1〜2回しか上映されません。見逃すと、トルコでの公開まで何か月も待つことになるかもしれませんし、公開されないままということもありえます。
イスティクラル通りのスクリーン、アトラス1948
フィルムエキミの会場といえば、たいていの人が思い浮かべるのがアトラス1948です。場所はイスティクラル通り(İstiklal Caddesi)です。タクシム広場からテュネル方面へと下っていく、長い歩行者天国の通りです。入口は、通りに面した古いアーケードのひとつであるアトラス・パサジュ(Atlas Pasajı)の中にあります。
館名は開館した年にちなんでいます。長い修復期間を経て、同じ建物に入るイスタンブール映画博物館とともに再オープンしました。早めに着けば、上映前に博物館を見学することもできます。
館内はシネコンの小さな箱とは違い、本格的な客席がひとつだけの映画館です。ここでの映画祭上映がイベントらしい特別な雰囲気をまとうのは、それが大きな理由です。話題作の回は満席を覚悟しておきましょう。
映画館へのアクセス
アトラス1948へは、地下鉄M2線を使うのがいちばん簡単です。
- タクシム駅(M2線):タクシム広場に出たら、イスティクラル通りを下って歩きます。平坦な道で、すぐに着きます。
- シシハネ駅(Şişhane、M2線):ガラタやカラキョイ方面から来る場合に便利です。テュネルを通って坂を上ると、イスティクラル通りの下端に出ます。
- テュネル(Tünel)ケーブルカー:歴史ある地下ケーブルカーで、カラキョイからイスティクラル通りの下端まで上ります。
- ノスタルジック・トラム:イスティクラル通りの端から端まで、赤いレトロな路面電車が走っています。速くはありませんが、足が疲れたときに重宝します。
市内の交通機関で使えるタッチ式ICカード、イスタンブールカート(Istanbulkart)にチャージしておけば、地下鉄もケーブルカーもトラムもカード1枚で乗れます。フィルムエキミではアトラスのほかに3つの映画館も使われます。すべての作品がアトラスで上映されると思い込まず、チケットに書かれた会場の住所を毎回確認してください。
見逃さないための予約術
フィルムエキミでは、チケットの確保がすべてです。会期が短く上映回数も限られているため、話題の作品は売り切れます。なかでもオープニングの週末は、真っ先に席がなくなります。日時とチケットはİKSVのフィルムエキミ公式サイトで確認しましょう。プログラムや会場、予約方法はそこで発表されます。転売サイトよりも、まず公式サイトの情報を信頼してください。
心がけておくと役立つことがいくつかあります。
- まず候補リストを作りましょう。 プログラム全体に目を通してトップ5に順位を付け、その順に予約していきます。すべての時間枠が完璧にそろうのを待っていてはいけません。
- 各作品の字幕情報を確認しましょう。 上映は基本的に原語のままです。英語字幕の有無は作品ごとに異なるので、予約の前に作品情報を読んでおいてください。
- チケットごとに会場をメモしましょう。 映画館が4館あるため、移動にかなり時間のかかる2つの会場で、続けて2本観る予定をうっかり組んでしまいがちです。
- 予約確認画面はスマートフォンに保存しておきましょう。 入口ですぐにスキャンできるよう準備しておけば、列がスムーズに進みます。
チケット料金は公式サイトと窓口で確認できます。イスタンブール中心部では、ほぼどこでもカード払いが一般的です。
イスタンブールの常連のように映画祭を楽しむ
イスタンブールの観客はフィルムエキミを真剣に楽しんでいます。暗黙のルールをいくつか押さえておくと、1日を気持ちよく過ごせます。
時間には余裕を持って到着しましょう。イスティクラル通りは人混みがひどく、特に夜は5分の道のりに15分かかることもあります。映画祭の上映はほぼ定刻どおりに始まります。照明が落ちてから入ると、満席の客席で手探りしながら席を探すはめになります。
スマートフォンは完全にしまいましょう。メッセージを確認するときの画面の光も迷惑になります。エンドロールが終わるまで席を立たない人が、思いのほか多くいます。映画祭の作品は最後のショットまで見届けたくなる終わり方が多いからです。監督やゲストによる上映前の紹介がある回では、予定時刻までに客席が静まり、準備が整っているのが普通です。
上映の合間は、周りの人たちと同じように過ごしましょう。アーケードや通りに出てお茶を飲んだり軽く何かをつまんだりしながら、観たばかりの作品について語り合うのです。屋台のシミットをかじりながら次の上映に備えるのが、昔ながらの定番です。
上映の合間に楽しむイスティクラル通り
アトラス1948の立地は、フィルムエキミの大きな魅力のひとつです。上映の合間には、街でも指折りのにぎやかな通りに出られます。1〜2時間あれば、次のような場所を訪ねられます。
- イスタンブール映画博物館:映画館と同じ建物にあり、まず立ち寄るならここです。
- チチェッキ・パサジュ(Çiçek Pasajı):「花の小路」と呼ばれる古いアーケードで、イスティクラル通りを少し下った先にあります。メイハネ(居酒屋)が軒を連ねています。
- ガラタサライ高校の門:通りのランドマークで、待ち合わせ場所としてもよく使われます。
- ガラタ塔:テュネルを過ぎて坂を下った先にあります。空き時間が長めなら、散歩にちょうどいい距離です。
- タクシム広場:通りの上端にあり、地下鉄の駅もここにあります。
イスティクラル通りは、夕方から夜にかけてずっと混み合います。空き時間が90分なら、3か所を詰め込もうとせず、1か所に絞りましょう。
10日間の計画を立てる
10月中旬は、こうした映画祭にぴったりの季節です。夜は涼しくなるので、屋内で映画を続けて観る夜の過ごし方がしっくりきます。
何本観るかについては、多くの人にとって1日2本が無理のないペースです。3本観れば、本格的な映画祭マラソンになります。平日の回は週末の回より予約しやすいのが普通です。単純に、週末のほうが来られる人が多いためです。
会期の一部しかイスタンブールに滞在しない場合は、まずプログラムを決め、そのほかの旅程はそれに合わせて組みましょう。上映作品の日時は動きませんが、街のほかの見どころは翌日でも逃げません。出発前には、日程と各上映の会場、そして手元のチケットを、フィルムエキミ公式サイトで確認しておいてください。
よくある質問
2026年のフィルムエキミはいつ開催されますか?
2026年はイスタンブールで10月9日〜18日に開催されます。正確な日程や上映時間は、İKSVのフィルムエキミ公式サイトでご確認ください。
フィルムエキミの上映会場はどこですか?
ベイオール地区のイスティクラル通りにあるアトラス・パサジュの中に、修復を終えた映画館アトラス1948があります。ここがメイン会場で、ほかに市内の映画館3館でも上映されます。作品は4館に分かれて上映されるため、チケットごとに会場を確認してください。
アトラス1948へはどう行けばいいですか?
地下鉄M2線でタクシム駅まで行き、イスティクラル通りを下って歩くのが基本です。M2線のシシハネ駅で降り、テュネル経由で坂を上るルートもあります。イスティクラル通りを走る赤いノスタルジック・トラムを使う方法もあります。
フィルムエキミの上映作品には英語字幕が付きますか?
上映は基本的に原語のままです。英語字幕が付くかどうかは作品によって違うので、予約の前に公式プログラムで各作品の情報を確認してください。
フィルムエキミの上映は売り切れますか?
注目作は売り切れることがよくあります。ほとんどの作品が1〜2回しか上映されないため、オープニングの週末は特に要注意です。いちばん観たい作品から先に、İKSVの公式サイトで予約しましょう。
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