旧城壁の上に建つ美術館
住所を見れば、この美術館がどんな場所にあるのかがわかります。「Am Wall」はブレーメンの旧市街を囲んでいた城壁の跡に沿って延びる通りで、美術館は城壁を取り壊した跡につくられたヴァルアンラーゲン公園(Wallanlagen)の中に建っています。緑の中をゆるやかに弧を描く堀に沿って歩いていくと、建物の正面階段にたどり着きます。
美術館を所有しているのはブレーメン芸術協会(Kunstverein in Bremen)です。1823年に市内の商人や市民が設立した市民の美術団体で、現在も運営を担っています。最初の建物が開館したのは1849年のことで、美術館として建てられた施設としてはドイツでも古い部類に入ります。民間の市民の手で始まった美術館だということは、コレクションからもうかがえます。
所蔵品の多くは王侯の宮廷から受け継いだものではなく、地元の人々が購入したり寄贈したりしたものなのです。
展示室で出会える作品
展示はおよそ6世紀にわたり、時代の順にたどることができます。最初が古典巨匠の絵画で、19世紀の作品、近代美術、現代美術と続きます。ぜひ探してみてほしい作家と作品は次のとおりです。
- 古いヨーロッパ絵画の展示室にあるルーベンスとレンブラント
- クールベと、その後に続いたフランスの写実主義・印象派の画家たち
- 緑の縞模様のドレスをまとった女性を描いた1866年の全身肖像画、クロード・モネの『カミーユ』
- ピカソをはじめとする20世紀美術の展示室
- ブレーメン郊外の芸術家村で活動した、パウラ・モーダーゾーン=ベッカーらヴォルプスヴェーデの画家たち
館内のかなりの部分は企画展に使われていて、展示は1年を通して入れ替わります。出かける前に開催中の展覧会を確認しておきましょう。大規模な企画展があると見学全体の組み立てが変わりますし、別途チケットが必要になる場合もあります。
論争を巻き起こしたケシ畑
この美術館には、ブレーメンにとどまらない物語をもつ絵が1点あります。1911年、美術館はフィンセント・ファン・ゴッホの『ケシ畑』(1889年)を購入しました。これをきっかけに起きたのが「ブレーメン芸術家論争(Bremer Künstlerstreit)」です。ドイツの美術館が公金を使ってフランスの近代画家の作品を買うべきかどうかをめぐって、全国規模の議論となりました。
抗議の先頭に立ったのは画家のカール・フィネン(Carl Vinnen)でしたが、多くの著名な芸術家や批評家が美術館を擁護する声を上げました。論争は美術館の勝利に終わり、絵はいまもここに展示されています。この小さなキャンバスがかつてドイツ美術界を二分したことを思い浮かべながら眺めてみてください。館内のほかの展示に見られる、収集に対する自信の源がよくわかるはずです。
上の階にある版画素描室(Kupferstichkabinett)には、ドイツでも有数の規模を誇る版画・素描のコレクションが収められています。紙の作品は光に弱いため、特別展示で入れ替えながら公開されています。素描コレクションの一部は第二次世界大戦の終わりに失われたり持ち去られたりしており、いまだに戻ってきていない作品もあります。
火曜は夜9時まで
開館時間には、予定を立てるうえで押さえておきたい特徴がひとつあります。ほかの開館日はすべて午後5時に閉まりますが、火曜だけは午後9時まで開いているのです。仕事帰りや旧市街を一日歩いたあとに、ゆっくり見て回るなら火曜がおすすめです。
月曜は休館日です。月曜に訪れて入れるものと思い込み、結局外観を眺めるだけで終わってしまう旅行者が少なくありません。ブレーメンに日曜から火曜まで滞在するなら、美術館は火曜の夜に回し、日中はマルクト広場の観光にあてるとよいでしょう。
水曜から日曜の開館時間は午前10時〜午後5時です。閉館前には展示室から人が退出し始めるので、午後の半ばに着いた場合は、常設展にかける時間を少なめに見積もっておきましょう。
入館から館内の回り方まで
受付は入口を入ってすぐのところにあります。最新の入館料は受付と美術館の公式サイトに掲示されていて、支払いはカウンターで行います。大きな荷物やコートは、展示室に入る前にクロークかロッカーに預けるのが一般的です。これはドイツの美術館ではごく普通のルールです。
