フラトン・ロード(Fullerton Road)の角を曲がると、その姿が目に飛び込んできます。ライオンの頭と魚の体を持つ像が、マリーナ・ベイ(Marina Bay)に向かって絶え間なく水を噴き上げ、背後には中央ビジネス地区(CBD)の鋭いスカイラインがそびえ立っています。この光景はシンガポールという国そのものを象徴するイメージとして絵葉書にもよく使われていますが、コンクリートとファイバーグラスでできた実物を目の前にすると、写真から想像する以上に大きく、そしてどこか不思議な存在感を放っていることに気づかされます。
マーライオン・パーク自体はこぢんまりとしており、緑豊かな公園というよりは水辺の一角といった趣です。しかし、その立地こそがこの場所の真骨頂です。シンガポール川の河口に位置し、対岸にはマリーナベイ・サンズ(Marina Bay Sands)の3棟のタワーと、蓮の花をかたどったアートサイエンス・ミュージアム(ArtScience Museum)の屋根が真正面に望めます。
まさにここは、貿易港として栄えたかつてのシンガポールと、ガラスと鋼で作られた現代のシンガポールが出会う場所なのです。
この像が誕生した理由
マーライオンは古くからの神話に登場する存在ではなく、1964年に国のツーリズム局のロゴとして考案されたキャラクターです。魚の体はシンガポールの旧名「テマセク(Temasek)」に由来し、これは古ジャワ語で「海の町」を意味します。一方、ライオンの頭は、ある王子がこの島でライオンを見かけたという伝説にちなんでおり、その伝説からこの地は「ライオンの町」を意味する「シンガプーラ(Singapura)」と名付けられました。
本体のすぐ後ろ、一段高くなった台の上には、ひと回り小さい2体目のマーライオンが置かれています。これは、もともとの設置場所がエスプラネード橋の建設のために移転された際の名残です。誰もが大きな像にカメラを向けているため、この小さなマーライオンに気づかない訪問者がほとんどです。
混雑を読む
ここはシンガポールで最も訪問者数の多いスポットの一つでありながら、24時間閉まることがありません。だからこそ、訪れる時間帯の選び方が重要になります。週末の午後から夜にかけては常に最も混雑する時間帯で、ツアー団体が波のように押し寄せ、遊歩道は肩がぶつかるほどの人出になります。
像を他人の姿を写り込ませずに撮りたいなら、空が明るみ始めた頃、朝食後のツアーバスがまだ人々を降ろす前に訪れるのが一番です。早朝の光には、正午には決して出せない魅力もあります。噴き出す水を金色に染め上げ、マリーナベイ・サンズのガラス面に反射する強い光を和らげてくれるのです。
午後9時、水と光のリズム
日が暮れた後に戻ってくると、公園はまったく違う表情を見せます。夜になるとマーライオンにはライトアップが施され、対岸からはマリーナベイ・サンズの光とレーザーによるショー「スペクトラ(Spectra)」が始まります。屋上バーの席にお金を払わなくても、公園の柵越しにはっきりと鑑賞することができます。
上演時間は時期によって変わることがあるため、計画を立てる前に最新のスケジュールを確認しておきましょう。とはいえ、水際の柵の前の特等席を確保したいなら、開始15~20分前には到着しておくのが地元の人のやり方です。音楽が始まると同時に最前列はあっという間に埋まってしまいます。
像の周辺に実際にあるもの
マーライオン・パークはコンパクトなので、像そのものを見るだけなら20~30分ほど見ておけば十分です。ライトショーを待ったり、良い光を待ったりする場合はもう少し余裕を持たせましょう。園内を一周する際に名前を知っておくと役立つランドマークをいくつか紹介します。
- フラトン・ホテル(The Fullerton Hotel):かつての中央郵便局だった壮麗な建物で、陸側からの背景として公園のすぐ後ろにそびえています。
