天守の屋根では、大棟の両端に金色の2尾の鯱が輝いています。その光はお堀のずっと外からでも目に留まるほどです。これが「金鯱」です。名古屋のお土産にもマンホールの蓋にも、お城にちなんだあらゆるものに描かれている金の鯱鉾です。名古屋城の石垣の上にそびえる金鯱を見上げると、この街が自らをどう誇っているのかがよくわかります。
名古屋城は、中部地方でも屈指の口コミ数を誇る観光名所です。同時に、複雑な歴史を背負ったお城でもあります。その歩みを知ってから訪れると、見え方がぐっと変わります。
1612年築城、幾度も再建されたお城
名古屋城は徳川家康の命によって築かれ、1612年に完成しました。東海道を押さえるとともに、家康の九男を祖とする尾張徳川家の居城とすることが目的でした。以来300年以上にわたり、国内でも指折りの壮麗な城として威容を誇ってきました。
しかし1945年5月、アメリカ軍の空襲によって天守と御殿の大部分が焼失します。現在の天守は1959年に鉄筋コンクリートで再建されたもので、外観は当時の姿に忠実に復元されています。巨大な石垣は戦火を免れ、築城当時のものが今も残っています。
石垣の下のほうの石をよく見てみてください。丸や扇、三角といった刻印が数多く刻まれています。これは、石の切り出しや運搬を担った各大名の家紋です。どの石をどの大名が手がけたのかを今に伝える、貴重な記録なのです。
登れない天守と、見学できる御殿
天守は2018年から一般公開が中止されています。名古屋市はコンクリート造の天守を、往時の工法による木造天守へ建て替える計画を進めていますが、工事の進みは遅れがちです。最上階からの眺めを期待して出かける前に、名古屋城の公式サイトで最新の状況を確認しておきましょう。
今あえて訪れる価値があるのは、天守のすぐ隣に建つ本丸御殿です。江戸時代の技法を用いてヒノキ材で復元され、2018年に全面公開されました。磨き上げられた廊下を、靴を脱いで靴下のまま歩いて見学します。
御殿の中は、奥へ進むほど部屋の造りが豪華になっていきます。
- 玄関: 襖には虎や豹が描かれています。訪れた者を威圧するための演出です。
- 表書院: 正式な謁見に使われた広間で、金箔を施した障壁画や格天井が見どころです。
- 上洛殿: 将軍を迎えるために建てられた、御殿の中でも最も絢爛な空間です。彫刻を施した欄間や、絵が描かれた天井に目を奪われます。
障壁画は複製ですが、原画は空襲の前に運び出されたおかげで焼失を免れ、現在も収蔵庫で保管されています。場内のほかの場所には江戸時代の展示や資料もあり、あわせて見るとより理解が深まります。
御殿の入口で靴を脱ぎます
本丸御殿には独自のマナーがあります。守っておけば、見学はスムーズに進みます。
- 靴は入口で脱ぎ、備え付けのロッカーか袋に入れます。床は素足で歩く木の床なので、穴の開いていない靴下を履いていきましょう。
- 襖絵に触れたり、柱に寄りかかったりしないでください。 係員から丁寧に、しかしはっきりと注意されます。
- 写真撮影は、フラッシュを使わなければ御殿内でも基本的に可能です。撮影できない場所には掲示があります。
- 入場券は門の券売機か窓口で購入します。現在の料金はその場と公式サイトに掲示されています。
- 大きな荷物は、御殿の狭い廊下では持て余してしまいます。門の近くにあるコインロッカーを利用すると便利です。
御殿の行列は入口にでき、一定のペースで進みます。場内が混雑しているときは、係員が入場を調整することもあります。入口で少し待つのはよくあることなので、気長に構えましょう。
週末の混雑を避けるには
名古屋城はとても多くの人が訪れる場所なので、時間帯選びで快適さが大きく変わります。平日も週末も、いちばん落ち着いているのは午前9時〜10時です。この最初の1時間なら、御殿の廊下にもゆとりがあり、立ち止まって天井をじっくり見上げることができます。
