素通りされがちなもうひとつの議会建築
国会議事堂の丘(パーラメント・ヒル)を訪れる人の多くは、まっすぐピース・タワー(Peace Tower)を目指します。芝生の前で写真を撮ったら、そのまま東へ引き返すのが定番の流れです。ところが、そこから数百メートル西の229 Wellington Streetにも、同じ灰色の石と緑の銅屋根をまとった建物が建っています。足を止めて眺める人はぐっと少なくなります。
それがコンフェデレーション・ビルディング(Confederation Building)です。センター・ブロック(Centre Block)と同じ議会建築群のひとつですが、建てられたのはひと世代あとのことでした。いまではウェリントン通り(Wellington Street)沿いでも静かな見どころのひとつです。建物の足元に立てば、ほとんど人が写り込まないまま、オタワらしいゴシック様式とシャトー様式をじっくり間近で眺められます。
石に刻まれた歴史:1927年の建築を読み解く
礎石が据えられたのは、カナダ連邦結成(コンフェデレーション)60周年にあたる1927年でした。建物の名前もここに由来しています。完成は1931年です。設計は当時の連邦主任建築家トーマス・W・フラー(Thomas W. Fuller)のもとで進められました。政府の規模が大きくなって丘の上の建物だけでは手狭になったため、議会の事務所スペースを増やすことが目的でした。
建築様式は、カナダで「シャトー様式」と呼ばれるものです。ゴシック・リバイバルを連邦政府流にアレンジしたスタイルで、鉄道会社が建てたホテルにも見られます。次のような点に注目してみてください。
- 屋根の輪郭。 急勾配の緑の銅屋根には、ドーマー窓や小塔がのっています。この緑色は、オタワの風雨に何十年もさらされた銅が変色したものです。
- 石積み。 壁には表面を粗く仕上げた灰色の石が使われています。そのおかげで、丘の上に並ぶ建物と一体に見えます。
- 角地を埋める量感。 建物は角地いっぱいに建っています。そのため、真下から見上げるよりも、ウェリントン通りの向かい側から眺めたほうが、その大きさがよくわかります。
- 窓。 石の枠に囲まれた窓が整然と並んでいます。ここが儀式用の広間ではなく、当初から事務所棟だったことを物語っています。
中には入らず、外から楽しむ
コンフェデレーション・ビルディングは、いまも現役で使われている建物です。国会議員の事務所が入っているため、自由に歩き回れる博物館ではありません。Googleでは「24時間営業」と表示されていますが、これは外観についての話です。歩道や外からの眺めなら、いつでも楽しめます。出入口は議会の警備が管理しており、入れるのは職員と招かれた来訪者に限られます。
周りで働く人たちに配慮するため、次の点を心にとめておきましょう。
- 公道の歩道から出ないようにしましょう。 入口に近づいたり、階段で待ったりするのは控えてください。職員が一日中出入りしているため、警備員から丁寧に移動をお願いされます。
- 通りからの撮影は自由です。 ファサードを撮るのはごく普通のことです。ただし、望遠レンズを事務所の窓に向けるのはやめましょう。
- 議会の内部を見たいなら公式ツアーを予約しましょう。 カナダ議会図書館(Library of Parliament)が、一般公開されている議会建築を巡る無料ガイドツアーを実施しています。最新のスケジュールや対象の建物は、同図書館のウェブサイトで確認してください。
- 特に開会日は警備が厳重になります。 下院が開かれている日は、ウェリントン通りで警察官や職員、車の姿が増えます。これはいつものことなので、訪問を見送る理由にはなりません。
あまり知られていない場所なので、混雑対策はほとんど必要ありません。いちばんにぎわうのは、せいぜいツアー客の一団がウェリントン通りを横切るときくらいです。
229 Wellingtonへのアクセス
建物があるのはウェリントン通りの北側で、オタワ川を見下ろす崖の上にあたります。バンク通り(Bank Street)とウェリントン通りが交わるあたりです。いちばん便利なのはOトレイン(O-Train)です。偶然にも、1号線の正式名称は「コンフェデレーション線(Confederation Line)」といいます。
