通りの突き当たりにそびえる山
プルママルカの村は、背後の丘で行き止まりになっています。低い日干しれんがの家々と未舗装の路肩が碁盤の目のように並び、その向こうに七色の丘がそびえています。中央広場から屋根越しに見上げるだけで、丘の姿が目に入ります。
これほど近くで見られることこそ、この場所の珍しさです。アンデスの雄大な景観の多くは、長距離のドライブや厳しいハイキングの先にあります。ところがここでは、民芸品の露店の横に立ったまま、さび色、黄土色、クリーム色、紫がかった灰色、くすんだ緑色の縞が走る斜面を真正面から眺められます。色の帯は斜めに傾いて重なっていて、まるで地層の積み重なった岩を切り出して横倒しにしたかのようです。
ウマワカ渓谷全体を象徴する絵はがきのような風景として広く知られ、訪れる人も多い場所です。2003年には、この渓谷がユネスコの世界遺産に登録されました。カメラを手にした観光客が大勢いるので、それを見越して計画を立てておきましょう。
丘に縞模様がある理由
色の一つひとつが、それぞれ異なる岩の層に由来しています。何百万年もの間、湖や川、浅い海から運ばれた堆積物がこの地に積み重なってきました。層ごとに含まれる鉱物が違い、堆積したときの環境もそれぞれ異なっていました。
その後アンデス山脈が隆起し、水平だった地層が急な角度に押し上げられました。そのため今では、各層が並んで地表に姿を見せています。赤やピンクは酸化鉄によるものです。淡いクリーム色や緑がかった帯は、ほかの鉱物や細かな粘土から生まれています。ぴったり7色を数えられるかどうかは、光の加減と、見る人の気前のよさ次第でしょう。
朝の光の中で丘を眺める
この地域の展望スポットの中でも、ここほど時間帯が大切な場所はほとんどありません。丘は村の西側にあり、斜面は東を向いています。朝日が正面から当たるため、色の帯がもっとも鮮やかに、くっきり分かれて見えるのは朝です。
午後になると、太陽は尾根の向こう側へ回り込みます。斜面は日陰になり、色はくすんだ赤茶色に沈んでしまいます。遅い時間に到着してがっかりする写真愛好家は少なくありません。
ちょうどよい時間に居合わせるには、プルママルカに1泊するのがいちばん簡単です。サン・サルバドル・デ・フフイ(San Salvador de Jujuy)からの日帰り客は、たいてい午前の半ば以降にやって来ます。村に泊まれば、ツアーのワゴン車が到着する前に、静かな通りから朝の光に染まる斜面を眺められます。
歩いて楽しむ2つのルート
ガイドも特別な装備も必要ありません。定番の見学ルートは2つあり、ほとんどの人が両方を歩きます。
- 十字架の丘(Cerro de la Cruz): 村はずれにある、頂上に十字架の立つ小さな丘です。短く急な小道を登り、所要時間は15〜20分ほどです。頂上からは屋根越しに縞模様の斜面全体を見渡せます。写真の多くは、この構図で撮られています。
- パセオ・デ・ロス・コロラドス(Paseo de los Colorados): 村の裏手をぐるりと回る、全長約3 kmの未舗装の周遊路です。浸食された赤い岩壁や尖塔のような岩の間を抜け、色とりどりの地層を横から間近に眺められます。歩いて回るなら1時間以上は見ておきましょう。車でも通れますが、歩いたほうがはるかに楽しめます。
どちらのルートにも日陰はほとんどありません。この標高では昼の日差しが強いので、冬でも水と帽子、日焼け止めを持っていきましょう。
プルママルカへのアクセス
プルママルカは、州都サン・サルバドル・デ・フフイから北へ約65 kmのところにあります。国道9号線(Ruta Nacional 9)で渓谷を北上し、分岐点で西へ曲がって国道52号線(Ruta Nacional 52)に入れば、残りは数kmです。道路は舗装されていて、車で1時間あまりで着きます。
サン・サルバドル・デ・フフイのバスターミナルからは、プルママルカをはじめ渓谷沿いの町へ向かうバスが定期的に出ています。サルタ(Salta)から向かう場合は、レンタカーを借りるか日帰りツアーに参加する人がほとんどです。朝の光を狙うなら時間の融通が大切なので、自分で運転するのがいちばん自由に動けます。
村はこぢんまりとしています。着いてしまえば、ここで紹介する場所はどこも広場から歩いて行けます。
標高2,300メートルの村での過ごし方