週末の午前11時〜午後4時の到着は避けましょう。場内が最も混み合う時間帯で、御殿の入口には団体客が列をなし、天守の写真にも大勢の人が写り込んでしまいます。
開園時間は曜日を問わず毎日午前9:00〜午後4:30です。閉門までに御殿を見る時間を十分に確保しておきましょう。じっくり回るなら2〜3時間ほど、御殿と石垣に絞るなら90分ほどが目安です。
本丸へのアクセス
所在地は中区本丸1-1です。地下鉄を使うのがいちばん簡単です。
- 名古屋城駅(名城線): 2023年までは「市役所駅」という名前でした。7番出口を出て数分歩くと東門に着きます。
- 浅間町駅(鶴舞線): 正門(西側)から入りたい場合はこちらが便利です。徒歩10分ほどです。
- メーグル: 名古屋駅から市内の観光スポットを巡る観光ルートバスで、名古屋城にも停まります。ノリタケの森やトヨタ産業技術記念館もあわせて訪れるなら重宝します。
名古屋城駅の周辺では、名古屋市役所と愛知県庁の建物にもぜひ注目してください。どちらも1930年代に建てられた帝冠様式の建築で、洋風の建物に和風の屋根を載せた独特の姿をしています。ゆっくり歩きながら眺める価値があります。
金シャチ横丁と季節の楽しみ
門を出てすぐのところに、城を訪れる人のために造られた飲食店街「金シャチ横丁」があります。市内をあちこち探し回らなくても、名古屋なら���はの味を手軽に楽しめる場所です。
ぜひ味わいたい名古屋めしはこちらです。
- 味噌カツ: 豚カツに、甘くて色の濃い八丁味噌のたれをかけた一品です。
- ひつまぶし: ご飯に焼いた鰻をのせた料理で、一つのお櫃を3通りの食べ方で楽しみます。
- きしめん: 平たく幅の広い小麦の麺を、あっさりとしたつゆでいただきます。
- 手羽先: こしょうの効いた鶏の手羽の唐揚げです。
場内には桜の木が植えられており、3月下旬から4月上旬が見頃です。一年で最も混み合う時期でもあるので、「午前9時に行く」という鉄則がいっそう大切になります。秋にはお堀沿いの紅葉が色づきます。また、名古屋の夏は暑さが厳しいため、朝早い時間帯に訪れるのが快適です。
御殿を見終えたら、場内の東側にある二之丸庭園へ足を延ばしてみてください。人の少ない落ち着いた一角です。そこから次に向かうなら、徳川美術館が自然な流れです。かつてこの御殿の部屋を彩っていた、尾張徳川家伝来の宝物が収められています。
よくある質問
名古屋城がいちばん空いているのは何時ごろですか?
平日・週末ともに午前9時〜10時です。週末の午前11時〜午後4時は場内が最も混み合う時間帯なので、避けるのがおすすめです。
天守の中に入ることはできますか?
天守は木造での再建計画に向けて、2018年から公開が中止されています。隣接する本丸御殿は公開されており、建物内の見学ではこちらが中心になります。天守の現在の状況は、名古屋城の公式サイトでご確認ください。
開園時間を教えてください。
毎日午前9:00〜午後4:30です。閉門までに御殿をひと通り見学できるよう、時間に余裕をもってお越しください。
地下鉄ではどう行けばよいですか?
名城線で名古屋城駅(旧・市役所駅)まで行き、7番出口を出ると東門へ向かえます。鶴舞線の浅間町駅で降り、10分ほど歩いて正門(西側)から入る方法もあります。
名古屋城の見学にはどのくらい時間をみておけばよいですか?
本丸御殿、石垣、二之丸庭園を巡り、金シャチ横丁で食事もするなら2〜3時間ほどみておきましょう。御殿と主な場内だけなら90分ほどで回れます。
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