ガラスの摩天楼を背に、ヤシの葉の家並み
振り返ると、海の向こうにコーニッシュの高層ビルがずらりと並んでいます。そして目の前には、砂色の低い塀やヤシの葉で屋根を葺いた家々、それに見張り塔があります。エミレーツ・ヘリテージ・ビレッジ(Emirates Heritage Village)は、石油が見つかる前の海辺や砂漠の集落を再現した施設です。建っているのは埋め立て地の上で、かつての集落がやがて姿を変えた現在の街並みを、真正面から見渡せる場所にあります。
アブダビの文化スポットのなかでも口コミ件数はトップクラスで、評価も安定して高い人気の施設です。そのぶん、学校の団体や家族連れ、観光バスのツアー客がひっきりなしに訪れます。静かに過ごせる穴場を期待すると当てが外れるでしょう。むしろ、エアコンがなかった時代にこの地の人々がどう暮らしていたのかを、コンパクトな敷地を歩きながら学べる場所だと考えてください。
塀の内側で出会えるもの
村はこぢんまりとしていて、ぐるりと一周しながら見て回れます。注目したいのは次のようなものです。
- バラスティ小屋:ナツメヤシの葉を編んで造られています。海風が通り抜けやすい形になっているのが特徴です。
- ヤギの毛で織ったベドウィンのテント(バイト・アル・シャアル):中には床に置くクッションや絨毯がしつらえてあります。
- ファラジの水路:オアシスまで水を引いていた灌漑の仕組みを見ることができます。
- 小さな展示室:陶器、装身具、武器、漁具、生活道具などが並んでいます。
- 工芸工房とスーク(市場)の屋台:職人が機織りや陶芸、金属細工を実演していることもよくあります。
村は自らを「イベントや展示を定期的に開催する」場と紹介しています。催しの内容は時期によって変わり、とくにナショナルデー前後や冬のフェスティバルシーズンには入れ替わりが多くなります。お目当ての実演がある場合は、出かける前にエミレーツ・ヘリテージ・クラブの各種発信をチェックしておきましょう。
見学には60〜90分を見ておくとよいでしょう。そのあと海沿いを散歩するつもりなら、さらに30分ほど加えてください。
ヤス島からのアクセス
アブダビには地下鉄が走っていないため、移動は自分で運転するか車を使うことになります。ヤス島からタクシーやカリーム、ウーバーを利用すると、E12からコーニッシュを西へ進み、ブレイクウォーターに着きます。道が混んでいなければ30〜40分ほどです。
行き先は「マリーナモール」か「アブダビ・シアター」と伝えましょう。村はブレイクウォーター・ロード沿いでその両方に隣接しているので、どこで曲がればよいかドライバーにも伝わります。自分で運転する場合は、マリーナモールの駐車場に車を停めて歩いて向かうのがいちばん手軽です。コーニッシュ沿いには路線バスも走っていますが、ヤス島からだと車よりはるかに時間がかかります。
金曜日の営業時間に注意
週のうち6日間の営業時間はわかりやすく、午前9時〜午後4時です。金曜日だけは2部制で、午前7時30分〜正午と、午後3時〜午後9時に分かれています。あいだの時間は金曜日の昼の礼拝にあてられているため、金曜日の午後1時に着いても門は閉まっています。
ただ、この2部制はむしろ好都合です。ほかの曜日は日没前の午後4時に閉まってしまうので、海の向こうで夜景が灯っていく様子を園内から眺められるのは金曜日の夜の部だけなのです。それ以外の日は早めに出かけましょう。10月から4月なら朝は過ごしやすい気候です。夏場は、昼前には小屋のあいだの日陰がなくなってしまいます。
ラマダンの期間や祝日には営業時間が変わることがあります。出発前に確認しておきましょう。
生きた文化遺産を訪ねるときのマナー
ここはテーマパークではなく、エミレーツ・ヘリテージ・クラブが運営する文化施設です。次のような点を心がけると、より気持ちよく見学できます。
- 控えめな服装で訪れましょう。 昔ながらのスークを訪れるときと同じように、肩と膝は隠してください。日差し対策にもなります。
- 人物を撮影するときは、ひと声かけましょう。 工房の職人さんたちは仕事の最中です。カメラを軽く示して、うなずきが返ってくればたいてい大丈夫です。快く応じてもらえることがほとんどです。
- コーヒーを勧められたら、ありがたくいただきましょう。 カルダモンが香るアラビアコーヒー「ガフワ」を、真鍮のポット「ダッラ」から注いでもらえることがあります。小さなカップは右手で受け取ります。もう十分だと思ったら、カップを軽く振って合図しましょう。
- あいさつをひとつ覚えておきましょう。 「アッサラーム・アライクム」と声をかければ、温かい返事が返ってきます。「ありがとう」は「シュクラン」です。
入場料については、手元の情報では確認できていません。公式の案内を確かめるか、入口で尋ねてください。スークの屋台は店主がそれぞれ値段を決めているので、ちょっとした買い物のために小額紙幣を用意しておくと安心です。
ブレイクウォーター周辺とあわせて楽しむ
村はコーニッシュの端に位置しているので、周辺のスポットと組み合わせれば充実した半日を過ごせます。涼みたいときやランチには、隣のマリーナモールが便利です。ブレイクウォーターの遊歩道からは、街の高層ビル群を振り返るように一望でき、その眺めの広さは指折りです。
東へ向かえば、コーニッシュのビーチと、長く続くサイクリング・ウォーキングロードが何キロにもわたって延びています。西へ少し車を走らせると、エミレーツ・パレスやカスル・アル・ワタンがあります。金曜日なら、昼の休館時間にそちらを見学し、午後3時の再開に合わせて戻ってくるのもよいでしょう。そのまま夜まで残って、水面に映る夜景を楽しめます。
よくある質問
エミレーツ・ヘリテージ・ビレッジは本当にヤス島にあるのですか?
いいえ、ヤス島にはありません。アブダビ・コーニッシュの西端、ブレイクウォーター・ロード沿いにあり、マリーナモールやアブダビ・シアターのすぐそばです。ヤス島から向かうと、車で30〜40分ほどかかります。
営業時間を教えてください。金曜日は何が違うのですか?
土曜日から木曜日までは午前9時〜午後4時の営業です。金曜日は午前7時30分〜正午に開いたあと、昼の礼拝のためにいったん閉まり、午後3時〜午後9時に再び開きます。ラマダンの期間や祝日には時間が変わることがあるため、事前に確認してから出かけてください。
所要時間はどのくらいですか?
小屋、テント、ファラジ、展示室、工芸品の屋台をひととおり見て回るなら、60〜90分を見ておきましょう。ブレイクウォーターの遊歩道を散策したり、マリーナモールに立ち寄ったりする場合は、さらに時間に余裕を持たせてください。
おすすめの時間帯はいつですか?
10月から4月にかけての午前中なら、小屋のあいだを歩いても快適に過ごせます。日が暮れてから園内にいられるのは、金曜日の午後3時〜午後9時の時間帯だけです。この時間なら、海の向こうでライトアップされるコーニッシュの高層ビル群を眺められます。
周辺にはほかに何がありますか?
マリーナモールがすぐ隣にあります。ブレイクウォーターから東へはコーニッシュのビーチと遊歩道が続いています。西へ少し車を走らせれば、エミレーツ・パレスやカスル・アル・ワタンにも行けます。
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