政治家のために建てられた1928年の邸宅
まずは門の前に立ち、建物を見上げてみてください。ハロ(Jaro)の古い家の多くは通りにじかに面して建っています。ところがネリー・ガーデン・マンション(Nelly Garden Mansion)は、E・ロペス通り(E. Lopez Street)から奥まった自前の敷地の中にあります。それだけでも、この地区では異彩を放つ存在です。
建てられたのは1928年です。施主のドン・ビセンテ・ロペスは、イロイロ屈指の名家に生まれた政治家でした。建築様式は、当時のヨーロッパで流行した格調高いボザール様式です。左右対称の構成や列柱、計算し尽くされた堂々たる正面が見どころです。この邸宅は「イロイロの歴史的邸宅の女王」として広く知られています。「ネリー」という名は、ロペス家の娘ネリーにちなんで付けられました。
数分先にある大聖堂に比べると、訪れる人はずっと少なめです。ハロ広場へ向かう団体ツアーも素通りしがちですが、その静けさこそがこの邸宅の大きな魅力になっています。
館内で実際に見られるもの
ここは自由に歩き回る博物館ではありません。ガイドの案内で見学するスタイルです。ツアーでは、大人数をもてなすために建てられた館内を巡ります。この時代のボザール様式の内装は、訪れた人を圧倒するように設計されていました。次の点に注目してみてください。
- 主要な部屋のプロポーション。熱帯の街で風を通すために、天井が高く取られています
- 階段と、それが玄関をどう引き立てているか
- 当時の家具や一家ゆかりの品々。かつても今も、人が暮らす家であることが伝わってきます
- 「ガーデン」の名の由来となった庭園を振り返る眺め
何を見られるかは、ガイドやその日に一家が公開する部屋によって変わります。上のリストは「見どころの目安」と考え、必ず見られるとは思わないでください。この見学の価値は、特定の品を見ることにあるわけではありません。砂糖景気に沸いたイロイロ最盛期の邸宅が丸ごと残っていて、その中に身を置けることにあります。
E・ロペス通りと砂糖の富
邸宅と同じくらい大切なのが、この通りそのものです。19世紀後半から20世紀初頭にかけて、パナイ島と隣のネグロス島で作られた砂糖が、ごく一部のイロンゴ(Ilonggo)の名家に莫大な富をもたらしました。その富の多くが注ぎ込まれたのがハロの邸宅です。ハロは当時独立した町でしたが、現在はイロイロ市の一地区になっています。
E・ロペス通りには、そうした邸宅が軒を連ねるようになりました。歩いてみると、ほかにもさまざまな状態の旧家が目に入ります。修復された家もあれば、別の用途で使われている家もあり、門の奥でひっそりと朽ちつつある家もあります。その中で最も壮麗なのがネリー・ガーデンで、見学できる数少ない邸宅のひとつでもあります。
先に通りを歩いておくと、ツアーの内容がぐっと理解しやすくなります。なぜ一族がこれほどの規模の家を建てたのか、そして誰に見せつけるためだったのかが見えてくるはずです。
見学は平日のみ:訪問のタイミング
スケジュールは厳格です。ツアーは月曜〜金曜の午前9時〜午後4時で、土曜と日曜は休館です。週末に訪れて見学できなかったという失敗が、何より多く見られます。
ツアーを慌ただしく済ませずに済むよう、午後4時よりかなり前、午前中か午後の早い時間に着くようにしましょう。邸宅だけなら1時間あれば十分です。E・ロペス通りやハロ広場も歩くなら、さらに1〜2時間を見込んでおいてください。
イロイロの日中の暑さは侮れません。朝のうちに出発すれば、広場の散策がつらくなる前に邸宅を見学できます。
ハロへのアクセス
ハロはイロイロのシティ・プロパー(City Proper)の北にあります。中心部のホテルやイロイロ川エスプラネード周辺からは、車ですぐの距離です。