プルママルカの標高は約2,300 mです。海抜の低い土地から来た人は、十字架の丘を登るだけでも息が切れることがあります。ゆっくり歩き、水をたっぷり飲み、初日の夜はお酒を控えめにしましょう。地元では、高山病対策としてコカの葉をかんだり、コカ茶を飲んだりする人が大勢います。どちらも町のあちこちで売られていて、フフイでは合法で、ごく日常的なものです。
次のような心がけが役に立ちます。
- 広場の市場: 中央広場を囲む露店では、手織りのポンチョやリャマの毛の織物、陶器が売られています。礼儀正しく値段交渉をするのはごく普通のことです。カードが使えない店もあり、渓谷の小さな村にはATMもほとんどないので、現金を用意しておきましょう。
- 人物の撮影: 露店の売り手や住民には、アンデスの先住民にルーツを持つ人が多くいます。撮影する前にひと声かけ、断られたら素直に受け入れましょう。
- 教会: 広場の隣には、日干しれんが造りのサンタ・ロサ・デ・リマ教会(Iglesia de Santa Rosa de Lima)が建っています。天井はカルドンというサボテンの木材でできています。現役の教会なので、控えめな服装で訪れ、声を落として過ごしましょう。
- 決められた道を歩く: 色とりどりの斜面は、柔らかく崩れやすい岩でできています。登ると地形を傷めるうえに危険なので、標示されたルートから外れないようにしましょう。
8月には、この地域の多くの集落で、パチャママ(母なる大地)の月を祝って供物が捧げられます。儀式に出会ったら、敬意を払って距離を取り、静かに見守りましょう。
プルママルカから足を延ばす
この丘は、長い旅程の立ち寄り先のひとつとして訪れることが多い場所です。プルママルカは、周辺地域を巡る拠点にも向いています。
- サリーナス・グランデス(Salinas Grandes): 国道52号線をさらに西へ進み、標高4,000 mを超えるリパン峠(Cuesta de Lipán)のつづら折りを越えます。坂を下ると、広大な白い塩原が現れます。村からは約60 kmです。
- ティルカラ(Tilcara): 国道9号線を北へ向かった先にある町です。丘の上には、スペイン人到来以前の要塞を復元したプカラ・デ・ティルカラ(Pucará de Tilcara)があります。
- ウマワカ(Humahuaca): 渓谷をさらに北へ上った町で、丘の上の独立記念碑と石畳の中心街で知られています。その先には、さらに多くの色の帯を持つ尾根、オルノカル山脈(Serranía de Hornocal)が広がります。
おすすめの周遊コースは、夜明けに七色の丘を眺め、昼に塩原を訪れ、夕方にティルカラへ向かうルートです。標高の高い土地を巡る丸一日の行程で、渓谷南部の見どころをひととおり楽しめます。
よくある質問
七色の丘を見るのにいちばんよい時間帯はいつですか?
朝です。丘の斜面は東を向いているため、朝日が正面から当たり、色の帯がもっとも鮮やかに見えます。午後になると斜面が日陰に入り、色が平板に見えてしまいます。
サン・サルバドル・デ・フフイからプルママルカへはどう行けばよいですか?
車なら国道9号線を北へ約65 km走り、最後の数kmは西へ曲がって国道52号線を進みます。所要時間は1時間あまりです。サン・サルバドル・デ・フフイのバスターミナルからは定期バスも出ています。
滞在時間はどのくらい見ておけばよいですか?
十字架の丘の展望スポット、全長約3 kmのパセオ・デ・ロス・コロラドス、そして広場を巡るなら、2〜3時間を見ておきましょう。1泊すれば、日帰りツアーの一行が到着する前に朝の光を楽しめます。
標高は問題になりますか?
プルママルカは標高約2,300 mにあるため、短い登りでも息が切れることがあります。ゆっくり歩き、水をたっぷり飲みましょう。サリーナス・グランデスまで足を延ばす場合、途中のリパン峠越えの道は標高4,000 mを超えます。
プルママルカの近くにはほかにどんな見どころがありますか?
国道52号線を西へ進むと、サリーナス・グランデスの塩原があります。ウマワカ渓谷を国道9号線で北上すれば、プカラ要塞のあるティルカラや、オルノカル山脈への玄関口となるウマワカの町にも行けます。
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