- リヨン駅(Lyon、1号線) は建物の南にあり、歩いて数分です。北へ進んでウェリントン通りに出れば到着します。
- パーラメント駅(Parliament、1号線) も便利です。ピース・タワーから歩き始めて西へ向かう予定なら、こちらを使いましょう。
- 丘から歩く場合は、 ウェストブロック(West Block)を過ぎてウェリントン通りを西へ進みます。平坦な道で、すぐに着きます。
車で行く必要はありません。議会周辺は駐車場が少なく、ウェリントン通りの交通規制も変わることがあります。公共交通機関を使うか、近くのダウンタウンのホテルから歩いて行きましょう。
銅屋根と雪、やわらかな光
この建物は、ほかの建物以上に季節によって表情が変わります。いちばんの特徴は緑の屋根で、背景しだいで印象ががらりと変わります。夏の青空の下では、灰色の石を背にした屋根がターコイズに近い色に見えます。冬になるとドーマー窓に雪が積もり、絵はがきで思い描くオタワそのものの姿になります。
いつでも見られる場所なので、光が建物を美しく見せてくれる時間帯を選ぶのがおすすめです。早朝や夕方は、粗い石肌の質感が際立ちます。日が暮れると、ウェリントン通りの街灯がファサードを照らし出します。昼間のような車の流れもありません。見学は15~20分で十分です。議会地区全体を歩くなら、もう少し時間をとってください。
ウェリントン通りを少し歩く
コンフェデレーション・ビルディングは、オタワの官庁街を巡る散策の出発点にも締めくくりにもぴったりです。歩いて数分の範囲に、次のような見どころがあります。
- ジャスティス・ビルディング(Justice Building)。 西隣にある建物で、同じ時代に揃いの様式で建てられました。
- カナダ最高裁判所(Supreme Court of Canada)。 ウェリントン通りをさらに西へ進んだ先にあり、こちらも銅屋根を備えています。
- カナダ国立図書館・公文書館(Library and Archives Canada)。 ウェリントン通りをもっと西へ進んだところにあります。
- ウェストブロックとセンター・ブロック。 東のピース・タワー方面にあります。
- スパークス通り(Sparks Street)。 1ブロック南にある歩行者専用の通りで、コーヒーやランチにぴったりです。
手軽に回るなら、こんな周遊ルートがおすすめです。まずリヨン駅を出て、最初にコンフェデレーション・ビルディングを見学します。次にウェリントン通りを東へ歩いて国会議事堂の丘へ向かい、帰りはスパークス通りを通って戻ります。こうすれば、壮麗な丘の正面だけでなく、多くの観光客が見逃している静かな西側の事務所街もあわせて楽しめます。
よくある質問
オタワのコンフェデレーション・ビルディングの中には入れますか?
ふらりと訪れた観光客は入れません。国会議員の事務所が入っており、出入口は議会の警備が管理しています。議会の内部を見学したい場合は、カナダ議会図書館が実施している無料ガイドツアーを予約してください。現在どの建物が見学できるかは、同図書館のウェブサイトで確認できます。
コンフェデレーション・ビルディングへはどう行けばよいですか?
Oトレイン1号線(コンフェデレーション線)でリヨン駅まで行き、北へ数分歩くとウェリントン通りに出ます。ピース・タワーから西へ歩いて向かうなら、パーラメント駅も便利です。
滞在時間はどのくらい見ておけばよいですか?
通りからファサードを眺めるだけなら15~20分ほどです。ウェリントン通りを歩いて国会議事堂の丘やカナダ最高裁判所、スパークス通りもあわせて回るなら、1~2時間ほどみておきましょう。
コンフェデレーション・ビルディングはいつ建てられたのですか?名前の由来は何ですか?
礎石が据えられたのは、カナダ連邦結成(コンフェデレーション)60周年にあたる1927年で、建物の名前もこれに由来しています。完成は1931年で、議会建築群に共通するシャトー様式で建てられました。
見に行くのにいちばんよい時間帯はいつですか?
外観は時間帯を問わずいつでも見られます。石の質感がもっともよくわかるのは早朝や夕方の光です。冬に緑の銅屋根へ雪が積もると、オタワらしい定番の写真が撮れます。
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