御成門駅または芝公園駅の地下鉄出口から南へ歩いていくと、増上寺の入り口でふいに景色のスケールが変わります。黒漆塗りの重厚な梁を組んだ二階建ての木造門が、東京タワーの赤と白の格子模様をちょうど背負う形でそびえ立っているのです。この三解脱門は1622年に建てられたもので、都心に残る木造建築としては最古級の一つ。1945年の空襲で境内の大半が焼け落ちるなか、この門だけは焼失を免れました。
増上寺は1590年代以降、浄土宗の大本山として、徳川将軍家の菩提寺を担うためにこの地へ移されました。境内には徳川将軍6人の墓所があり、江戸時代当時に比べれば規模はずいぶん控えめになったものの、旧境内から移された石灯籠や門が今もその名残をとどめています。
三解脱門と大殿
参拝はまず三解脱門をくぐるところから始まります。ここが正式な入り口にあたり、多くの人は通りの側から、背後に東京タワーがそびえる構図で門を撮影しています。
門をくぐった先、一段高くなった場所に建つのが大殿(本堂)です。戦災で失われた本堂に代わり、1970年代にコンクリートで再建されたもので、三解脱門に比べると装飾は控えめですが、宗派の日々の法要が実際に営まれている場所でもあります。参拝者は誰でも上がって手を合わせ、賽銭箱に小銭を入れることができます。
- 三解脱門:1622年建立。東京に残る最古級の木造建築の一つ
- 大殿:20世紀に再建されたコンクリート造の本堂
- 安国殿:徳川家康の念持仏と伝わる黒塗りの阿弥陀如来像を安置する、やや小さめの脇堂
千躰子育地蔵尊と地蔵尊の列
本堂の脇にある光摂院という一角には、増上寺で最も写真に撮られる光景が広がっています。びっしりと並ぶ何百体もの小さな石の地蔵尊で、その多くには親が編んだ毛糸の帽子やよだれかけが着けられています。千躰子育地蔵尊と呼ばれるこれらの像は、流産や死産で亡くなった子どもたちを弔うものとも言われ、そばには境内を吹き抜ける風を受けてくるくると回る風車が添えられています。
ここは静かで、どこか厳粛な空気の漂う場所です。地元の人々もここでは自然と声を落とし、たとえそれまでの参拝が気軽なものであっても、この一角だけは静かに歩くのがふさわしいでしょう。
徳川家霊廟の見どころ
将軍家の霊廟「徳川将軍家墓所」は本堂の東側にありますが、1945年以前に比べるとその規模はずっと小さくなっています。かつての金箔をまとった建造物の多くは、戦火で焼失するか戦後に解体されてしまったためです。今残っているのは石造りの門や灯籠の列、そして墓所そのものくらいで、たいていは柵の外から眺める形になり、自由に歩き回れるわけではありません。
内部の霊廟エリアへの一般公開は年によって扱いが変わり、他の境内エリアのように常に同じ形で開かれているとは限らないため、ここを目的に訪れる場合は事前に最新の公開状況を確認しておくとよいでしょう。
人混みを避けて東京タワーの写真を撮るには
増上寺で最も繰り返し撮られている一枚は、三解脱門の真後ろに東京タワーが重なる構図で、門のすぐ南側、境内東側の横断歩道近くの通りから撮影されています。週末の午前11時から午後4時にかけては、同じ構図を狙う人たちが次々とやって来るため、順番待ちになることも珍しくありません。
寺の来訪者データによれば、平日・週末を問わず開門直後の午前9時に訪れれば、本当に静かな時間を過ごせます。午前9時から10時がどちらの曜日でも最も空いている時間帯で、それ以降は昼過ぎにかけて徐々に人が増えていきます。
東京でこの構図の写真を一枚だけ狙うつもりなら、日の出から午前中の早い時間帯を狙い、昼どきは避けるのがおすすめです。
境内を歩く際のマナー
増上寺は博物館ではなく、今も信仰の場として機能しているお寺です。作法としては神社よりも仏閣に近いものになります。
- 大殿の賽銭箱に近づく前後には、軽く一礼しましょう
- 小銭を賽銭箱に入れたあと、静かに一礼するのが基本の作法です。柏手を打つのは神社の作法なので、ここでは行いません
- 屋外の境内での撮影は基本的に問題ありませんが、地蔵尊が並ぶ一角や霊廟の柵の周辺では、より控えめに、静かに振る舞いましょう
- 主要な境内を歩く分には拝観料はかかりませんが、特定の塔頭や宝物展示では過去に小額の拝観料が発生したこともあるため、当日の掲示を確認してください
多くの参拝者は、想定していたよりも長く境内で過ごすことになります。一つ一つの建物にじっくり見るべきものが多いというよりも、門と背後の東京タワー、そして地蔵尊の列という組み合わせが、自然と足を止めさせ、二度見させる力を持っているからでしょう。
アクセスと参拝時間の目安
増上寺は港区芝公園にあり、都営地下鉄の御成門駅か芝公園駅のどちらからも徒歩すぐです。東京タワーからもすでにその周辺にいるなら歩いて行ける距離にあります。
- 開門時間:毎日午前9:00〜午後5:00、曜日による変動なし
- 最も空いている時間帯:平日・週末とも午前9時〜10時
- 最も混み合う時間帯:週末の午前11時〜午後4時。門を独り占めしたいならこの時間は避けたいところです
- 参拝の目安時間:境内をひと通り回るなら45分、じっくり撮影したり地蔵尊のそばで過ごしたりするなら最大90分
これほど評価の高いお寺であり、都内でも指折りの参拝者数を誇る仏教寺院である以上、どの時間帯でも完全な静けさを期待するのは禁物です。早朝の時間帯はあくまで「比較的空いている」だけであって、無人になるわけではありません。
境内の一部を取り囲むように広がる芝公園と合わせて訪れれば、三解脱門と東京タワーの組み合わせを別の角度から眺められます。そのまま北へ5〜10分ほど歩けば、東京タワーそのものにも足を延ばせます。
よくある質問
増上寺へのアクセス方法は?
都営地下鉄の御成門駅か芝公園駅で降りれば、どちらからも境内まで徒歩すぐです。東京タワーと合わせて観光するなら、そちらからも徒歩5〜10分ほどで着きます。
拝観料はかかりますか?
三解脱門や大殿の外観、地蔵尊が並ぶ一帯など、屋外の主要な境内を歩くだけなら無料です。ただし一部の塔頭や特別展示では小額の拝観料がかかることもあるため、当日の掲示で確認してください。
最も空いている参拝時間帯はいつですか?
平日・週末を問わず、開門直後の午前9時から10時が最も静かです。週末は午前11時から午後4時にかけて混み合うため、三解脱門と東京タワーをきれいに一枚に収めたいなら、この時間帯は避けたほうがよいでしょう。
参拝にはどのくらい時間を見ておけばよいですか?
境内全体をひと通り歩くだけなら45分ほどで足ります。門をじっくり撮影したり、光摂院の地蔵尊のそばで時間を過ごしたりするなら、90分ほど見ておくと安心です。
周辺には何がありますか?
境内の一部を取り囲むように芝公園が広がっており、門と東京タワーを別の角度から眺められます。東京タワー自体も、そこから北へ少し歩いた場所にあります。
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このスポットは東京5日間コースの1日目に登場します