マル・デル・プラタの中心部は、大半がマンションと商店に埋め尽くされています。ところがサン・マルティン広場(Plaza San Martín)の木々の上に尖った石造りの塔が見えてくると、街並みが急に100年ほど昔へさかのぼったように感じられます。この塔の主が、聖ペドロ・聖セシリア大聖堂(Catedral de los Santos Pedro y Cecilia)です。地元司教区の司教座が置かれた聖堂で、国の歴史的建造物にも指定されています。
マル・デル・プラタを訪れる人の多くは、ビーチやカジノ、港のアシカがお目当てです。歩行者天国のサン・マルティン通りを広場まで歩いてきても、中へは入らずに通り過ぎてしまう人が少なくありません。旅行者にとってはむしろ好都合で、評価は常に安定して高いのに混み合うことはめったになく、落ち着いて見学できます。
ビーチの街に建つゴシック教会
この教会は、もともと夏の避暑客のために建てられました。1890年代のマル・デル・プラタは、ブエノスアイレス上流階級の海辺のリゾート地へと変わりつつありました。そうした名家の人々が自分たちの別荘にふさわしい教会を望み、街の創設者パトリシオ・ペラルタ・ラモスが土地を提供したのです。
設計を手がけたのは、ラ・プラタの都市計画にも関わった建築家ペドロ・ベノワです。彼は当時ヨーロッパ各地で流行していたネオゴシック様式を採用しました。見どころは次のとおりです。
- 扉や窓の上に架かる尖頭アーチ
- 数ブロック先からも見える、中央にそびえる1本の高い塔と尖塔
- 身廊に沿って続く、控え壁で支えられた側壁
- 広場と正面から向き合う正面ファサード
工事は1890年代に始まり、1900年代初頭に献堂されました。1957年にマル・デル・プラタ司教区が設けられると同時に、大聖堂に昇格しています。
聖セシリアの名が冠された理由
この献名には、個人的な思いが込められています。ペラルタ・ラモスは亡き妻セシリア・ロブレスをしのび、彼女の守護聖人を聖ペドロと並べて教会の名に加えたのです。そのため、ここは単なる街のシンボルではありません。創設者の追悼の場であり、今も毎日使われ続けている教会なのです。
広場に立ったら、このことを思い出してみてください。広場も大聖堂も、その周りの碁盤目状の街路も、すべて同じ創設の世代がつくったものです。高層ビルが建ち並ぶ以前の、かつての町の姿をいちばんよく残しているのがこの一角です。
身廊の内部
正面の扉をくぐると、通りの喧騒がすっと遠のきます。平面は古典的なラテン十字形です。中央に長い身廊が延び、列柱の奥に側廊があり、突き当たりのヴォールト天井の下に祭壇が置かれています。
壁にはステンドグラスの窓が並び、差し込む光の表情は時間とともに移ろいます。側廊はぜひゆっくり歩いてみてください。礼拝堂や信仰の像、小さな銘板はそこにあり、中央からざっと眺めるだけの人はたいてい見逃してしまいます。
帰る前には天井を見上げてみましょう。ゴシック建築の室内の真髄は尖頭ヴォールトにあり、ここでもその曲線が、入口の上にそびえる塔へと自然に視線を導いてくれます。
サン・マルティン広場への行き方
大聖堂はミクロセントロ(中心街)にあるため、中心部のホテルならたいてい歩いて行けます。ブリストル・ビーチ(Playa Bristol)やカジノからは、ランブラから坂を上るように内陸へ数ブロック進みます。サン・マルティン通りの歩行者天国をたどれば、そのまま広場に着きます。
住所はパサへ・カテドラル(Pasaje Catedral)と記載されています。建物の脇を通る短い通路のことです。タクシーや配車アプリの運転手が迷っているようなら、「ラ・カテドラル、エン・プラサ・サン・マルティン(サン・マルティン広場の大聖堂)」と伝えてください。知らない人はいません。広場周辺の通りには市内バスも走っていますが、中心部ではたいてい歩いたほうが早く着きます。
ミサの時間に訪れるなら
ここは何よりもまず、現役の大聖堂です。博物館ではなく、日曜の朝の教区教会を訪ねるつもりで振る舞いましょう。
- まずはスケジュールを確認しましょう。 本ガイドでは開館時間を確認できていません。時間は季節や典礼暦によって変わるため、司教区や教区の最新情報、または入口脇の掲示板を確かめてください。
