造船所の名を残す通り
名前の由来は、通りの表示板に書かれています。ヴェネツィア語の「スクエーロ(squero)」はゴンドラなどの小舟を造ったり修理したりする造船所のこと、「ヴェチオ(vecio)」は「古い」という意味です。住所にあるカッレ・デル・スクエーロという路地名は、かつて町中の運河沿いに並んでいた職人仕事の記憶を今に伝えています。
ヴェネツィアでは、その通りでかつて営まれていた仕事が通りの名前になっています。カッレ・デル・フォルノ(Calle del Forno)にはパン屋が、カッレ・デイ・ファッブリ(Calle dei Fabbri)には鍛冶屋がありました。同じように、カッレ・デル・スクエーロでは舟が造られていたのです。ここに立って表示板を見上げれば、この町が働いていた頃の姿が見えてきます。
スクエーロとはどんな場所だったのか
何を思い浮かべればよいかを知っておくと、見え方が変わります。昔ながらのスクエーロには水面へと傾斜するスロープがありました。舟をそこから引き上げて向きを変え、作業をしたのです。スロープの脇には、道具や木材をしまう木造の小屋が建っていました。
この言葉は、大工が使う直角定規「スクアーラ(squara)」から来ているとよくいわれます。ゴンドラは1艘につき数百もの部材を数種類の木から削り出し、組み上げて造られます。そう考えると、この語源にも納得がいくでしょう。現在も稼働しているスクエーロはごくわずかです。ほとんどは、ここのように名前の中にだけ残っています。
期待しすぎないことも大切です。ここは住民が暮らす地区の中にある小さな登録スポットで、チケット売り場のある博物館ではありません。レビュー数が少ないのもそのためです。地名の由来や運河沿いの風景、そこにまつわる物語を楽しむつもりで訪れれば、少し寄り道するだけの価値は十分にあります。
カステッロ地区での探し方
ヴェネツィアの番地は通りごとではなく、セスティエーレ(区)ごとに振られています。6304番もカステッロ地区全体の長い通し番号のひとつなので、隣の建物の番号が順番どおりに並んでいるとは限りません。地図アプリには「Calle del Squero, 6304, Castello」と住所をすべて入力し、壁の番地よりもピンの位置を信じて進みましょう。
水上ルートで向かう場合、カステッロ地区の主なヴァポレット乗り場は次のとおりです。
- フォンダメンテ・ノーヴェ(Fondamente Nove):ラグーナの北岸にあります
- サン・ザッカリア(San Zaccaria):サン・マルコ近くの南側の水辺にあります
- オスペダーレ(Ospedale):北東の角、病院のそばにあります
どの乗り場からも、最後は細いカッリ(路地)を歩き、小さな橋を渡って向かいます。カステッロ地区の路地は突然運河に突き当たって行き止まりになることも多いので、時間には余裕を持っておきましょう。
訪れる時間帯の選び方
24時間いつでも訪れられるスポットとされているので、時間は自由に選べます。人通りの計測データによると、平日にもっとも静かなのは午後6時〜午後8時です。夕食の前に、夕暮れどきの界隈を散歩するのにちょうどよい時間帯です。
週末は少し難しくなります。一番混み合うのは午前11時〜午後9時です。路地を独り占めしたいなら、土曜・日曜の日中は避けましょう。週末の静かな時間帯は午前8時〜午後11時とされていますが、これは混雑時間帯と重なっています。実際には、その早い側にあたる午前11時より前に訪れるのが無難です。
住宅街の路地では控えめに
カステッロ地区は今も多くのヴェネツィア市民が暮らしている地区で、カッレ・デル・スクエーロも住民が家路につく生活道路です。リアルト周辺以上に、ここでのふるまいは大切になります。
- 片側に寄って歩きましょう。 このあたりの路地は幅が狭いので、地図を確認するときは道の真ん中ではなく壁際で立ち止まってください。
- 玄関先や橋の階段に座らないでください。 市の条例で公共の階段や記念建造物に座ったり飲食したりすることが制限されており、罰金を科されることがあります。
- 声は小さめにしましょう。 壁と壁の間がこれほど近いと、音はよく響きます。路地がもっとも静かになる夕方の時間帯はとくに注意が必要です。
- 人や作業中の舟を撮影するときは、先にひと声かけましょう。 通りがかりに見える舟小屋や係留場所は展示物ではなく私有地です。
- 水辺のものには手を出さないでください。 よいアングルを狙うために、係留中の舟や浮き桟橋に乗るのはやめましょう。
要するに、地元の人と同じように、長居せず静かに、誰の邪魔もせずに通り抜けることを心がけてください。
舟の物語をさらにたどる
名前に興味を引かれたら、その物語をたどるのにカステッロ地区はうってつけです。ヴェネツィア共和国の巨大な国営造船所だったアルセナーレ(Arsenale)も同じ地区にあります。石のライオン像が守る要塞化した陸側の門は、脇の運河沿いを歩いて見に行く価値があります。
稼働中の造船所を見たいなら、町の反対側にあるドルソドゥーロ地区(Dorsoduro)のサン・トロヴァーゾのスクエーロ(Squero di San Trovaso)まで足を延ばしましょう。今も使われている数少ない造船所のひとつです。見学は敷地の中からではなく、サン・トロヴァーゾ運河(Rio di San Trovaso)を挟んだ対岸のフォンダメンタ(運河沿いの道)から行います。
両方を同じ日に訪れれば、かつて町じゅうにあふれ、今ではひとつの運河沿いにだけ残る職人仕事の姿がよくわかるはずです。
よくある質問
スクエーロ・ヴェチオがもっとも空いているのはいつですか?
平日は午後6時〜午後8時がもっとも静かです。週末は午前11時〜午後9時が一番混み合うので避けましょう。もっとも落ち着いて見たいなら、午前11時より前がおすすめです。
スクエーロ・ヴ���チオはいつでも見られますか?
はい。チケットが必要な施設ではなく公道沿いにある屋外のスポットなので、毎日24時間見られるとされています。
スクエーロ・ヴェチオへはどう行けばよいですか?
地図アプリで「Calle del Squero, 6304, Castello」と検索してください。ヴェネツィアの番地はセスティエーレ(区)ごとに振られているため、番号が順番どおりに並んでいないことがあります。カステッロ地区の最寄りのヴァポレット乗り場はフォンダメンテ・ノーヴェ、サン・ザッカリア、オスペダーレなどで、そこから先は歩いて向かいます。
どのくらいの時間を見ておけばよいですか?
現地での滞在は15〜20分ほどを目安にし、探すための時間も別に見ておきましょう。アルセナーレなども含めて、カステッロ地区をじっくり歩く散策の途中に立ち寄るのがおすすめです。
ヴェネツィアで稼働中のゴンドラ造船所を見ることはできますか?
はい。ドルソドゥーロ地区にあるサン・トロヴァーゾのスクエーロは今も稼働しています。見学は敷地の中からではなく、サン・トロヴァーゾ運河を挟んだ対岸のフォンダメンタから行います。
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