- ジプニー: 「Jaro」と表示された路線がシティ・プロパーから出ています。運転手にE・ロペス通りかハロ広場で降りたいと伝え、そこから歩きましょう。
- グラブ(Grab)またはタクシー: いちばん簡単な方法です。住所は「Nelly Garden Mansion, E. Lopez St, Jaro」と入力してください。
- ハロ広場から: すでに大聖堂にいるなら、E・ロペス通りを歩いて行ける距離です。
イロイロ国際空港は市街地からかなり離れたカバトゥアン(Cabatuan)にあります。空港からはまず市内に入り、そこからハロへ向かいましょう。
今も一家が暮らす邸宅を訪ねるときの心得
ネリー・ガーデンは現在もロペス家が所有しており、見学マナーもそれを踏まえたものになります。チケット売り場があり、30分ごとに決まったツアーが出る公営施設とは違います。
- 事前に手配を。 出かける前に、邸宅の現在の連絡窓口で確認しておきましょう。予告なしに訪れると、平日でも待たされたり、断られたりすることがあります。
- 写真撮影はまず確認を。 ルールは部屋ごとに異なる場合があります。ガイドが教えてくれます。
- 控えめな服装で。 教会を中心とした保守的な地区にある私邸です。ビーチ向けの服装は避けましょう。
- ペソの現金を持参しましょう。 現在のツアー料金は予約時に確認してください。変更される可能性があるため、ここでは記載していません。
- できればヒリガイノン語のあいさつを。 イロンゴの人々は穏やかな話し方で知られています。ガイドに「サラマット」(ありがとう)と一言伝えるだけで、ぐっと喜ばれます。
ガイドの指示に従い、グループから離れないようにしましょう。友人の祖父母の家にお邪魔するような気持ちで部屋に接するのが、ちょうどよい心構えです。
ハロ広場とあわせて巡る
見学の締めくくりは広場にしましょう。広場に面して建つのが、ろうそくの聖母国立聖堂でもあるハロ・メトロポリタン大聖堂です。鐘楼は広場の反対側に離れて立っていて、フィリピンの教会としては珍しい配置になっています。
毎年2月2日には「ろうそくの聖母の祝日」(カンデラリア)が開かれ、ハロの街は行列と人波で埋め尽くされます。地域でも最大級の宗教行事です。旅程がこの時期に重なる場合は、邸宅のツアーが実施されているかを確認し、広場周辺の渋滞も覚悟しておきましょう。
平日の午前中だけで、邸宅と通りと大聖堂をすべて見て回れます。三つをあわせて巡れば、古きハロの姿と、この町を築いた砂糖の名家たちの姿がはっきりと浮かび上がってくるでしょう。
よくある質問
ネリー・ガーデン・マンションは何曜日に開いていますか?
月曜〜金曜の午前9時〜午後4時です。土曜と日曜は休館なので、平日に訪問を計画してください。
ツアーは事前予約が必要ですか?
強くおすすめします。邸宅は今もロペス家の住まいで、見学はガイド付きのツアー形式です。ハロへ出かける前に、現在の連絡窓口で見学枠を確認しておきましょう。
イロイロ中心部からネリー・ガーデン・マンションへはどう行けばよいですか?
グラブ(Grab)かタクシーでハロのE・ロペス通りへ向かいます。シティ・プロパーからハロ行きのジプニーに乗り、ハロ広場の近くで降りる方法もあります。大聖堂からは歩いて行けます。
滞在時間はどのくらい見ておけばよいですか?
ツアーは1時間ほどです。E・ロペス通りのほかの旧家を歩いて巡り、ハロ大聖堂と鐘楼も訪ねるなら、さらに1〜2時間を見込んでください。
近くにはほかにどんな見どころがありますか?
ハロ広場に面したハロ・メトロポリタン大聖堂(ろうそくの聖母国立聖堂)と、大聖堂から離れて立つ鐘楼があります。E・ロペス通り沿いには、砂糖景気の時代に建てられたほかの旧家も並んでいます。
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