1万3000平方キロに広がる谷と氷河
カナディアン・ロッキーで最大の国立公園がジャスパーです。面積はおよそ13,000平方キロメートルあり、川が刻んだ谷や氷河、氷河の削った細かな土砂で独特の色に染まった湖がその中に点在しています。ジャスパーの町があるのは、アサバスカ川とミエット川が合流する公園のほぼ中央です。見どころの大半は、町から放射状にのびる数本の道路沿いに集まっています。
ジャスパーは、ユネスコ世界遺産「カナディアン・ロッキー山脈自然公園群」を構成する公園のひとつです。ダークスカイ保護区にも指定されているため、町では照明が控えめに抑えられており、頭上には本物の暗い夜空が広がります。知名度が高く訪問者も非常に多い公園なので、有名な展望スポットはまず混雑しています。それを前提に計画を立てましょう。
1日の行程を決める道路
この公園は、町を起点に出かけて同じ道を戻ってくるドライブルートの集まりと考えるとわかりやすいです。どのルートも半日から1日の行程にちょうどいい長さです。
- マリーン・ロード(Maligne Road): 最初に現れるのは、石灰岩が細く深く削られたマリーン渓谷です。いくつもの歩道橋で渓谷を渡ることができます。続いて、湖水が地下へ抜けていくメディスン湖があります。終点のマリーン湖(Maligne Lake)からは、スピリット・アイランドへ向かうボートツアーが出ています。
- アイスフィールド・パークウェイ(ハイウェイ93号線): 南へ向かうルートです。アサバスカ滝とサンワプタ滝を過ぎるとコロンビア大氷原とアサバスカ氷河に至り、さらにレイク・ルイーズまで続いています。
- マウント・イーディス・キャベル・ロード(Mount Edith Cavell Road): カーブの多い季節限定の道路です。登りきった先から始まる「パス・オブ・ザ・グレイシャー」トレイルでは、北壁に張りつくエンジェル氷河を正面に望めます。
- ピラミッド・レイク・ロード: 町の少し高台にあるパトリシア湖とピラミッド湖まで行ける短いドライブコースで、夕方に訪れるのにぴったりです。
町のすぐ南にあるウィスラーズ山へは、ジャスパー・スカイトラムで登れます。さらに東へ進むと、ハイウェイ16号線から分かれる専用の支線の突き当たりにミエット温泉があります。
道端にはエルク、草地にはクマ
野生動物を目当てに訪れる人も少なくありません。エルクは町の周辺や川沿いの平地で草を食んでいます。ビッグホーンは、公園の東ゲート近くの斜面やミエットへ向かう道路沿いによく姿を見せます。アメリカクロクマやグリズリーが道路脇の草地で餌を探すのは、主に春から初夏にかけてです。アイスフィールド・パークウェイの上方に連なる岩壁では、シロイワヤギが岩場を渡り歩いています。
動物がもっとも活発に動くのは早朝と夕暮れ時です。マリーン・ロードや、町から東へ向かうハイウェイ16号線沿いが、昔から定番の観察ルートとして知られています。双眼鏡を持っていきましょう。一番の見ものは、車のすぐそばではなく谷の向こう側に現れることが多いからです。
渋滞に巻き込まれずにジャスパーを楽しむコツ
道路脇に車が何台も停まっていたら、たいていは動物が出ています。地元ではこれを「ベア・ジャム(クマ渋滞)」と呼びます。車を完全に路肩の外へ寄せるか、そのまま通り過ぎてください。車線上で停車するのは厳禁です。パークス・カナダは、エルクやビッグホーンからは30メートル以上、クマやオオカミ、クーガーからは100メートル以上離れるよう呼びかけています。野生動物への餌やりや接近は違法で、実際に罰金を科された人もいます。
ほかにも、1日を快適に過ごすために心がけたいことがあります。
- まずは公園パスを購入しましょう。 公園内で過ごす日数分のパスが必要です。オンラインまたはゲートで購入でき、最新の料金はパークス・カナダのサイトで確認できます。
- クマよけスプレーを携帯しましょう。 どのトレイルを歩くときもリュックの中にしまい込まず、ベルトに下げておいてください。
- 早めに出発しましょう。 ツアーバスより先に着けば、マリーン渓谷やイーディス・キャベルの登山口の駐車場にも停められます。
