訪れる価値
ピアツェッタ(Piazzetta)から角を曲がった瞬間、目に飛び込んでくるファサードに思わず足が止まるはずです。下層には尖ったゴシック様式のアーチが連なる回廊があり、その上にはピンクと白のヴェローナ産大理石がひし形模様に敷き詰められています。回廊の軽やかさと比べると、上部の重厚な石の壁はまるで要塞のようにも見えます。
ここは何世紀にもわたってヴェネツィア共和国の中枢でした。総督(ドージェ)が暮らし、大評議会が法を定め、囚人たちはため息橋を渡って牢へと引き立てられていきました。その牢には、今もかすかに湿った石の匂いが残っています。
ヴェネツィアでも屈指の人気を誇る観光スポットですが、その評判は伊達ではありません。政庁の部屋の圧倒的なスケール、ティントレットやヴェロネーゼの絵画がぎっしりと並ぶ壁面、そして700年続いた海洋帝国の統治機構の中を実際に歩いているという確かな実感があります。人混みを覚悟してでも訪れる価値は十分にあります。
アクセス
宮殿はサン・マルコ広場の南東の角に建っており、住所はP.za San Marco, 1です。徒歩なら、サン・マルコ寺院の鐘楼の隣、水辺に面した建物を目指せば迷うことはありません。縞模様のファサードはひと目でわかります。ヴァポレットを利用する場合は、1、2、5.1、5.2番線でサン・マルコ・ヴァラレッソ(San Marco-Vallaresso)かサン・ザッカリア(San Zaccaria)で下船してください。どちらの乗り場からも、水辺沿いを3〜5分歩けば到着します。
ヴェネツィアには地下鉄がないので、移動手段は水上交通か徒歩に限られます。サンタ・ルチア駅(Santa Lucia)やローマ広場(Piazzale Roma)からは、歩いて35〜40分ほど、またはヴァポレットを乗り継いで向かうことになります。
館内の見どころ
見学時間は最低でも2〜3時間は確保しておきましょう。ルートは「黄金の階段」を上って総督の私邸に入るところから始まり、続いて政庁の部屋へと進みます。合議の間(Sala del Collegio)、元老院の間(Sala del Senato)を経てたどり着くのが、広大な大評議会の間(Sala del Maggior Consiglio)です。その天井を飾るティントレットの『天国』は、世界最大級の油彩画のひとつといわれています。
そこからは屋根付きのため息橋を渡り、かつての牢獄である新牢獄(Prigioni Nuove)へ入ります。鉄格子のはまった窓や狭い石の通路を歩いていると、それまで目にしてきた絢爛豪華な空間が、意図的に演出されたものだったように感じられるでしょう。
さらに深く知りたい方には「秘密の通路ツアー」がおすすめです(別途、事前予約が必要)。尋問室や、かつてカサノヴァが幽閉されていた屋根裏の狭い独房をめぐることができます。
おすすめの時間帯
もっとも落ち着いて見学できるのは、開館直後の朝です。平日なら、できるだけ午前9時ちょうどに到着するようにしましょう。来場者の傾向を見ると、平日は一日を通して比較的ゆとりがありますが、週末は午前11時〜午後5時に集中して混み合います。土曜や日曜に訪れるなら、この時間帯は避けるのが賢明です。
週末しか行けない場合でも、宮殿は午後7時まで開いているので、午後5時以降の夕方に訪れれば、人出がぐっと少ない中で政庁の部屋を見学できます。開館時間は季節によって変わることがあるため、出かける前に当日の時間を必ず確認してください。
地元流の楽しみ方
チケットは事前にオンラインで購入し、入場時間を指定しておきましょう。それだけで、場合によっては1時間ほどかかる入口での待ち時間がほぼなくなります。ヴェネツィアを何度も訪れている人は、主要な観光地をみなこの方法でまわっています。なお、ドゥカーレ宮殿のチケットは、コッレール博物館などサン・マルコ広場周辺の博物館とセットになった「サン・マルコ広場博物館群」の共通券として販売されていることが一般的です。単独のチケットを買う前に、どこまで含まれているかを確認しておくとよいでしょう。
館内ではカードでの支払いがほぼ問題なくできますが、広場にある小さな売店やカフェ用に現金も少し持っておくと便利です。訪問者がもっとも犯しがちな失敗は、サン・マルコ寺院とランチの合間に写真だけ撮って済ませようとすることです。この宮殿は、ゆっくり時間をかけるほど見返りが大きくなります。
特に大評議会の間では、数分余計に天井を見上げてみてください。急いで眺めただけではまったく気づかない、ティントレット作品の細部が見えてきます。
服装の規定はとくになく、カジュアルで構いません(肩と膝を覆う服装が求められる隣のサン・マルコ寺院とは異なります)。ただし、政庁の部屋では声を控えめにしましょう。ここは単なる写真映えの背景ではなく、今なお重要な歴史資料の保管庫として機能している場所です。
あわせて訪れたい周辺スポット
せっかくサン・マルコ広場にいるのですから、宮殿とあわせてサン・マルコ寺院にも足を運びましょう(服装規定と入場の行列が別にある点に注意してください)。鐘楼(カンパニーレ)に上れば、宮殿のひし形模様の屋根並みを上から見下ろす眺望が楽しめます。広場の反対側にあるコッレール博物館は、多くの場合同じチケットで入館でき、ヴェネツィアの美術と歴史を紹介しています。
館内は静かでゆったりとしているので、人混みから離れてひと息つきたいときにもぴったりです。
よくある質問
ドゥカーレ宮殿の見学にはどのくらいの時間が必要ですか?
政庁の各部屋から牢獄までをめぐる通常ルートなら、2〜3時間を見ておきましょう。別料金の「秘密の通路ツアー」を予約する場合は、さらに45〜60分ほどかかります。
いちばん空いているのはいつですか?
もっとも落ち着いて見学できるのは、平日の開館直後の朝です。週末は午前11時〜午後5時が混雑のピークなので、この時間帯はなるべく避けてください。宮殿は午後7時まで開いているため、夕方遅めに訪れるのもよい方法です。
ドゥカーレ宮殿へはどう行けばよいですか?
宮殿はサン・マルコ広場にあります。ヴァポレット(1、2、5.1、5.2番線)でサン・マルコ・ヴァラレッソ(San Marco-Vallaresso)またはサン・ザッカリア(San Zaccaria)まで行き、そこから水辺沿いを3〜5分歩けば到着します。ヴェネツィアには地下鉄がないため、地下鉄で直接行くことはできません。
チケットは事前に予約したほうがよいですか?
はい、強くおすすめします。時間指定制のオンラインチケットがあれば、入口での長い行列に並ばずに済みます。コッレール博物館などサン・マルコ広場にあるほかの博物館との共通券として販売されていることも多いです。
あわせて立ち寄れる近くのスポットはありますか?
サン・マルコ寺院とその鐘楼(カンパニーレ)はすぐ目の前です。同じ広場の反対側にはコッレール博物館があり、多くの場合は同じチケットで入館できます。
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