ロータリーを抱く森
ティーアガルテンに足を踏み入れると、都会の公園というより、森のまわりに街ができたかのように感じられます。園内をまっすぐ貫いているのが、6月17日通り(Straße des 17. Juni)です。東のブランデンブルク門から西のエルンスト・ロイター広場(Ernst-Reuter-Platz)まで、幅の広い大通りが一直線に延びています。
その中ほどで、道はグローサー・シュテルン(Großer Stern)と呼ばれるロータリーをぐるりと回ります。中央に立つ円柱の頂上には、金色に輝く像が据えられています。大通りからどの脇道に入っても、数分も歩けば車の音は遠のきます。足元で砂利が鳴り、葦に縁取られた水路が流れ、小道は四方へと分かれていきます。
「ティーアガルテン」とは「動物の庭」という意味です。何世紀にもわたり、ここはプロイセン宮廷の狩猟場でした。19世紀になると、造園家ペーター・ヨーゼフ・レンネ(Peter Joseph Lenné)がイギリス式の庭園として整えました。曲がりくねった小道や湖、開けた芝生を配した、現在の公園の姿はこのとき生まれたものです。
どこから入るかを決める
公園の面積は200ヘクタールを超えるため、どの入口を選ぶかで一日の過ごし方が大きく変わります。最初に見たいものに合わせて選びましょう。
- 東側: U5またはSバーンでブランデンブルク門駅(Brandenburger Tor)へ。駅を出るとブランデンブルク門がすぐそばにあり、そのすぐ北に国会議事堂が見えます。
- 中央部: Sバーン(S3、S5、S7、S9)でティーアガルテン駅かベルビュー駅(Bellevue)へ。どちらからも戦勝記念塔はすぐです。
- 南西部: Uバーン、Sバーン、近郊列車が乗り入れるツォーロギッシャー・ガルテン駅(Zoologischer Garten)へ。ベルリン動物園の隣で、ノイアー・ゼー(Neuer See)にも近い場所です。
- 100番バス: 動物園とアレクサンダー広場を結ぶ、観光にも便利な路線です。グローサー・シュテルンにも停車します。
大通りに沿って公園をまっすぐ横切ると、歩いて45分ほどかかります。曲がりくねった小道をたどればもっと時間がかかりますが、それこそがこの公園の楽しみ方です。
ゴルトエルゼを目指して塔の上へ
戦勝記念塔(Siegessäule)は、プロイセンの戦勝を記念して1870年代に建てられました。1939年、ナチスによるベルリン改造計画の一環として、現在のグローサー・シュテルンに移されています。頂上の金色のヴィクトリア像を、ベルリンの人々は「ゴルトエルゼ(Goldelse)」と呼んで親しんでいます。
地上からロータリーを横断しようとするのはやめましょう。ロータリーの外周から塔の足元までは、地下に歩行者用トンネルが通っています。
塔の内部では、280段を超えるらせん階段が像のすぐ下の展望台まで続いています。エレベーターはなく、下りてくる人とすれ違うときは階段の狭さを実感します。頂上からは、東のブランデンブルク門まで一直線に延びる大通りが見渡せます。その先にはテレビ塔(Fernsehturm)がそびえ、周囲には木々の緑が一面に広がっています。展望台は有料で、現在の料金は入口に掲示されています。
水辺と島と古いガス灯
この公園らしさが最もよく表れているのは水辺です。ぜひ訪ねたいのは次の場所です。
- ノイアー・ゼー(Neuer See): 南西の隅にある湖です。湖畔のカフェ・アム・ノイエン・ゼー(Café am Neuen See)はビアガーデンを営んでおり、シーズン中は手漕ぎボートも貸し出しています。
- ルソー島(Rousseauinsel): グローサー・ティーアガルテンの池に浮かぶ小さな島です。ジャン=ジャック・ルソーの記念碑が立っており、散策の途中で静かにひと息つくのにぴったりです。
- イングリッシャー・ガルテン(Englischer Garten): ベルビュー駅に近い北西部にある庭園で、茅葺き屋根のティーハウスがあります。
- ガス灯博物館: ベルリンをはじめヨーロッパ各地の歴史あるガス街灯を集めた野外博物館です。ティーアガルテン駅近くの遊歩道沿いに並んでいて、日が暮れると明かりがともります。
北の端に建つベルビュー宮殿(Schloss Bellevue)は、ドイツ連邦大統領の公邸です。遊歩道から眺めることはできますが、中には入れません。その近く、シュプレー川のほとりには、曲線を描く屋根が印象的な世界文化の家(Haus der Kulturen der Welt)があり、隣にはカリヨンの鐘楼が立っています。
木々が語る歴史
