街並みよりも古い一軒の家
コンクリートの建物が続き、頭上には電線が絡み合っています。マビニ通りはそんな何の変哲もない通りですが、歩いていくと、粘土瓦の屋根をのせたサンゴ石の壁が突然姿を現します。これがヤップ・サンディエゴ祖先の家(Yap-San Diego Ancestral House)です。建てられたのは1600年代後半で、フィリピンに現存する民家の中でも屈指の古さを誇ります。
最初の住人は、中国人商人のドン・フアン・ヤップと妻のドニャ・マリア・フロリドでした。夫妻が暮らしたパリアンは、スペイン統治時代にセブの中国系商人が住まわされた地区です。その後、婚姻を通じて家はサンディエゴ家に引き継がれました。修復を手がけ、一般に公開したのは現在の所有者です。
1階はサンゴ石、2階は堅木
家の造りは、昔ながらの「バハイ・ナ・バト」様式です。1階の壁にはブロック状に切り出した分厚いサンゴ石が積まれていて、室内をひんやりと保ってくれます。2階は重厚な木造で、幅の広い板張りの床と大きな窓が特徴です。ゆっくり歩きながら、木材の継ぎ目にも目を向けてみてください。中には300年以上前に据えられた木材もあります。
室内には、所有者のコレクションがぎっしりと並んでいます。
- 手彫りの家具: 植民地時代の様式で作られた、黒光りする木製のベッドや飾り棚、椅子
- 宗教美術: 聖人の木彫りや信仰の品々。ガラスケースに収められたものもあります
- 生活道具: 何世紀にもわたる暮らしを伝える古い壺や陶磁器、台所道具
- 庭: 石壁の奥に広がる緑の中庭。外の喧騒を忘れてひと息つけます
ロープで仕切られた展示も、長々とした解説パネルもありません。今も人が住んでいて、すべてがそのまま残されているかのような空間です。一部屋ずつじっくり眺める時間をとりましょう。
パリアン地区のマビニ通りへ
セブシティには地下鉄がないので、タクシーやグラブ、ジプニーで向かうのが一般的です。運転手に「ヤップ・サンディエゴ、マビニ通り、パリアン」と伝えれば、たいてい通じます。所在地は155 Mabini Stで、サント・ニーニョ教会(Basilica Minore del Santo Niño)やマゼランクロスから車ですぐです。
ここまで来れば、旧市街のほかの見どころへは歩いて回れます。
- セブ・ヘリテージ記念碑(Heritage of Cebu Monument): パリアン広場に立つ大きな彫刻で、徒歩数分です
- カーサ・ゴロルド博物館(Casa Gorordo Museum): 近くのロペス・ハエナ通りにある、こちらも修復された旧家です
- 1730年イエズス会の家(Jesuit House of 1730): 植民地時代のイエズス会の住居で、同じパリアン地区にあります
- コロン通り(Colon Street): フィリピン最古の通りとしてよく知られ、地区を出てすぐのところにあります
徒歩で半日あれば無理なく回れます。午前9時に開くヤップ・サンディエゴ祖先の家からスタートするとよいでしょう。
混雑を避けるなら時間帯が肝心
営業時間は毎日午前9時から午後7時までで、曜日による違いはありません。平日なら、午前9時から10時までの時間帯が最も静かです。部屋をひとり占めして、人の写り込まない写真を撮りたいなら、この1時間が狙い目です。
週末はまったく事情が異なります。土曜・日曜の午前11時から午後4時は、一日のうちで最も混み合います。狭い部屋にツアー客や家族連れがひしめき、階段には行列ができるほどです。週末しか行けない場合は、開館と同時か、夕方近くに訪れましょう。
見学時間は45分から1時間が目安です。古い家具の細部までじっくり見たい人は、もう少し余裕をもってください。
今も個人の家であることを忘れずに
有名な場所で、たいていの歴史散策ルートにも組み込まれているため、人の少ない穴場を期待するのは禁物です。満足度を左右するのは、部屋の中でのふるまい方です。
- 入口で料金を支払いましょう。 最新の料金は入口で確認できます。ペソの現金を用意しておいてください。
- 見るだけにして、寄りかからないように。 ベッドや飾り棚、彫刻はすべて当時のもので、柵はほとんどありません。狭い場所ではバッグを体に引き寄せておきましょう。
- 床と階段に注意を。 古い木材のため、ところどころ床が平らではありません。階段はゆっくり上り下りしてください。
- フラッシュを使う前にひと声かけて。 写真撮影は歓迎されていますが、宗教像の近くではフラッシュを控えるよう、スタッフに頼まれることがあります。
- 聖人像は信仰の対象として。 多くのセブの人々にとって、これらの像は飾りではなく今も神聖なものです。近くでは声を落としましょう。
建物の中でも特に古い部分は、スタッフに尋ねれば教えてもらえます。どの梁や壁が建築当時のものかを聞いてみると、会話のきっかけにもなります。
午後はパリアン散策と組み合わせて
最初にこの家を訪れておくと、地区のほかの見どころがぐっと理解しやすくなります。サンゴ石の壁に木造の上階という造りを一度目にすれば、カーサ・ゴロルドでも同じ建築様式に気づくはずです。セブ・ヘリテージ記念碑では、中国人商人やスペイン統治の場面を探してみてください。先ほど見てきた家も、まさにその時代に生まれたものです。
最後はサント・ニーニョ教会かコロン通りで締めくくりましょう。わずか数ブロックを歩くだけで、400年を超えるセブの歴史をたどったことになります。
よくある質問
ヤップ・サンディエゴ祖先の家がいちばん空いているのはいつですか?
平日は、開館直後の午前9時から10時までが最も静かです。週末は午前11時から午後4時がいちばん混むので、この時間帯は避けましょう。
営業時間を教えてください。
月曜から日曜まで毎日、午前9:00から午後7:00まで開いています。
アクセス方法は?
タクシーやグラブ、ジプニーで、セブシティのパリアン地区にある155 Mabini Stへ向かいます。サント・ニーニョ教会やマゼランクロスから車ですぐの距離です。名前を告げれば、たいていの運転手に通じます。
見学にはどのくらい時間がかかりますか?
各部屋と庭をひと通り見るなら、45分から1時間が目安です。見学後にパリアン周辺の名所を歩いて回るなら、そのぶん時間に余裕をもたせてください。
近くにほかの見どころはありますか?
セブ・ヘリテージ記念碑、カーサ・ゴロルド博物館、1730年イエズス会の家は、いずれも歩いて行ける距離にあります。フィリピン最古の通りとしてよく知られるコロン通りも徒歩圏内です。
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