表参道から一本内側へ
表参道は、フェリー乗り場から厳島神社へ向かう際に多くの観光客が通る、屋根付きの商店街です。町家通り(まちやどおり)は、その表参道と並行して一本内側を走る通りです。商店街の喧騒が聞こえるほど近い距離にありながら、雰囲気はまったく異なります。
商店街では焼き牡蠣やもみじ饅頭が売られていますが、この通りに一歩入ると、格子戸を構えた二階建ての木造町家が軒を連ねる細い道が広がります。中にはカフェや宿、小さな店として営業しているところもありますが、多くは今も人が暮らす住居です。だからこそ、この通りは静けさを保っているのです。
格子戸の読み解き方
「町家」とは、間口が狭く奥行きの深い、昔ながらの商家造りの町屋を指す言葉です。外観には、次のような特徴が見られます。
- 格子(こうし): 1階の窓を覆う、細かく縦に組まれた木の格子です。光は通しつつ、外から中を見えにくくしています。
- 低い二階: 上階は瓦屋根の軒下に低く収まっており、江戸時代の町家に典型的な比率です。
- 狭い間口: 一軒一軒が通りに面した部分は狭く、奥へ長く伸びる造りになっています。
- 暖簾と木製の看板: 現在も商いを続けている家では、たいてい入口に布製の暖簾や彫刻を施した看板が掛かっています。
通りの長さはちょうどよく、ゆっくり歩きながら一軒一軒を見比べることができます。現代的な素材で建て直された入口もあれば、手つかずのまま残る入口もあり、その混在ぶりから、ここが博物館の展示ではなく、今も人々が暮らす場所であることが伝わってきます。
宮島への行き方
町家通りがあるのは、誰もが「宮島」と呼ぶ厳島(いつくしま)という島です。車で乗り入れることはできません。
- 電車の場合: JR山陽本線でJR広島駅から宮島口駅まで、所要時間は約30分です。
- 路面電車の場合: 広島電鉄2号線が広島中心部から広電宮島口まで走っています。時間はかかりますが、味わいのある移動手段です。
- フェリーの場合: 宮島口の桟橋から、JR西日本宮島フェリーと松大汽船のどちらも所要時間は約10分です。JRの便は便によって大鳥居のより近くを通ります。
宮島では入島に際して協力金が徴収されており、通常はフェリー乗車券とあわせて支払う形になっています。金額は各フェリー会社および廿日市市の公式サイトに掲載されています。宮島桟橋から神社の方向へ歩き、表参道から一本内側に入ると町家通りに着きます。
午後6時の通り
この通りには、時間帯によって表情が大きく変わるという特徴があります。週末は午前10時から午後5時にかけて最も混雑し、商店街からあふれた人波がこちらまで流れ込んできます。一方、午後6時から8時は、週末を通じて最も静かな時間帯です。
だからこそ、この夕方の時間帯に合わせて予定を組む価値があります。この時間になると、日帰り客の多くはすでに桟橋へと引き上げ始め、表参道の土産物店もシャッターを下ろし始めます。格子戸の奥からは温かい灯りが漏れ、通りから人影が消え、鹿たちは戸口や物陰に落ち着きます。
通りは24時間開放されているため、門限を気にする必要はありません。ただし制約となるのは帰りのフェリーですので、夕方をゆっくり過ごす前に、宮島口行きの最終便の時刻を確認しておきましょう。島内の旅館に宿泊する場合は、日が暮れてから、そして翌朝にも、この通りを歩くことができます。
端から端まで歩く
町家通りそのものを歩くには20分から40分ほど見ておきましょう。カフェに立ち寄るなら、さらに時間を加えてください。桟橋側から神社の方向へ歩くのが理にかなっています。この道をたどると、宮島を代表する見どころへとそのまま導かれるからです。
通りの先端まで来ると、少し坂を上ったところに、豊国神社の未完の大堂である千畳閣があり、その脇には五重塔が建っています。この高台からは、屋根の連なりの向こうに厳島神社と海を見渡すことができます。そこから坂を下れば、神社の入口に着きます。
