ケベック発祥の地
広場から見上げると、空いっぱいに断崖がそびえています。頭上の岩山にはシャトー・フロントナックが建ち、ロワイヤル広場はそのふもと、川面とほとんど変わらない高さに広がっています。1608年、サミュエル・ド・シャンプランが最初の砦「アビタシオン」を築いたのがこの場所です。その小さな入植地が、のちにケベック・シティへと発展しました。
広場は1分もかからずに横切れるほどの小ささです。周囲をぐるりと囲むのは、急勾配の屋根に高い煙突と屋根窓をそなえた石造りの家々です。足元は石畳で、中央には台座に載ったルイ14世のブロンズ胸像が立っています。奥の突き当たりには、白い尖塔をひとつ戴いた素朴な石造りの教会があります。
ケベック旧市街は1985年から、その全体がユネスコ世界遺産に登録されています。そのなかでも、これほど17世紀のヌーベルフランスの面影を残す一角はそう多くありません。目に入る建物の多くは、20世紀後半に古い基礎の上にフランス植民地様式で修復、あるいは再建されたものです。
二度の包囲にちなむ教会
この教会がノートルダム・デ・ヴィクトワール教会(Notre-Dame-des-Victoires)です。1688年に建設が始まり、北米最古の石造りの教会と紹介されることもよくあります。建っているのは、シャンプランのアビタシオンがあった場所です。
その名前には、創建当初の歴史が刻まれています。1690年、ウィリアム・フィップス率いるイギリス艦隊を町が退けたのを受けて、教会は当初「ノートルダム・ド・ラ・ヴィクトワール(勝利の聖母)」として献堂されました。続く1711年には、ウォーカー提督率いる二度目のイギリス艦隊が、攻撃を仕掛ける前にセントローレンス川で嵐に遭って難破します。これを機に、名前は「勝利」の複数形へと改められました。
1759年にはイギリス軍の砲撃で外壁だけを残す姿となりましたが、のちに再建されています。中に入ったら、ぜひ天井を見上げてみてください。身廊の天井からは船の模型が吊り下げられています。これは船乗りの多い教区でよく見られた奉納品です。いまも現役の教区教会のため、見学できる時間は礼拝の予定によって変わります。中に入るつもりで予定を組む前に、教区の案内を確認しておきましょう。
広場の見どころを読み解く
細部を眺めるのに10分ほど使ってみてください。この広場を訪れる価値は、そのほとんどが細部に宿っています。
- ルイ14世の胸像 国王をかたどったブロンズの複製です。1680年代にこの地に初めてルイ14世の胸像が据えられたことから、広場は「ロワイヤル広場(王の広場)」と呼ばれるようになりました。
- 屋根並み 家と家のあいだの防火壁や、どっしりとした煙突の数を数えてみましょう。初期のロウワータウンをたびたび焼き尽くした火災への備えとして生まれた建築上の工夫です。
- ケベック人のフレスコ画(Fresque des Québécois) 角を曲がった先、ノートルダム通り(Rue Notre-Dame)とコート・ド・ラ・モンターニュ(Côte de la Montagne)の交わるところにあります。建物の側面全体を覆うだまし絵の壁画で、ケベックの歴史上の人物たちとともに、町の四季が描かれています。
- 店構え 広場をふちどる建物の1階にはカフェやブティックが並んでいます。通り過ぎるだけでなく、腰を下ろしてゆっくり広場を眺めることもできます。
広場と教会の外観、壁画をめぐるなら30–45分をみておきましょう。教会の中に入ったり、カフェでひと息ついたりするなら、さらに時間をとってください。
アッパータウンから下りるには
ロワイヤル広場はロウワータウンにあるため、断崖を下りていく必要があります。行き方は次の3通りです。
- 旧市街ケーブルカー(Funiculaire du Vieux-Québec) シャトー・フロントナックのすぐ横にあるデュフラン・テラス(Terrasse Dufferin)から、プチ・シャンプラン通り(Rue du Petit-Champlain)まで下ります。降り場から広場までは歩いてすぐです。
- 首折り階段(L’Escalier Casse-Cou) コート・ド・ラ・モンターニュからプチ・シャンプラン地区(Quartier Petit Champlain)の入り口へと下る急な階段です。凍結や積雪のときは手すりにつかまり、ゆっくり下りましょう。
- 徒歩でコート・ド・ラ・モンターニュを下る プレスコット門(Porte Prescott)のあたりから続く曲がりくねった坂道で、下りきると壁画のすぐ近くに出ます。
