3つの建物を1枚のチケットで
ハンブルク美術館は、建築の異なる3つの建物で構成されています。いちばん古いのは、アルスター湖側に面した1869年築の赤れんがの建物です。砂岩の装飾をあしらったイタリア風の外観をしています。その奥に建つ淡い石造りの建物は1919年の増築で、これにより展示スペースが倍になりました。
広場の向かいに立つのが現代ギャラリー(Galerie der Gegenwart)です。オズワルト・マティアス・ウンガースが1997年に手がけた白いキューブ型の建物で、一段高い花崗岩の基壇の上に建っています。
旧館とキューブは地下通路でつながっています。そのため、14世紀の祭壇画から21世紀の映像展示室まで、一度も外に出ずに移動できます。この時代の幅の広さこそが、この美術館のいちばんの魅力です。すべてをじっくり見るなら3時間はかかると考えておきましょう。2時間しかない場合は、見る棟を1つに決めて集中すれば、主な見どころは押さえられます。
霧と氷、そしてフリードリヒ
来館者のほとんどがお目当てにしているのは、1枚の絵です。カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの『雲海の上の旅人』が、ここに展示されています。描かれているのは、濃い緑色のコートを着て岩の上に立ち、幾重にも重なる雲を見下ろす男性の後ろ姿です。実物は複製で見るより小さめです。かなり近くまで寄って見られることに驚く人も少なくありません。
すぐそばには、同じくフリードリヒの『氷の海』が掛かっています。折り重なった流氷の板がきしみ合い、その残骸の間に押しつぶされた船がかろうじて見える作品です。当館のドイツ・ロマン主義のコレクションは、世界でも屈指の充実ぶりを誇ります。ハンブルクにゆかりのある画家、フィリップ・オットー・ルンゲの作品もぜひ探してみてください。
大作『朝』が同じロマン主義の展示室に並んでいます。このセクションには時間をかけましょう。有名な絵はがきの1枚よりも、ゆっくり眺めるほど味わいが深まる作品がそろっています。
金色の祭壇画と巨匠たち
年代をさかのぼって古い時代から見始めると、展示室の光の雰囲気ががらりと変わります。ベルトラム親方による『グラボウ祭壇画』は1379–83年の作品です。ハンブルクの聖ペトリ教会のために制作されたもので、天地創造の場面には小さな動物たちがたくさん描き込まれています。すぐ近くには、1400年代初頭のマイスター・フランケの作品も並んでいます。
近代的な港町になるはるか以前から、ハンブルクが有力なハンザ都市だったことを思い起こさせてくれます。
そこから先のオランダ絵画の展示室では、レンブラントや同時代の画家たちの作品が見られます。続いて19世紀のフランス絵画とドイツ絵画の展示室へと流れがつながります。主な見どころは次のとおりです。
- 1877年のサロンで落選したエドゥアール・マネの『ナナ』
- 当館がいち早く収集した、ベルリンの印象派画家マックス・リーバーマンの作品
- 『マドンナ』をはじめとするエドヴァルド・ムンクの作品
- ナチス時代に「退廃芸術」として押収された後、再び集め直されたドイツ表現主義の作品
こうした収集の多くは、1886年から1914年まで館長を務めたアルフレート・リヒトヴァルクの時代に始まりました。彼は存命中の画家の作品や、ハンブルクを題材にした作品を積極的に購入するよう館に働きかけました。
中央駅から歩いて
美術館はハンブルク中央駅のすぐ隣にあるので、アクセスはとても簡単です。中央駅にはSバーン各線のほか、U1、U2、U3、U4が乗り入れています。U2かU4を利用する場合は、ハウプトバーンホーフ・ノルト駅(Hauptbahnhof Nord)で降り、美術館の案内表示に従って進んでください。出口を出て数分でグロッケンギーサーヴァルに着きます。
中央駅のコンコースからは、北側の出口を出てアルスター湖の方向へ向かいます。道路の向こうに赤れんがの建物が見えてきます。長距離列車に乗って、荷物を持ったまま訪れる人も多い美術館です。事前にロッカーの規定を確認しておけば、ハンブルク観光の最初や最後に立ち寄る場所としても十分使えます。
木曜日の6時以降が狙い目
