赤いビロードと金に彩られた馬蹄形の劇場
客席に足を踏み入れると、そこは馬蹄形の空間です。1階席から絵画で飾られたドームに向かって、7層のボックス席とギャラリー席が弧を描くようにせり上がっています。ホール全体を包むのは、赤いビロードと金箔を施した漆喰の装飾です。
1908年の開場以来、この劇場の音響は音楽家たちから絶賛され続けてきました。音響面では世界屈指のオペラハウスとして、たびたび名前が挙がります。座席数は約2,500席で、これに加えて立ち見席もあります。それでも舞台との距離は近く感じられます。上階のギャラリー席から見ると歌手の姿は小さくても、その声は少しも損なわれることなく届きます。
セリート628への行き方
劇場の正面は7月9日大通り(Avenida 9 de Julio)に面しており、住所はセリート628です。セリート通りは、この広い大通りに沿って走る側道です。建物の裏手にはラバジェ広場(Plaza Lavalle)が広がり、数ブロック南にはオベリスコがそびえています。
- 地下鉄D線: 最寄りはトリブナレス駅で、ラバジェ広場側に出られます。
- 地下鉄B線: カルロス・ペジェグリーニ(Carlos Pellegrini)駅で降り、7月9日大通りを北へ歩きます。
- 地下鉄C線: ディアゴナル・ノルテ(Diagonal Norte)駅を利用します。オベリスコ地下の同じ乗換駅につながっています。
7月9日大通りを歩いて渡るには、信号1回分では足りません。開演時間が迫っている場合は、時間に余裕をもって、表示のある横断歩道を渡りましょう。
ツアーで巡るホワイエ、黄金の間、客席
ガイドツアーは約50分で、スペイン語と英語で行われます。夜の公演に行けない方にとって、館内に入るいちばん手軽な方法です。大理石の階段とステンドグラスの天井が美しいメインホワイエを通り、続いて室内楽コンサートに使われる金色に輝くホール、サロン・ドラード(Salón Dorado)へと進みます。
多くのツアーは、客席を見下ろすボックス席やバルコニーで締めくくられます。リハーサルが行われていなければ、舞台とドームの全景を眺められます。このドームの絵は、1960年代にアルゼンチンの画家ラウル・ソルディ(Raúl Soldi)によって描き直されたものです。
ツアーはこの街を訪れるほぼすべての旅行者に人気があり、枠はすぐに埋まってしまいます。劇場で列に並ぶより、出発前にオンラインで予約しておきましょう。見学には1時間ほどかかるうえ、ホワイエでの写真撮影の時間も見込んでおくと安心です。
未亡人のボックス席と「パライソ」
かつてのブエノスアイレスの社交界がこの劇場をどのように使っていたのか、館内の2つの場所から垣間見ることができます。
1階席の高さで、金属の格子に覆われたボックス席を探してみてください。これがパルコス・デ・ビウダ(palcos de viuda)、つまり未亡人のボックス席です。夫を亡くして間もない女性たちは、この格子の陰からオペラを聴きました。人目に触れて喪の慣習を破ることがないようにするためです。専用の入口もあり、メインホワイエからは見えない場所に設けられています。
建物の反対側、ドームのすぐ下の最上階にあるのが*パライソ(paraíso)*と呼ばれるギャラリー席です。いちばん安い席と立ち見席がここにあり、何十年ものあいだ、音楽学生や熱心なファンたちがこの場所に陣取ってきました。音がいちばん良いのは上階席だと話す常連客も少なくありません。舞台は急角度から見下ろす形になり一部しか見えませんが、音はすべて聴き取れます。
建物だけでなく、公演も味わう
ツアーで分かるのはホールの姿です。公演に足を運べば、その響きを耳で確かめられます。そして、コロン劇場の名声を支えているのはまさにその響きなのです。演目はオペラ、バレエ、交響楽コンサートと幅広く、メインシーズンは南半球の秋から初夏にあたる3月から12月までがおおよその目安です。劇場には専属のオーケストラ、バレエ団、合唱団があります。
予約時に目にする座席の名称は次のとおりです。
- プラテア(Platea): 1階の平土間席です。
- パルコス(Palcos): *ベニョワール(baignoire)*階から上のボックス席です。ボックス内の前列がいちばんよく見え、後列だと身を乗り出さなければならないこともあります。