- ミサが行われているときは、 後方の席に座るか、時間を改めて出直しましょう。礼拝中にカメラを手に側廊を歩き回ると、ここではとにかく目立ってしまいます。
- 控えめな服装を心がけましょう。 ビーチから直行する場合は水着の上にシャツを羽織り、堂内では帽子を脱いでください。
- 写真撮影: ミサ以外の時間であれば、フラッシュを使わず静かに撮る分には、おおむね問題ありません。禁止の掲示がないかには気を配りましょう。
- 献金: 入堂の扱いは教区が決めるもので、チケット売り場はありません。献金は献金箱へどうぞ。本ガイドでは料金の有無を確認できていません。
ちょっとしたスペイン語を覚えておくと役立ちます。ミサの時間を尋ねるなら「ア・ケ・オラ・エス・ラ・ミサ?」、入ってもよいか尋ねるなら「セ・プエデ・パサール?」です。信徒席で人の前を通り抜けたいときは、小声で「ペルミソ」と言えば通じます。
中心街とあわせて巡る
大聖堂は、中心街を1時間ほどで巡る散策に無理なく組み込めます。堂内の見学は20〜40分ほどで、周辺の見どころもすべて歩いて回れます。
- サン・マルティン広場:大聖堂のすぐ目の前にあります。木陰にベンチが並び、大聖堂の全景をてっぺんまで眺めるには最高の場所です。
- 市庁舎(Palacio Municipal):同じ広場に面して建ち、アレハンドロ・ブスティージョが設計しました。
- サン・マルティン通り(Peatonal San Martín):海の方角へと続く、歩行者天国のショッピング街です。
- カジノとランブラ:アシカ像で知られる、ブスティージョ設計の壮大な海辺の建築群です。坂を数ブロック下った先にあります。
- ブリストル・ビーチ:ランブラの隣にある、市内でいちばん中心に近いビーチです。
おすすめのルートがあります。大聖堂から歩き始めて広場を横切り、市庁舎へ向かいます。そこから歩行者天国を下ってランブラまで行けば、海の上で光の色が移ろうひとときに間に合います。
訪れるタイミング
12月から2月の夏には、マル・デル・プラタはブエノスアイレスからの行楽客であふれ、広場周辺の通りもぐっとにぎやかになります。そんな時期でも、大聖堂の中はひんやりと静かで、ビーチの合間のよい息抜きになります。
オフシーズンになると、街はまた違った顔を見せます。秋から冬にかけては中心街に暮らしの気配が最も濃く漂い、大聖堂を訪れるのも主に地元の信徒たちです。曇り空でビーチに出る気になれない日には、中心部でも指折りの屋内スポットになります。
外観を楽しみたいなら、日が暮れてからもう一度足を運んでみてください。広場から眺める夜の塔は、真昼ののっぺりとした日差しの下とはまったく違う存在感を放っています。
よくある質問
マル・デル・プラタ大聖堂の正確な場所はどこですか?
市の中心部、サン・マルティン広場に面したパサへ・カテドラル(Pasaje Catedral)沿いにあります。ブリストル・ビーチやカジノから内陸へ数ブロック進んだところで、歩行者天国になっているサン・マルティン通りを上りきった先です。
見学にはどのくらい時間をみておけばよいですか?
身廊と側廊、ステンドグラスを見て回るなら20〜40分ほどです。隣のサン・マルティン広場や市庁舎(パラシオ・ムニシパル)もあわせて巡ると、ちょうど1時間ほどの気軽な散策になります。
ミサの最中でも観光客は中に入れますか?
入れますが、後方の席で静かに座っているか、ミサが終わるまで待つようにしましょう。ミサの時間は日によって異なるため、出かける前に教区の最新スケジュールか、入口脇の掲示を確認してください。
服装の決まりはありますか?
現役の教会なので、ほかの教会を訪れるときと同じく控えめな服装を心がけてください。ビーチから直接向かう場合は水着の上に何か羽織り、堂内では帽子を脱ぎましょう。
周辺にはほかに何がありますか?
同じ広場に面した市庁舎、歩行者天国のサン・マルティン通り、アシカ像が並ぶカジノとランブラ、そしてブリストル・ビーチがあり、どこも徒歩数分で行けます。
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