信徒が去ったあとも残る礼拝堂
アハルツィヘを訪れる人のお目当ては、たいてい城です。ラバティ城の金色に輝くドームを写真に収め、昼食をとってから、そのままヴァルジアへ向かうのが定番の流れです。シナゴーグまで足を延ばす人はごくわずかですが、だからこそ訪れる価値があります。
ここは、ジョージア南部に残るユダヤ人の暮らしの証のなかでも、とりわけ古いもののひとつです。建物はこぢんまりとしていますが、実際に訪れた人からの評価は安定して高めです。この場所の意味は、かつて周囲に広がっていた世界を知ってこそ見えてきます。訪れる前に、その歴史を少し頭に入れておくとよいでしょう。
町のユダヤ人の歴史をかいつまんで
アハルツィヘには何世紀にもわたってユダヤ人が暮らしていました。ジョージアの諸王国とオスマン帝国の世界がせめぎ合う旧国境の交易の町で、その一角を担っていたのです。長いあいだ、ここのコミュニティはジョージア有数の規模を誇り、独自の通りや商人、祈りの場を持っていました。
20世紀に入ると、なかでも1970年代以降、ジョージアのユダヤ人の多くがイスラエルへ移住しました。アハルツィヘのコミュニティも、ほんの数家族を残すだけになりました。かつての世界の大半が失われるなかで、シナゴーグは生き延びました。見学はほんの短時間で済みますが、寄り道する価値があるのはそのためです。
出かける前に、ジョージアのユダヤ人について少し調べておくことをおすすめします。彼らの伝統はアシュケナジムのものとは異なり、1000年をはるかに超える年月をジョージアのキリスト教徒とともに歩んできました。それを知っているだけで、静かな部屋から読み取れるものがぐっと増えます。
「24時間営業」の本当の意味
Googleでは現在、このシナゴーグは今週は毎日24時間営業と表示されています。ただしこれは敷地の状態を示しているだけで、扉がいつでも開いているという意味ではありません。
信徒がごく少ない町の小さなシナゴーグは、ふだんは施錠されているのが一般的です。鍵はコミュニティの方か近所の住民が預かっていることがほとんどです。実際には次のようになります。
- 外観や通りの様子は、常識的な時間帯であればたいてい見られます。
- 中に入るには、近所で尋ねたり、建物を管理している人を待ったりする必要があるかもしれません。
- 深夜に行っても意味はありません。何も見えないうえに、周囲は住宅地です。
明るい時間帯に訪れ、予定には余裕を持たせておきましょう。アハルツィヘのホテルやゲストハウスに聞けば、誰に頼めばよいか教えてもらえることがよくあります。手当たり次第に戸をたたくより、そのほうが確実です。
アハルツィヘへの行き方と建物の探し方
アハルツィヘはジョージアの南西部にあり、トビリシからは車で3~4時間ほどです。トビリシのディドゥベ・バスターミナル(Didube)から、乗り合いミニバス(マルシュルートカ)が出ています。道路で1時間ほどの距離にあるボルジョミを経由して向かうこともできます。
シナゴーグの住所はプラスコードで、JXVJ+X4G, Akhaltsikhe です。通りの名前を頼りにするより、このコードをそのままGoogleマップに入力しましょう。旧市街は案内表示が少なく、あってもほとんどがジョージア語です。
アハルツィヘはこぢんまりとした町です。ラバティ城の見学で町に来ているなら、タクシーですぐに、あるいは歩いてでもたどり着けます。ジョージアの地方都市のタクシーは、多くの旅行者にとって安く感じられる料金で、運転手も旧市街の地理に通じています。出発前に料金を決めておくか、現地で使える配車アプリがあればそれを利用しましょう。
祈りの場を訪れるときの心得
ここは何よりもまず宗教施設であり、観光名所であるのはその次です。次のような点を心がければ、見学がスムーズになり、地元の方にも快く迎えてもらえます。
- 控えめな服装で。 肩とひざは隠しましょう。男性は館内で頭を覆うのが前提で、入口でキッパを差し出されることもよくあります。