いまの森で、もともとの木はほとんど残っていません。1945年以降の飢えに苦しんだ冬、ベルリンの人々は薪にするためにほぼすべての木を伐り倒し、芝生を掘り返して野菜を育てました。植林が始まったのは1940年代後半です。いま木陰をつくっている木々の多くは、戦後に育ったものなのです。
東側には記念碑が集まっています。いずれも無料で見学できます。
- 6月17日通り沿い、ブランデンブルク門のすぐ西にあるソビエト戦争記念碑。1945年に建てられました。
- 国会議事堂のそばにあるナチズムの犠牲となったシンティ・ロマの記念碑。暗い色をした円形の池が目印です。
- エーベルト通り(Ebertstraße)を挟んでホロコースト記念碑と向かい合うナチズム下で迫害された同性愛者の記念碑。コンクリートのブロックでできています。
大通りの名前そのものも、ひとつの記念碑といえます。東ドイツの人々が共産党政権に対して蜂起した1953年6月17日にちなんで名づけられたものです。
ビアガーデンと芝生でのマナー
ベルリンの人々にとって、ティーアガルテンは自宅の庭のような存在です。暗黙のルールをいくつか知っておくと、気持ちよく過ごせます。
ビアガーデンでは、カウンターで注文するのが一般的です。列に並んで注文し、トレーを自分で運んで、相席のベンチに空いた席を見つけて座ります。半分空いたテーブルで見知らぬ人の隣に座るのはごく普通のことです。グラスやジョッキにはデポジット(Pfand)がかかっていることが多く、カウンターに返却すると返金されます。
自転車に乗る人たちは真剣そのものです。多くの小道は歩行者と自転車の共用なので、ベルの音が聞こえたら脇によけましょう。自転車専用レーンを横に並んで歩くのも禁物です。晴れた日には、一部の草地で裸になって日光浴をする人の姿も見かけます。ベルリンでは昔からの習慣で、じろじろ見る人はいません。
バーベキューができるのは、許可の標識がある場所だけです。グリルを広げる前に必ず確認しましょう。
訪れる時間帯
ティーアガルテンは毎日24時間開園しています。とはいえ、これほど人気のある公園では、思っている以上に時間帯が大切です。
週末に最も落ち着いているのは午前7時〜9時です。この時間に遊歩道で出会うのはほとんどがジョギングや犬の散歩をする人たちで、低い朝日が水路を照らします。週末の午前10時〜午後8時の到着はできるだけ避けましょう。家族連れやピクニックのグループ、ブランデンブルク門から歩いてくる観光客で、主要な道も湖畔の席も埋まってしまいます。
戦勝記念塔と湖畔の散策だけでも、少なくとも2時間はみておきましょう。記念碑やビアガーデン、ガス灯まで巡るなら半日は必要です。日が暮れると、広い園内は大通りを離れるほど暗くなります。夜に公園を横切るときは、メインの遊歩道を歩くようにしてください。
よくある質問
ティーアガルテンが最も空いているのはいつですか?
週末なら午前7時〜9時に訪れましょう。この時間帯に遊歩道を行き交うのは、ほとんどがジョギングをする人と犬の散歩をする人です。最も混み合う週末の午前10時〜午後8時の到着は、できるだけ避けてください。
公共交通機関でティーアガルテンへ行くにはどうすればよいですか?
東側へはU5かSバーンでブランデンブルク門駅(Brandenburger Tor)へ。中央部や戦勝記念塔へはSバーン(S3、S5、S7、S9)でティーアガルテン駅かベルビュー駅(Bellevue)へ向かいます。南西部やノイアー・ゼー(Neuer See)へはツォーロギッシャー・ガルテン駅が便利です。100番バスもグローサー・シュテルン(Großer Stern)に停まります。
ティーアガルテンは夜も開いていますか?
はい、毎日24時間開園しています。ただし敷地が広く、6月17日通り(Straße des 17. Juni)から離れると照明も乏しいため、暗くなってからはメインの遊歩道を歩くようにしましょう。
ティーアガルテンにはどのくらいの時間をみておけばよいですか?
戦勝記念塔に上り、湖をめぐってひと回りするなら2時間ほどが目安です。国会議事堂近くの記念碑やビアガーデンでのひと休み、ガス灯博物館まで含めるなら半日はみておきましょう。
戦勝記念塔には上れますか?
はい、上れます。グローサー・シュテルンのロータリーの下を通る歩行者用トンネルを抜けると、塔の足元に出ます。そこから280段を超える階段を上った先、金色のヴィクトリア像のすぐ下に展望台があります。エレベーターはありません。入場料は入口に掲示されています。
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