川側から向かう場合は、ケベック–レヴィ間フェリーのターミナルや旧港から歩いて数分です。
週末の混雑を避けるコツ
広場は終日開いているので、いつ訪れるかは自由です。週末の混雑のピークは11amから8pmまでです。この時間帯は団体ツアーやプチ・シャンプランから流れてくる散策客で石畳が埋め尽くされ、人の写り込まない教会の写真を撮るのはなかなか難しくなります。
週末で比較的静かなのは7am–8amと10pm–11pmです。早朝なら低い光が石造りの壁面を照らし、カフェもほとんど空いています。夜遅くには明かりの灯った広場がしんと静まり返ります。平日については同じようなデータがありませんが、週末の昼から夜にかけての長い混雑時間を外すのが、いちばん確実な方法です。
石畳でのマナー
ここは写真を撮るだけの場所ではなく、人々が暮らし、祈りを捧げる場でもあります。いくつかの心がけで、よりよい訪問者になれます。
- まずはフランス語で 何よりも先に「ボンジュール」とひと言あいさつするのが、この土地の習慣です。あいさつさえすれば、旧市街の店のスタッフはたいてい気さくに英語に切り替えてくれます。
- カフェではチップを ケベックのチップの習慣は北米式で、テーブルサービスのある店では15–20%が目安です。カード端末で金額を選ぶよう促されることが多く、カードやタッチ決済はほとんどの店で使えます。
- 教会では配慮を ミサや結婚式、葬儀が行われているときは、外で待つか、後方で静かに立っていましょう。帽子は脱ぎ、声は控えめに。フラッシュ撮影もやめましょう。
- 戸口をふさがない 家々の玄関は広場に直接面しています。構図を決めるときは店の入り口に立ち止まらず、脇へよけるようにしましょう。
- 足元に注意 石畳は一年中でこぼこしており、晩秋から春にかけては滑りやすくなります。おしゃれな靴底のすべすべした靴ではなく、滑りにくい靴で歩きましょう。
周辺の見どころ
ロワイヤル広場は、ロウワータウンをめぐる散策ルートの立ち寄り先のひとつとして訪れるのがいちばんです。広場を出るとすぐにプチ・シャンプラン通り(Rue du Petit-Champlain)が始まります。断崖の下をケーブルカーのほうへと延びる、ブティックの並ぶ細い歩行者専用通りです。
ケベックの歴史を博物館でじっくりたどりたいなら、旧港方面へ数分北に歩いたところに文明博物館(Musée de la civilisation)があります。シャトー・フロントナックと断崖をもっとも美しく眺めたいなら、フェリーでレヴィ(Lévis)へ渡り、水上から振り返ってみてください。そのあとはケーブルカーでデュフラン・テラスへ上がりましょう。テラスからは、さきほどまで歩いていた急勾配の屋根並みを見下ろすことができます。
よくある質問
ロワイヤル広場がいちばん空いているのはいつですか?
週末なら7am–8amと10pm–11pmがもっとも静かです。週末の11am–8pmは混雑のピークなので、避けたほうがよいでしょう。
シャトー・フロントナックからロワイヤル広場へはどう行けばよいですか?
デュフラン・テラス(Terrasse Dufferin)から旧市街ケーブルカー(Funiculaire du Vieux-Québec)に乗ってプチ・シャンプラン通り(Rue du Petit-Champlain)まで下り、そこから数分歩くと広場に着きます。首折り階段(Escalier Casse-Cou)やコート・ド・ラ・モンターニュ(Côte de la Montagne)を歩いて下りることもできます。
ノートルダム・デ・ヴィクトワール教会の中に入れますか?
現役の教区教会のため、中に入れるかどうかは礼拝の予定によって変わります。出かける前に教区の最新の見学時間を確認しておきましょう。ミサや式典が行われているときは、静かにするよう心がけてください。
ロワイヤル広場の見学にはどれくらいの時間が必要ですか?
広場と教会の外観、壁画「ケベック人のフレスコ画(Fresque des Québécois)」を見て回るなら30–45分ほどが目安です。教会の中に入ったり、プチ・シャンプラン地区(Quartier Petit Champlain)もあわせて散策したりする場合は、もう少し時間に余裕をみておきましょう。
ロワイヤル広場は夜も入れますか?
はい、入れます。公共の広場で、現在は24時間開放とされています。週末の10pm–11pmは、もっとも静かな時間帯のひとつです。
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