屋根を持たずに終わったコロッセオ
トラムの停留所に降り立つと、弧を描く花崗岩の壁がどこまでも続いているかのように見えます。コングレスハレを設計したのは建築家のルートヴィヒ・ルフとフランツ・ルフで、ローマのコロッセオを手本にしたことを隠そうともしませんでした。巨大な屋根の下に約50,000人のナチ党代議員を収容する計画で、1935年に着工しましたが、戦争の始まりとともに工事は止まります。屋根は結局一度も架けられませんでした。
いま目の前に残っているのは、アーケードを連ねた石造りの馬蹄形の建物と、その内側に広がる芝生の中庭です。規則正しく並んだ窓の列の上で、外壁はぷつりと途切れています。この未完成の上端こそが、建物のいちばん正直な姿だといえるでしょう。そこにあるのは、崩れ去った野望そのものなのです。
北棟を貫くガラスの槍
北棟に入っているのが「ナチ党大会会場記録センター(Dokumentationszentrum Reichsparteitagsgelände)」です。2001年、オーストリアの建築家ギュンター・ドメニク(Günther Domenig)は、ガラスと鋼鉄でできた斜めの通路を古い石積みにまっすぐ突き刺しました。建物の左右対称を意図的に壊すこの介入は、敷地内でもっとも多く写真に収められるアングルになっています。
館内では、党大会そのものに加え、その背後にあったプロパガンダや、迫害・戦争とのつながりを取り上げています。ここ数年は大規模なリニューアルが進められており、工事期間中は暫定展示で公開しています。現在どこが開いているかは、公式サイトで確かめてください。
会場跡を歩いてめぐる
コングレスハレは、党大会会場(Reichsparteitagsgelände)全体のごく一部にすぎません。案内表示のある周回ルート沿いに解説パネルが設けられているので、歩きながら風景を読み解くことができます。主な見どころは次のとおりです。
- ドゥッツェントタイヒ湖:コングレスハレの裏側の壁が湖に面しています。建物の大きさをもっともよく実感できるのは、この眺めです。
- 大通り(Große Straße):旧市街の城を正面に見据えて延びる、全長2キロの花崗岩の行進路です。
- ツェッペリン・トリビューンとツェッペリン広場(Zeppelinfeld):ヒトラーが演説した観覧席です。現在は崩れかけており、保存工事のため一部がフェンスで囲われています。
- マルツフェルト(Märzfeld):軍の閲兵場として計画された場所です。大部分はすでに別の建物で覆われ、わずかな遺構が残るのみです。
一定のペースで歩けば、ルート全体でおよそ1時間です。平坦で日差しや風をさえぎるものがないので、天候に合わせた服装で出かけましょう。
バイエルン通りへのアクセス
会場跡は市の中心部から南東に離れており、旧市街から歩いて行ける距離ではありません。交通手段は次のとおりです。
- 8番トラムで「Doku-Zentrum」停留所へ。降りればほぼ入口の目の前です。
- Sバーン(S-Bahn)S2でニュルンベルク・ドゥッツェントタイヒ(Nürnberg-Dutzendteich)駅へ。そこから湖沿いに約10分歩きます。
- 36番または65番のバスもこの一帯を通ります。
車で行く場合の住所はBayernstraße 100です。周辺のフォルクスパーク(Volkspark)はジョギングをする人や家族連れでにぎわい、近くのサッカースタジアムで大きなイベントがある日はかなり混み合います。
見せ物にせず、場所と向き合う
ここはニュルンベルクでも指折りの、訪問者の多い史跡です。地元の人々にとっては、ポーズを決めて写真を撮る廃墟ではなく、歴史を記録する場所という位置づけです。訪れる前に、次の点を知っておくとよいでしょう。
- ドイツでは、ナチス式の敬礼やシンボルの使用は犯罪です。 ツェッペリン・トリビューンでふざけて撮る写真も対象になり、警察は実際に取り締まっています。
- 中庭は日常的にも使われています。 建物の一部はニュルンベルク交響楽団の本拠地になっているため、扉や区画のなかには事務所やリハーサル室にすぎないものもあります。
- オーディオガイドを利用するか、パネルを順番どおりに読みましょう。 展示は一連の流れとして構成されていて、飛ばし読みをすると伝えようとしている論旨を見失ってしまいます。
- 館内の受付ではカードがほぼ使えます。 ただし、トラムの券売機がカードを受け付けないこともあるので、少額の現金を持っておくと安心です。
- 学期中の平日の午前中は、学校の団体がよく訪れます。 館内が混んでいたら、先に外へ出て会場跡を歩き、あとで戻ってくるのがおすすめです。
館内の表示はすべてドイツ語と英語が併記されているので、通訳がいなくても困ることはありません。
裁判の法廷とあわせて訪ねる
党大会会場跡が見せてくれるのは、政権が自らをどう見せたかという側面です。物語のもう半分は市の反対側、フュルター通り(Fürther Straße)の司法庁舎にあるニュルンベルク裁判記念館(Memorium Nuremberg Trials)にあります。1945–46年にナチスの指導者たちが裁かれたのが、ここの600号法廷です。
行き方はU1でベーレンシャンツェ(Bärenschanze)駅下車です。1日で両方を回ると疲れますが、午前に権力の見せ物を、午後にその清算を見るという筋の通った流れになります。どちらか一方しか時間がないなら、コングレスハレと会場跡ではその規模の大きさを、法廷ではそれがもたらした結末を知ることができます。
よくある質問
ニュルンベルク中央駅(Hauptbahnhof)からコングレスハレへはどう行けばよいですか?
8番トラムで「Doku-Zentrum」停留所まで行けば、入口はすぐそばです。Sバーン(S-Bahn)S2でニュルンベルク・ドゥッツェントタイヒ(Nürnberg-Dutzendteich)駅まで行き、湖沿いを約10分歩く方法もあります。
見学にはどのくらいの時間が必要ですか?
2–3時間を見ておきましょう。記録センターの展示に1〜2時間、案内表示に沿ってツェッペリン・トリビューンまで歩いて往復するのに約1時間かかります。
リニューアル中も記録センターは開いていますか?
北棟の博物館は大規模な改装が進められており、工事期間中は暫定展示を行っています。どこが公開されているか、また現在の開館時間については、出かける前に記録センターの公式サイトで確認してください。
博物館の開館時間外でも会場跡を歩けますか?
はい、歩けます。ドゥッツェントタイヒ湖の周辺や大通り、ツェッペリン・トリビューンといった屋外エリアは公共の公園内にあり、解説パネルも設置されています。ただし、ツェッペリン・トリビューンは保存のため一部がフェンスで囲われている場合があります。
近くにほかの見どころはありますか?
ツェッペリン広場とツェッペリン・トリビューン、大通り(Große Straße)、ドゥッツェントタイヒ湖は、いずれもコングレスハレから歩いて行けます。市の反対側にあるニュルンベルク裁判記念館(Memorium Nuremberg Trials、U1でベーレンシャンツェ駅下車)を訪れれば、物語の全体像が見えてきます。
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