屋根の上に太鼓がある湯屋
まずは上を見上げてみてください。瓦屋根が幾重にも重なったその頂に、ガラス張りの小さな楼閣「振鷺閣(しんろかく)」がのっています。てっぺんに飾られているのは、赤い冠をかぶった白鷺です。中には太鼓があり、午前6時・正午・午後6時に打ち鳴らされます。その音は眼下の商店街にまで響きわたります。
建物ができたのは1894年です。黒っぽい木材と障子、重なり合う破風が特徴で、公衆浴場としては日本で初めて重要文化財に指定されました。2019年から長い保存修理工事が続き、2024年に全館での営業が再開されています。
多くの人を惹きつける理由
道後は日本最古の温泉といわれることがよくあります。地元には、傷ついた白鷺がここの湯に脚を浸して治したという伝説があります。館内のあちこちに鷺があしらわれているのはそのためです。松山で教師をしていた夏目漱石もこの湯に通いました。小説『坊っちゃん』によって、その名は全国に知られるようになります。
スタジオジブリのファンの間では、『千と千尋の神隠し』に登場する湯屋のモデルのひとつとしても知られています。そのため、海外からの観光客も絶えません。四国でも指折りのクチコミ数を誇る名所で、穴場とはとてもいえません。混雑を避けられると期待するより、混雑を前提に計画を立てるのが賢明です。
湯と階を選ぶ
基本となるのは、共同浴場、お茶とお菓子、そして個室の3つです。館内には2つの浴室があり、休憩スペースは複数の階に分かれています。
- 神の湯: 1階にある広いほうの浴室です。御影石の壁に囲まれ、中央に石造りの湯釜があります。
- 霊の湯(たまのゆ): こぢんまりとした静かな浴室で、料金が高めのコースで利用できます。
- 2階の休憩室: 広々とした畳敷きの大広間です。湯上がりに木綿の浴衣を着てくつろぎながら、お茶とお菓子をいただけます。
- 3階の個室: 最上位のコース向けの小さな和室です。数に限りがあるため、真っ先に埋まります。
帰り際には、又新殿(ゆうしんでん)を見学できるか尋ねてみてください。1899年に皇室専用の浴室棟として建てられたもので、入浴はできませんが、ガイド付きで見て回れます。最新のコース内容と料金は、券売窓口と道後温泉の公式サイトに掲載されています。
週末の混雑を避けて入るには
営業は曜日を問わず毎日、午前6:00〜午後11:00です。人の流れを計測したデータでは、平日・週末とも午前7時〜午後11時が比較的すいている時間帯とされています。平日なら、ほぼどの時間に行っても落ち着いて過ごせるでしょう。週末の午後12時〜午後9時だけは避けてください。行列が商店街のほうまで延び、休憩室も満員になる時間帯です。
おすすめの作戦は2つあります。ひとつは、午前6時の太鼓を合図に、一番風呂の客と一緒に入ること。もうひとつは、日帰り客が松山の中心部へ引き上げた夕食後に訪れることです。券売は午後11時の閉館より前に終わるので、ぎりぎりに駆け込むのはやめましょう。
本館での入浴マナー
地元の人にとって、本館は博物館ではなく今も現役の銭湯です。決まった手順さえ守れば、周りから浮くことはありません。
- 入口で靴を脱ぎ、下足箱に入れます。
- 洗い場では椅子に腰かけ、湯船に入る前に体をしっかり洗います。
- 水着は着用できません。小さなタオルは湯に浸けず、たたんで頭にのせるのが一般的です。
- 浴室の近くでは、スマートフォンやカメラを出さないようにしましょう。
- 休憩室では渡された浴衣を着て、大声を出さずに過ごします。帰るときは湯呑みを返却してください。
日本の温泉施設ではタトゥーに関する規定が変わることがあります。タトゥーのある方は、出かける前に公式サイトで確認しておきましょう。湯上がりには水分補給を忘れずに。初めての人が思う以上に、ここのお湯は熱めです。
アクセスと周辺の見どころ
松山の中心部やJR松山駅から伊予鉄道の路面電車に乗り、終点の道後温泉駅で降ります。昔の蒸気機関車を復元したレトロな「坊っちゃん列車」が走る便もあります。ホームを出たら、屋根付きの道後ハイカラ通り商店街を5分ほど歩きましょう。通りを抜けた先が本館です。
入浴と休憩室で60〜90分、個室を予約した場合はもう少し長めに見ておきましょう。そのあとは周辺へ足を延ばすのがおすすめです。
- 飛鳥乃湯泉: 2017年にオープンした新しい別館です。浴室は愛媛の伝統工芸で彩られています。
- 椿の湯: 近所の人たちが毎日通う、飾り気のない浴場です。
- 坊っちゃんカラクリ時計: 路面電車の駅前にあり、毎正時になると人形が現れます。
- 伊佐爾波神社と道後公園: 坂を少し上った先にあります。公園内には湯築城跡があります。
- 松山城: 路面電車で来た道を戻ればすぐです。半日あれば無理なく組み込めます。
よくある質問
道後温泉本館がいちばんすいているのはいつですか?
人の流れを計測したデータでは、平日・週末とも午前7時〜午後11時が比較的すいている時間帯です。もっとも混み合う週末の午後12時〜午後9時は避けましょう。落ち着いて入りたいなら、午前6時の開館直後の早朝か夜遅めが狙い目です。
営業時間を教えてください。
土日も含めて毎日、午前6:00〜午後11:00に営業しています。券売は閉館より前に終わるため、時間に余裕をもって訪れてください。
松山の中心部からはどう行けばいいですか?
伊予鉄道の路面電車に乗り、終点の道後温泉駅で降ります。駅からは道後ハイカラ通りの商店街を抜けて5分ほど歩くと、道後湯之町5-6の本館に着きます。
所要時間はどのくらいですか?
入浴と2階の休憩室でのひと休みを合わせて、60〜90分ほど見ておきましょう。3階の個室を予約する場合や又新殿の見学に参加する場合は、さらに時間をとってください。
周辺にはほかにどんな見どころがありますか?
歩いて行ける範囲に、新しい別館の飛鳥乃湯泉や椿の湯、坊っちゃんカラクリ時計、伊佐爾波神社、道後公園があります。松山城へも路面電車ですぐです。
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