- 安息日(シャバット)を尊重しましょう。 金曜の日没から土曜の夜までは見学案内を期待せず、祈りをささげている人の撮影も控えてください。ユダヤ教の祝祭日も同様です。
- 館内を撮影する前には許可を求めましょう。 トーラーを納めた聖櫃は特に注意が必要です。
- 建物を開けてもらったら寄付をしましょう。 維持管理はごく少数の人の肩にかかっています。寄付箱に入れても直接手渡しても構わず、金額の決まりはありません。
- ジョージア語を少し覚えておくと役立ちます。 「ガマルジョバ(こんにちは)」と「マドロバ(ありがとう)」のひと言で、鍵を持つ方との距離がぐっと縮まります。年配の住民にはロシア語もよく通じます。
管理人を施設の職員のように扱うのはやめましょう。わざわざ扉を開けに来てくれたのは、あくまで厚意によるものです。見学のペースは相手に任せ、かつてここで祈っていた家族の話をしてくれるなら、ぜひ耳を傾けてください。
ラバティ城や南の見どころと組み合わせて
アハルツィヘで過ごす一日のなかに、シナゴーグは無理なく組み込めます。セットで訪れるなら、やはりラバティ城です。大規模に修復された城塞群で、モスク、教会、ミナレット、博物館がそろっています。この城が物語るのは町の多様な歴史であり、シナゴーグもまさにその歴史の一部です。
そこから先へ向かう定番のルートは次のとおりです。
- ヴァルジア:ムトクヴァリ川を見下ろす断崖に刻まれた12世紀の洞窟修道院で、南へ約60 kmです。
- サパラ修道院:町から車ですぐの丘陵地にある、静かな修道院群です。
- ボルジョミ:ミネラルウォーターで知られる温泉保養地で、トビリシへ戻る途中にあります。
まずラバティ城を見学し、そのあとシナゴーグで20~40分過ごすのが無理のない計画です。ヴァルジアは午後か翌朝に回せます。
訪れるのに適した時期
この地方を旅しやすいのは、晩春から初秋にかけてです。ヴァルジアや山あいの村々へ続く道も通行しやすく、日も長いので、見どころを一通り回れます。
冬のサムツヘ・ジャワヘティ州は冷え込みが厳しく、雪も降ります。シナゴーグは短時間で見られるので季節の影響はあまり受けませんが、日照時間が限られます。建物を開けてくれる人を見つけやすいのは、平日の日中です。金曜の夜と土曜は、本来の目的である礼拝のための時間なので避けましょう。
よくある質問
アハルツィヘのシナゴーグは本当に24時間開いているのですか?
Googleでは現在24時間営業と表示されていますが、これは主に敷地に立ち入れることを示したものです。礼拝堂は施錠されていることが多いので、明るい時間帯に訪れましょう。鍵を持っている人については、近所で尋ねるか、宿泊先のゲストハウスを通じて探してもらう心づもりでいてください。
トビリシからシナゴーグへはどうやって行けばよいですか?
トビリシのディドゥベ・バスターミナルからアハルツィヘ行きのマルシュルートカに乗ります。所要時間はおよそ3~4時間です。到着したらGoogleマップにプラスコード「JXVJ+X4G」を入力し、旧市街まで歩くか、タクシーで少し移動してください。
見学にはどのくらいの時間を見込めばよいですか?
20~40分が目安です。建物を開けてくれる人を探す場合は、待ち時間も加えておきましょう。同じ日にラバティ城と組み合わせるのも簡単です。
土曜日に訪れることはできますか?
金曜の夕方から土曜の夜まで、そしてユダヤ教の祝祭日は避けてください。この時間帯は安息日(シャバット)にあたり、建物は礼拝に使われるため、見学や撮影はふさわしくありません。おすすめは平日の日中です。
近くにはほかにどんな見どころがありますか?
町なかにはラバティ城があります。南へ約60 kmの場所には洞窟修道院のヴァルジア、丘陵地へ車ですぐの場所にはサパラ修道院があります。トビリシへ戻る道沿いには、1時間ほどで着く温泉保養地のボルジョミもあります。
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