崖の上につくられた植物園
植物園といえば平らな土地を思い浮かべる人が多いでしょう。ところが、ここは違います。黒海からせり上がる急な丘を、小道がジグザグに折り返しながら上っていきます。頭上を竹やユーカリが覆い、木々が途切れたところでふと眼下に海岸線が見えます。
植物園を開いたのは植物学者のアンドレイ・クラスノフで、1912年のことです。場所は地元でムツヴァネ・コンツヒと呼ばれる「緑の岬」でした。湿潤な亜熱帯気候のこの地では、世界各地の植物がよく育ちます。旧ソ連圏でも有数の規模を誇る植物園で、アジャリア地方の観光地のなかでもとりわけ多くのレビューが寄せられています。
斜面ごとにめぐる世界の植物
園内は地域別に構成されています。似た気候の土地から植物を集め、地域ごとに区画を分けて植えるというのがクラスノフの構想でした。そのため、わずか数百メートル歩くだけで大陸から大陸へと渡り歩く感覚が味わえます。
ぜひ見ておきたいエリアは次のとおりです。
- 東アジア:日本や中国の植物が植えられた一角で、ツバキやカエデのほか、竹林がうっそうと茂ります
- ヒマラヤ:涼しく日陰の多い小道沿いに、シャクナゲや針葉樹が並びます
- オーストラリア・ニュージーランド:樹皮のはがれた背の高いユーカリと木生シダが見られます
- 地中海:オリーブやイトスギに加え、ギリシャの丘の斜面にありそうな乾燥地の低木が育っています
- 南北アメリカ:モクレン、ユリノキ、アガベなどがあります
- ザカフカス:ジョージア西部にもともと自生する湿潤林の植物を集めたエリアです
分かれ道には各エリアを示す案内板があります。入口で紙の地図をもらうか、スマートフォンで地図を用意しておくと、同じ道をぐるぐる回らずにすみます。
「緑の岬」への行き方
植物園は、バトゥミから北のチャクヴィやコブレティ方面へ延びる海岸道路を少し入ったところにあります。ブルバール(海岸通り)からなら、タクシーやボルト(Bolt)などの配車アプリを使えばすぐです。坂を下りながら見学したい場合は、上側の入口、つまりメイン入口を指定しましょう。
バトゥミ中心部からは、市バスやマルシュルートカ(乗り合いミニバス)もこの道を走っています。系統番号は変わることがあるので、ホテルで尋ねるか地元の交通アプリで確認してください。岬のふもと、下側の入口のさらに下にはムツヴァネ・コンツヒ駅があり、列車で海岸沿いを移動する旅行者に便利です。
坂道との付き合い方
この植物園では、斜面をどう攻略するかが何より大切です。
- 下りながら歩きましょう。 上の入口から入り、海辺でゴールするのがおすすめです。逆に回ると、湿気の多いなかを延々と上ることになります。
- 勾配が心配なら電動カートを利用しましょう。 主要ルートを走っていて、現在の料金は入口に掲示されています。
- チケットには注意しましょう。 入園料もカートの料金も入口で支払います。料金は入口と公式サイトに掲載されています。今ではバトゥミでもカード払いが一般的ですが、念のため現金のラリも持っておくと安心です。
- 決められた道から外れないようにしましょう。 職員は植物の保護に厳しく、花を摘んだり枝を折って持ち帰ったりする行為は認められていません。
- 水を持参し、滑りにくい靴を履きましょう。 急な小道もあり、雨のあとは木陰の石段が滑りやすくなります。
コレクションを案内してもらえるガイドツアーもあります。植物に興味がある人なら申し込む価値は十分です。英語のツアーがあるかどうかは入口で尋ねてみてください。
植物園がいちばん美しい季節
いちばんの見ごろは春です。3月から5月にかけて、モクレン、ツバキ、シャクナゲが次々と花を咲かせます。秋になるとカエデが色づき、海に差す光もやわらかくなります。
夏は緑が濃く茂りますが、暑さと湿気が厳しい季節です。海水浴シーズンのピークとも重なり、バトゥミは観光客であふれます。植物園は人気が高いので、朝9時の開園と同時に入ると、たいていは団体客や昼の暑さを避けられます。
現在の開園時間は毎日9時〜20時です。ただし、こうした植物園は一年のうちに開園時間が変わることがあります。夕方近くに訪れる予定なら、その月の時間を事前に公式サイトで確認しておきましょう。
歩き終えたあとは
下のほうの小道をたどると、ムツヴァネ・コンツヒの小石の浜に出ます。坂を下りきったあと、ここで泳いだり、ただ水辺に腰を下ろしたりする人も多くいます。近くの海岸道路沿いにはカフェもいくつかあります。
市街地へ戻るなら、バトゥミ・ブルバールの海沿いの遊歩道で気軽に夕方を過ごせます。さらに北へ足を延ばすと、ツィヒスジリにあるペトラ要塞の遺跡まで車ですぐです。植物園と組み合わせれば、海岸沿いを北上する日帰り旅になります。植物園だけでも3〜4時間は見ておき、泳ぐならもう少し余裕を持たせましょう。
よくある質問
バトゥミ植物園は市の中心部からどのくらい離れていますか?
「緑の岬」ムツヴァネ・コンツヒ(Mtsvane Kontskhi)にあり、バトゥミ中心部からは北へ約9 kmです。いちばん早いのはタクシーかボルト(Bolt)です。海岸道路にはバスやミニバスも走っていて、植物園のふもとにはムツヴァネ・コンツヒ駅もあります。
見学にはどのくらい時間をかければよいですか?
主な地域別エリアをゆっくりめぐるなら、3〜4時間を見ておきましょう。下の浜辺で泳ぐなら、さらに時間をとってください。
園内は歩くのが大変ですか?
急斜面につくられているので、かなりの勾配と石段があります。上の入口から入って下りながら歩くか、主要ルートを走る電動カートを利用するとよいでしょう。
訪れるのにいちばんよい季節はいつですか?
3月から5月の春には、モクレン、ツバキ、シャクナゲが花を咲かせます。秋は紅葉がきれいで、気候もおだやかです。夏は暑くて湿気が多く、混雑します。
開園時間を教えてください。
現在は毎日9時〜20時と案内されています。開園時間は時期によって変わるので、出かける前に公式サイトでその月の時間を確認してください。
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