- 夏は事前予約が必要です。 マリーン湖のクルーズとキャンプ場は早めに予約しておきましょう。パークス・カナダが管理するキャンプ場は、同局のオンライン予約システムで予約します。
アイスフィールド・パークウェイに入る前に、町でガソリンを満タンにしておいてください。道中にはサービス施設がほとんどなく、携帯電話の電波が長い区間にわたって届きません。
季節で変わる公園の表情
7月と8月は気温がもっとも高く、日も長くなりますが、人出もピークを迎えます。9月になると、町の周辺ではエルクが発情期に入り、アスペンの葉が黄金色に色づきます。訪問者もぐっと減ります。標高の高い場所では6月まで雪が残ることも多く、イーディス・キャベルへの道路は除雪が終わってからでないと開通しないため、通れる期間は短めです。
冬のジャスパーはまったく別の顔を見せます。凍りついたマリーン渓谷の底を歩くガイド付きのアイスウォークが催され、マーモット・ベイスンではスキーを楽しめます。10月にはジャスパー・ダークスカイ・フェスティバルが開かれます。なお、2024年7月には山火事が発生し、公園の一部と町の一部が焼失しました。ルートを決める前に、パークス・カナダが発表している最新のトレイル情報と道路情報を確認してください。
アクセスと滞在
ほとんどの方が車で訪れます。ジャスパーはエドモントンからイエローヘッド・ハイウェイ(16号線)を西へ約4時間の距離にあります。バンフやレイク・ルイーズからはアイスフィールド・パークウェイを北上します。途中であちこち立ち寄りながら、丸1日かけてゆっくり走りたい道です。町の中心にあるジャスパー駅にはVIA鉄道のカナディアン号も停車し、駅からホテルまでは歩いて行けます。
町に宿をとれば、どの景勝ドライブにも気軽に出かけられます。町のすぐ南には、ウィスラーズやワピティといったキャンプ場もあります。できれば3日間確保しましょう。1日目はマリーン・ロード、2日目はパークウェイ、3日目はイーディス・キャベルとスカイトラムをめぐり、夕方はピラミッド湖で過ごすのがおすすめです。
よくある質問
ジャスパー国立公園へはどうやって行けばいいですか?
ほとんどの方が車で訪れます。エドモントンからはハイウェイ16号線(イエローヘッド・ハイウェイ)を西へ約4時間です。バンフやレイク・ルイーズからはアイスフィールド・パークウェイ(ハイウェイ93号線)を北上するルートになり、丸1日かかります。町なかのジャスパー駅にはVIA鉄道のカナディアン号も停車します。
ジャスパー国立公園のベストシーズンはいつですか?
イーディス・キャベル山などへ続く標高の高い道路が開通している6月下旬から9月がおすすめです。7月と8月はいちばん混み合います。9月は人出が落ち着くうえ、エルクの発情期と紅葉を楽しめます。冬はマリーン渓谷のアイスウォークや星空観察に向いています。
ジャスパーには何日くらい滞在すればいいですか?
少なくとも丸2〜3日は確保しましょう。1日目はマリーン・ロード沿いの渓谷、メディスン湖、マリーン湖をめぐります。2日目はアイスフィールド・パークウェイを南下してアサバスカ氷河まで足を延ばします。3日目はイーディス・キャベル山、スカイトラム、ピラミッド湖にあてるのがおすすめです。
ジャスパー国立公園に入るにはパスが必要ですか?
はい、必要です。公園内で車を停める人は全員、パークス・カナダのパスを持っていなければなりません。パスはオンラインのほか、公園ゲートでも販売しています。最新の料金はパークス・カナダの公式サイトで確認できます。
ジャスパーで野生動物が見られる場所はどこですか?
エルクは町の周辺で草を食んでいます。ビッグホーンは東ゲート付近やミエット温泉へ向かう道路沿いでよく見かけます。クマは特に早朝と夕暮れ時に、マリーン・ロードやアイスフィールド・パークウェイ沿いの草地に現れることが多いです。エルクやビッグホーンからは30メートル、クマからは100メートルの距離を保ってください。
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