開館スケジュールには、旅程を組む価値のある特徴が1つあります。ほかの開館日は6pmに閉まりますが、木曜日だけは9pmまで開いているのです。来館者数の計測によると、平日でいちばん空いているのは6pm–7pmです。つまり木曜日なら、もっとも落ち着いた時間帯に入館できます。
6pmごろに到着したら、まずフリードリヒの展示室へ直行し、そこから周辺の展示室へと見て回りましょう。週末はその正反対です。土日の11am〜6pmは館内がいちばん混み合います。この時間帯に『雲海の上の旅人』を見ようとすると、スマートフォンを構えた人の列の後ろで待つことになります。なお、毎週月曜日は休館日なので注意してください。
ロッカー、チケット、館内でのマナー
館内の運営は、ドイツのほかの大規模美術館とほぼ同じです。次の点を押さえておくと、見学がスムーズになります。
- 荷物: 大きめのバッグやリュックは、展示室に入る前にロッカーかクロークに預けるのが基本です。冬場はコートも預けることが多いです。
- チケット: 窓口か美術館の公式サイトで購入できます。最新の料金や特別展の追加料金も公式サイトに掲載されています。
- 写真撮影: 常設展では、フラッシュを使わなければ撮影できることがほとんどです。企画展には独自の表示が出ていることが多いので、各展示室の入口で確認しましょう。
- 鑑賞のペース: ドイツの来館者は壁の解説文をじっくり読む傾向があります。解説はドイツ語と英語の2か国語で書かれているので、内容を追いながら鑑賞できます。
特別展は、入場時間の指定制や別料金になっていることがよくあります。週末に訪れる前には公式サイトを確認しておきましょう。建物どうしをつなぐ通路は見落としやすいので、入口でフロアマップを受け取っておくと安心です。
美術館を出てアルスター湖へ
美術館を出れば、湖畔までは数分の距離です。バリンダム(Ballindamm)を西へ歩くと内アルスター湖に着き、対岸にはユングフェルンシュティークの遊歩道が延びています。アルスターパビリオン前の階段に腰を下ろし、白い遊覧船を眺めるのもよいでしょう。何時間も立ちっぱなしで鑑賞した後のひと休みにぴったりの場所です。
まだ美術館を巡り足りないなら、中央駅の反対側にハンブルク美術工芸博物館があります。デザインと装飾美術を扱う博物館です。南へ少し歩き、ハーフェンシティの端のほうへ向かうとダイヒトーアハレンがあります。かつての2棟の市場ホールを利用した施設で、現代美術や写真の展示が行われています。
よくある質問
ハンブルク美術館がいちばん空いているのはいつですか?
平日でいちばん空いているのは6pm–7pmです。ただし6pm以降も開いているのは、9pmまで開館する木曜日だけです。狙うなら木曜日の夕方にしましょう。いちばん混むのは土日の11am〜6pmなので、この時間帯は避けるのが無難です。
ハンブルク美術館へはどう行けばよいですか?
所在地はグロッケンギーサーヴァル5番地(Glockengießerwall 5)で、ハンブルク中央駅のすぐ隣です。U2またはU4でハウプトバーンホーフ・ノルト駅(Hauptbahnhof Nord)まで行き、美術館の案内表示に従って進んでください。中央駅の北側から出て、アルスター湖の方向へ歩いても行けます。
月曜日は開いていますか?
いいえ、月曜日は休館日です。火曜日から日曜日までは10amから6pmまで開館しています。木曜日だけは9pmまで開いています。
見学にはどのくらいの時間が必要ですか?
3つの建物をすべて回るなら、3時間ほど見ておきましょう。2時間あれば、フリードリヒの展示室や中世の祭壇画、現代ギャラリー(Galerie der Gegenwart)の一部など、見どころに絞って鑑賞できます。
見学後に近くで楽しめる場所はありますか?
西へ数分歩けば、内アルスター湖(Binnenalster)とユングフェルンシュティーク(Jungfernstieg)に出ます。中央駅をはさんだ向かい側にはハンブルク美術工芸博物館(Museum für Kunst und Gewerbe)があります。南へ少し歩けば、現代美術の展示施設ダイヒトーアハレン(Deichtorhallen)もあります。
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