四方を水に囲まれた島
グラン・ディルは、歩いてぐるりと一周できる、正真正銘の島です。南側をイル川が弧を描いて流れ、北側をフォッセ・デュ・フォー・ランパール運河(Fossé du Faux-Rempart)がふさいで、ちょうど輪のようになっています。どこから入るにも必ず橋を渡るので、島に着いたことがはっきりわかります。
この輪の内側には、ストラスブールの旧市街がぎゅっと詰まっています。中世の路地や木骨組みの家々、赤い砂岩の教会が、どれも少し歩けば届く距離に並んでいます。1988年にはユネスコの世界遺産に登録されました。フランスで市の中心部がまるごと登録されたのは、これが初めてのことです。
大聖堂と周辺の広場
まずはノートルダム大聖堂(Cathédrale Notre-Dame)へ向かいましょう。ヴォージュ産の赤みがかったピンクの砂岩で造られていて、光の加減によって赤錆色にもバラ色にも見えます。尖塔は一本だけで、完成は1439年です。それから数世紀にわたり、キリスト教世界で最も高い建物であり続けました。
堂内では、南翼廊にある天文時計をぜひ見てください。毎日12:30になると、からくり人形が行列をなして動き出します。よい場所を確保しようと、早くから人が集まります。展望台までは300段以上の階段を上りますが、晴れた日にはドイツのシュヴァルツヴァルト(黒い森)まで見渡せます。
大聖堂広場(Place de la Cathédrale)に出ると、カメルツェルの家(Maison Kammerzell)が目に入ります。後期ゴシック時代の木造家屋で、全面にびっしりと彫刻が施されています。ここから数分歩けば、次のような見どころがあります。
- ロアン宮(Palais Rohan):18世紀に建てられた司教の宮殿で、現在は3つの美術館・博物館が入っています
- グーテンベルク広場(Place Gutenberg):かつてストラスブールで活動した活版印刷の先駆者、グーテンベルクの像が立っています
- クレベール広場(Place Kléber):島で最も広い広場で、トラムの主要な乗り換え拠点でもあります
プティット・フランスと屋根付き橋
島の西端一帯がプティット・フランス(Petite France)です。昔は皮なめし職人や粉ひき職人、漁師たちが働いていた地区で、背の高い木造の家々は今も運河に身を乗り出すように建っています。屋根の下に吹き抜けの回廊を備えた家もあり、かつてはそこに獣皮を吊るして乾かしていました。
誰もがカメラを向ける通りといえば、バン・オ・プラント通り(Rue du Bain-aux-Plantes)です。そのまま西へ歩くと、中世の塔に守られた3本の橋、ポン・クヴェール(Ponts Couverts)に出ます。その奥にあるのが、17世紀に防衛のために築かれたヴォーバン堰(Barrage Vauban)です。屋上テラスからは、塔越しに大聖堂の尖塔を振り返るように眺められます。たいていは無料で上がれます。
島へのアクセス
移動の中心になるのはトラムです。クレベール広場の隣にあるオム・ド・フェール(Homme de Fer)停留所には複数の路線が乗り入れていて、降りればそこはもう島の真ん中です。島の縁に沿ったラングストロス/グラン・リュ(Langstross/Grand’Rue)やブロイ(Broglie)の停留所も便利です。
ストラスブール中央駅からは、東へ歩いて15分ほどです。クス橋(Pont Kuss)でイル川を渡れば、すぐにプティット・フランスに入ります。車はやめておきましょう。島の中心部は大部分が歩行者専用で、周辺の駐車場もすぐに満車になってしまいます。
ロアン宮の近くからは、バトラマ(Batorama)の遊覧船が出ていて、島の周りを一周します。初日の午後に乗っておくと、島の全体像がつかみやすくなります。
ストラスブール流、グラン・ディルの歩き方
通りが閉ざされることはありませんが、歩き方には少し気を配りたいところです。
- 自転車に注意しましょう。 ストラスブールはフランス屈指の自転車にやさしい街です。トラムの線路脇のレーンを自転車が走っているので、歩道から車道に出るときは左右をよく確かめてください。
- まずは「ボンジュール」と挨拶を。 何か頼む前に、カウンターの向こうにいる人にひと言挨拶しましょう。アルザスでは、挨拶を省くと失礼に受け取られます。
- 食事はヴィンシュトゥブで。 アルザスの伝統的なワイン酒場のことです。タルト・フランベ(フラムクーシュ)やシュークルート・ガルニ、ベックオフを頼み、リースリングかシルヴァネールを一杯合わせてみてください。
- チップは控えめで大丈夫です。 サービス料は会計に含まれています。端数を切り上げるか、サービスがよかったときに現金で少し上乗せする程度で十分です。
- 礼拝の場であることを忘れずに。 大聖堂は現役の教会です。堂内では静かに話し、ミサの最中は歩き回らないようにしましょう。
美術館や大聖堂の展望台は季節によって開館時間が変わります。予定を組む前に、公式サイトでその月の時間を確認しておいてください。
訪れる時期と滞在日数
12月になると、島はストラスブールのクリスマスマーケット「クリストキンデルスマルク(Christkindelsmarkt)」の会場に変わります。1570年から続く伝統の市で、ブロイ広場(Place Broglie)から大聖堂周辺の広場まで広がります。通りはたいへん混み合うので、宿は早めに予約しましょう。
春と初秋は比較的落ち着いています。バルコニーはゼラニウムの花で埋め尽くされ、運河沿いは夜遅くまで気持ちよく散歩できます。丸1日あれば、大聖堂とプティット・フランス、美術館をひとつ回れます。2日あればゆっくり過ごせて、遊覧船に乗ったり、日没後にライトアップされた大聖堂の正面を眺めたりする時間もとれます。
どの季節でも、早めに出かけるのが正解です。朝の光が大聖堂の西正面を照らすのは団体客が来る前のことで、プティット・フランスの裏路地も一日でいちばん静かな時間帯です。
よくある質問
公共交通機関でグラン・ディルへ行くにはどうすればいいですか?
トラムでオム・ド・フェール停留所まで行くのが便利です。クレベール広場のすぐ隣にあり、複数の路線が乗り入れています。ストラスブール駅からなら、東へ歩いて15分ほどです。イル川を渡るとプティット・フランスに入ります。
グラン・ディルの観光には何日必要ですか?
丸1日あれば、大聖堂と天文時計、プティット・フランスに加え、ロアン宮の美術館をひとつ見て回れます。2日あれば、遊覧船や夜の散歩も楽しめます。
グラン・ディルは夜でも入れますか?
はい、入れます。島は誰でも出入りできる市街地なので、何時でも散策できます。ただし、大聖堂の展望台や美術館はそれぞれ季節ごとに開館時間が決まっているので、各公式サイトで確認してください。
天文時計の仕掛けはいつ動きますか?
大聖堂の南翼廊にあるからくり人形は、毎日12:30に動き出します。始まるかなり前から人が集まるので、少し早めに着いておきましょう。
一年のうち、いつ訪れるのがおすすめですか?
12月はクリストキンデルスマルクの季節ですが、通りはたいへん混雑し、ホテルも埋まってしまいます。春と初秋は比較的落ち着いていて、運河沿いの散策にも向いています。
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