- カベナー橋(Cavenagh Bridge):シンガポールで最も古い橋の一つで、公園のすぐ脇で川にアーチを描いています。
- ヘリックス橋(Helix Bridge)とマリーナベイ・サンズ:水面を挟んで真正面に見え、マーライオンの口からまっすぐ視線を伸ばした先にあります。
- ワン・フラトン(One Fullerton):暑さから一息つきたいときに便利なカフェやお手洗いがあります。
地元の人のように訪れるには
シンガポールの人々にとって、マーライオン・パークは目的地というよりも通り道です。写真のために立ち止まるというよりは、クラークキー(Clarke Quay)やベイ沿いの屋外バーへ向かう途中に通り過ぎることのほうが多いのです。定番の「水を手で受け止めているように見せる」写真のために列を作っているのは地元の人ではなく、観光客ならではの儀式のようなものですが、やってみると案外楽しく、害のない遊びでもあります。
現地に溶け込みたい方に向けた実用的なポイントは次のとおりです。
- 入園料もゲートも存在しないので、入り口付近で違うことを匂わせてくる人がいても取り合わないようにしましょう。
- 園内には日陰になるような座席がほとんどありません。シンガポールの真昼の暑さと湿度は本物なので、早朝や夕方の訪問は静かなだけでなく、過ごしやすさの面でも理にかなっています。
- 水のボトルは持参しましょう。一番近い店はワン・フラトンやクラークキーまで少し歩く必要があり、園内にはありません。
- 週末の午後に大きな三脚を持ち込むのは避けましょう。遊歩道が狭くなり、スタッフから通路を空けるよう声をかけられることもあります。
- マーライオンとマリーナベイ・サンズのスカイライン全体を一緒に収めたワイドショットを撮りたいなら、像の正面ではなく、川の河口付近の柵の近くに立つのがおすすめです。
迷わずたどり着く方法
公園まではMRTラッフルズ・プレイス駅(Raffles Place MRT)(南北線・東西線)のH出口から、川沿いを歩いておよそ10分の距離です。車やライドヘイリングで向かう場合は、フラトン・ホテル(Fullerton Hotel)の乗降スペースがすぐ隣にあります。公園専用の駐車場はないため、近くに車を停めようとするよりも、公共交通機関か送迎を利用するほうがずっと簡単です。
半日ほど時間が取れるなら、写真だけのために立ち寄るのではなく、シンガポール川沿いの遊歩道をボート・キー(Boat Quay)方面へ歩いて古い商家建築の街並みを楽しんだり、ヘリックス橋を渡ってガーデンズ・バイ・ザ・ベイ(Gardens by the Bay)エリアまで足を延ばしたりするのもおすすめです。
よくある質問
マーライオン・パークが最も空いているのはいつですか?
平日は午前7時から9時の間が最も落ち着いています。週末はその時間帯がやや短く、ツアー団体が到着する前の午前7時から8時が狙い目です。
マーライオン・パークに入園料はかかりますか?
いいえ、無料です。ゲートやチケットは一切不要で、24時間いつでも入園できます。
公共交通機関でマーライオン・パークへ行くにはどうすればよいですか?
MRTラッフルズ・プレイス駅(南北線または東西線)まで行き、H出口を出て川沿いを歩いて約10分です。
マーライオン・パークにはどのくらい滞在すればよいですか?
ほとんどの人は像とスカイラインを見るのに20~30分ほど過ごします。対岸で行われる夜のライトショーまで見る予定なら、もう少し時間に余裕を持たせましょう。
マーライオン・パークは混雑しますか?
はい、シンガポールの中でも特に人気の高いスポットの一つです。特に週末の午前11時から午後11時にかけての午後・夜間は大勢の人で賑わうため、ゆったり過ごしたいなら午前中がおすすめです。
シンガポール旅行の準備
上記リンクの一部はアフィリエイトリンクです。このリンクから予約すると、追加料金なしでWander Atlasが少額の手数料を受け取ります。こうしてすべてのガイドを無料で提供しています。