- カスエラ(Cazuela)、テルトゥリア(tertulia)、ガレリア(galería): 中層から上層の席です。
- パライソ(Paraíso): 立ち見席を含む最上階のギャラリー席です。
料金は演目や座席によって大きく異なります。teatrocolon.org.arか、座席表が掲示されているチケット売り場で確認しましょう。
コロン劇場での観劇マナー
いくつかの習慣を知っておくと、観客の中にすんなり溶け込めます。
- チケットは公式サイトで予約しましょう。 大型公演は完売することがあり、ほかのサイトで出回る転売チケットが本物とは限りません。
- 早めに到着しましょう。 遅れて来た人は休憩時間まで案内係に扉の前で止められます。照明が落ちる前に着席しておきましょう。
- 服装はスマートカジュアル以上で。 厳格なドレスコードはありません。夜のオペラには多くの地元客が少しおしゃれをして訪れますが、マチネはもう少しくだけた服装でも大丈夫です。
- コンサートでは拍手を控えましょう。 交響曲が最後まで終わるまで待つのがマナーです。一方、オペラでは大きなアリアのあとに拍手が起こり、上階席から「ブラボー!」の声が飛ぶこともあります。
- 幕間を活用しましょう。 ホワイエやサロン・ドラードが開放されていれば、歩いて見て回るのがおすすめです。館内にはツアーよりもチケットを持っている方が見やすい場所もあります。
- 呼び方にも気を配りましょう。 スペイン語では「エル・コロン(el Colón)」と呼びます。地元の人はわざわざ「テアトロ」とはあまり付けません。
ツアーとチケット売り場の営業時間は、季節や公演スケジュールによって変わります。訪れる週に公式サイトで確認しておきましょう。
ラバジェ広場周辺
劇場の裏手の通りは、観劇の前後に散策する価値があります。ラバジェ広場は最高裁判所の建物である司法宮殿(Palacio de Justicia)の方へと延びており、その堂々とした建物は広場を挟んでコロン劇場と向かい合っています。広場の一角には、この街で最も有名な歴史あるシナゴーグ、テンプロ・リベルタッド(Templo Libertad)が建っています。数ブロック先のコルドバ大通り(Avenida Córdoba)には、華やかなスペイン様式のファサードをもつセルバンテス国立劇場(Teatro Nacional Cervantes)もあります。
7月9日大通りを南へ進むと、オベリスコと、劇場が立ち並ぶコリエンテス大通り(Avenida Corrientes)の一帯に出ます。通り沿いにはピザ店や書店が軒を連ね、夜遅くまでにぎわっているので、観劇後の食事にも気軽に立ち寄れます。
よくある質問
地下鉄(スブテ)でテアトロ・コロンへ行くには?
最寄りはD線のトリブナレス駅で、劇場のラバジェ広場側に出られます。オベリスコの地下にあるカルロス・ペジェグリーニ駅(B線)とディアゴナル・ノルテ駅(C線)からも、7月9日大通りを北へ数ブロック歩けば到着します。
テアトロ・コロンのツアーの所要時間は?
約50分です。スペイン語と英語のツアーがあり、メインホワイエや黄金の間(サロン・ドラード)を巡ったあと、客席を見渡せる場所へ案内されます。枠がすぐに埋まるので、teatrocolon.org.arで事前に予約しておきましょう。
ツアーと公演鑑賞、どちらがおすすめですか?
時間に余裕があるなら、ぜひ公演を鑑賞してください。この劇場は音響の素晴らしさで知られており、それを体感できるのは上演中だけだからです。日中に訪れる方や、公演日程が合わない方にはツアーが向いています。
公演シーズンはいつですか?
オペラ、バレエ、コンサートのメインシーズンは、おおむね3月から12月までです。各演目の正確な日程や開演時間、座席料金は公式サイトで確認できます。
ドレスコードはありますか?
厳格なドレスコードはありません。スマートカジュアルで問題ありませんが、夜のオペラやバレエには少しおしゃれをして来る地元の観客が多く見られます。遅れて到着すると休憩時間まで外で待たされるため、時間には遅れないようにしましょう。
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