次のような点を心がけておくと、見学がよりスムーズになります。
- 絵画から距離をとりましょう。 ドイツの美術館では、作品に近づきすぎたり、キャンバスのそばで指をさしたりすると係員から注意されます。
- 写真撮影のルールは受付で確認を。 常設展と、他館から作品を借りている企画展とでは撮影ルールが異なることが多く、フラッシュは基本的に禁止です。
- 館内マップを手に入れましょう。 建物はもとの本館に、のちに増築された棟がつながった構造です。マップがないと、常設展の展示室をまるごと見逃してしまうこともあります。
- チケットに大規模な企画展が含まれているなら、先に企画展を見ましょう。 そのあと、まだ疲れていないうちに常設展を回るのがおすすめです。
週末の午後は、多くの人が時間に余裕のある時間帯なので混み合う傾向があります。静かな展示室で鑑賞したいなら、平日の開館直後に訪れるのが無難です。
徒歩またはトラムでのアクセス
美術館があるのは、中世の街並みが残る中心部と、地元の人が「フィアテル(das Viertel)」と呼ぶオスタートーア地区のあいだです。最寄りのトラム停留所は2番・3番線が停まるテアター・アム・ゲーテプラッツ(Theater am Goetheplatz)で、そこからAm Wallまでは歩いてすぐです。
市庁舎やローラント像があるマルクト広場(Marktplatz)からは、大聖堂の横を通って歩いて約10分です。ブレーメン中央駅(Bremen Hauptbahnhof)からは、ヴァルアンラーゲン公園の堀沿いを歩くルートがいちばん気持ちよく歩けます。徒歩で約20分かかりますが、交通量の多い道路をほとんど通らずに済みます。
美術館の周辺
美術館のすぐ近くの施設を回るだけでも、午後を気軽に過ごせます。すぐ隣にあるゲルハルト・マルクス・ハウス(Gerhard-Marcks-Haus)は、かつてのオスタートーア衛兵所を利用した彫刻の美術館です。デザインを扱うヴィルヘルム・ヴァーゲンフェルト・ハウス(Wilhelm Wagenfeld Haus)も、同じ旧城壁沿いにあります。
さらに東へ進むと、オスタートーアシュタインヴェーク(Ostertorsteinweg)沿いにフィアテルが広がります。通りにはカフェや小さなバー、個人経営の店が軒を連ねていて、火曜の夜に美術館を訪れたあとの食事にぴったりです。西へ向かえば、細い路地が入り組むシュノーア地区(Schnoor)やベトヒャー通り(Böttcherstraße)も徒歩圏内なので、美術館と旧市街での数時間を組み合わせて楽しむのも簡単です。
よくある質問
ブレーメン美術館は月曜も開いていますか?
いいえ、毎週月曜は休館です。火曜は午前10時〜午後9時、水曜から日曜は午前10時〜午後5時に開館しています。
ブレーメン美術館の見学にはどのくらい時間がかかりますか?
常設展と企画展をひとつ見るなら、2〜3時間はみておきましょう。大規模な特別展だけでも1時間以上かかることがあります。
公共交通機関でブレーメン美術館へ行くにはどうすればよいですか?
トラム2番線または3番線でテアター・アム・ゲーテプラッツ(Theater am Goetheplatz)まで行き、そこからAm Wall 207まで数分歩きます。ブレーメン中央駅(Hauptbahnhof)からヴァルアンラーゲン公園を通って歩いていくこともでき、約20分で着きます。
コレクションの見どころは何ですか?
ルーベンス、レンブラント、クールベ、ピカソの作品のほか、モネの肖像画『カミーユ』、パウラ・モーダーゾーン=ベッカーをはじめとするヴォルプスヴェーデの画家たちの作品は必見です。1911年の「ブレーメン芸術家論争」の発端となったゴッホの『ケシ畑』もぜひご覧ください。
近くにはほかにどんな見どころがありますか?
すぐ隣に彫刻美術館のゲルハルト・マルクス・ハウスがあります。マルクト広場、市庁舎、ローラント像までは歩いて約10分です。東側にはオスタートーア地区(フィアテル)のカフェ街がすぐ始まります。
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