このルートを歩けば、商店街の最も混雑する区間を通らずに神社にたどり着くことができます。食事をしたい場合は、帰りに表参道を通ってみてください。焼き牡蠣、穴子めし、もみじ饅頭は、いずれも宮島を代表する味です。
人が暮らす通りを静かに歩くために
町家通りは、何よりもまず住宅街です。次のような心がけがあれば、この場所で歓迎される存在になれるでしょう。
- 声のトーンを抑えましょう。 木造の家並みの間には音がよく響き渡り、中では人々が日常を過ごしています。
- 家の中を撮影しないようにしましょう。 ファサードや通りそのものを撮るのはよいですが、開いた戸口や格子の隙間越しに中を撮るのは控えましょう。
- 自転車や配送車には道を譲りましょう。 通りは狭く、地元の人や業者の車両も行き交います。
- 食べ物は買った場所で食べ終えましょう。 日本では、屋台などで買った軽食は、その場で食べ終えるのが礼儀とされており、家々の間を歩きながら食べるのは避けたほうがよいでしょう。
- 紙類には気をつけましょう。 鹿は地図やフェリーの乗車券、買い物袋まで食べてしまいます。餌やりは推奨されていないので、手には何も持たず、鹿が通り過ぎるのを見守りましょう。
- 現金を用意しておきましょう。 ICカードやQRコード決済も徐々に普及していますが、島内の小さなカフェや店ではカードが使えないこともあります。
古民家を改装したカフェでは、上がり框で靴を脱ぐよう求められることがあります。端に並べられたスリッパや案内表示を探してみてください。
潮の満ち引きと島全体のタイミングを合わせる
宮島は潮の満ち引きによって表情を変えるため、訪れる時間を決める前に潮見表を確認しておきましょう。満潮時には大鳥居や神社の回廊がまるで水に浮かんでいるように見えます。干潮時には、砂浜を歩いて大鳥居の足元まで行くことができます。
週末のおすすめの過ごし方は、到着したら宮島ロープウェーに乗るか弥山を登り、その間に麓の町が混雑するのをやり過ごすことです。神社へは満潮時か干潮時に合わせて下りてくるとよいでしょう。そして、町家通りは最も静かになる午後6時から8時の時間帯にとっておきましょう。
もっと時間をかけて一日を過ごすなら、神社の少し裏手の高台にある大聖院(だいしょういん)の境内も組み合わせることができます。町家通り自体は短い道ですが、土産物商店街が主役になる前のこの町の姿を今に伝えてくれる場所です。
よくある質問
町家通りは正確にはどこにあるのですか?
宮島(厳島)、広島県廿日市市の幸町地区にあります。表参道商店街と並行して一本内側を走る通りで、フェリー桟橋周辺と、厳島神社の上手にある千畳閣・五重塔の丘との間に位置しています。
訪れるのに最も静かな時間帯はいつですか?
週末であれば、午後6時から8時が最も落ち着いています。午前10時から午後5時の週末の時間帯は、日帰り客がこの通りにまであふれてくるため避けたほうがよいでしょう。平日の混雑状況についてのデータは持ち合わせていないため、ここでは平日のおすすめ時間帯はご案内できません。
広島市内からはどうやって行けばよいですか?
JR山陽本線または広島電鉄2号線で宮島口まで向かいます。そこからJR西日本宮島フェリーか松大汽船(所要約10分)に乗り換えて宮島桟橋へ渡り、神社の方向へ歩きながら、表参道から一本内側に入ってください。夕方に訪れる予定を立てる前に、帰りの最終フェリーの時刻を確認しておきましょう。
見学にはどのくらいの時間を見ておけばよいですか?
通りそのものは、ゆっくり歩いても20分から40分ほどです。カフェで一休みするなら、さらに時間を加えてください。この通りを通って、突き当りにある千畳閣、五重塔、厳島神社へ向かうとよいでしょう。
町家の中には入れますか?
通りは公道で24時間開放されていますが、町家の多くは個人の住宅です。カフェや宿、店として営業している建物のみ、それぞれの営業時間内に入ることができます。住居の中を撮影することは控えてください。
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