同じ丘の上の、より大きなホールへ
ダーツの聖地は、同じ建物の中で新たな舞台を得ました。アレクサンドラ・パレスは2007/08大会からPDC世界選手権の会場を務めてきましたが、使われてきたのはずっと小さめのウエスト・ホール(West Hall)でした。2026/27大会では、パレス最大の空間であるグレート・ホールが初めて舞台となっています。
会期は2026年12月11日から2027年1月3日の決勝までです。クリスマスから年末年始にかけての3週間以上にわたって、セッションが続きます。日程や会場の詳細、チケットへのリンクはPDCが公式サイトで公開しています。
建物そのものも由緒ある存在です。アレクサンドラ・パレスは1873年に開館しましたが、わずか16日後に焼失し、1875年までに再建されました。1936年には、南東の塔からBBCが世界初となる定期の高精細テレビ放送を開始しています。その電波塔は、今も屋根の上にそびえています。
グレート・ホールで何が変わるのか
グレート・ホールは、高いアーチ型の天井に覆われたヴィクトリア朝時代の広大な空間です。奥には、ヴィクトリア朝の英国で造られたパイプオルガンのなかでも屈指の規模を誇るウィリス・オルガン(Willis organ)が据えられています。この空間にダーツのステージを設けることで、大会全体のスケールが一変します。
座席が増えたぶん、1セッションあたりの観客数はウエスト・ホール時代のどの大会をも上回ります。とはいえ、中の構成は見慣れたものです。一段高いステージに2枚のボードが並び、選手は観客の間を通って入場し、巨大スクリーンには一投一投が映し出されます。ただ、歓声が響き渡る天井ははるかに高くなっています。
以前に訪れたことがある人なら、パレス内のおなじみの動線がそのまま使えます。東棟と西棟、テラス、そして外に広がる公園も、すべて以前と同じ場所にあります。
マスウェル・ヒルを上る
アリー・パリーは、ハリンゲイ区(Haringey)のウッド・グリーン(Wood Green)とマスウェル・ヒル(Muswell Hill)の間に延びる尾根の上に建っています。坂は急で、どのルートを選んでも最後は少し上り坂を歩くことになります。
主なアクセス方法は次のとおりです。
- アレクサンドラ・パレス駅:ムーアゲート(Moorgate)駅とキングス・クロス(King’s Cross)駅からのグレート・ノーザン(Great Northern)線の列車が停車します。駅からは公園を抜けて坂を上ります。
- ウッド・グリーン駅(ピカデリー線):最寄りの地下鉄駅です。ここからパレスまでW3系統のバスが運行しています。
- フィンズベリー・パーク駅(ヴィクトリア線・ピカデリー線・鉄道):W3系統のバスはこの駅が始発でもあるので、ヴィクトリア線から来る人に便利です。
- タクシー・配車サービス:夜のセッションのあとによく利用されます。ただし、ホールから観客が一斉に出てくると、丘の上の乗り場には長い列ができます。
駅からの道は開けた公園を横切るため、雨風をしのげる場所はほとんどありません。12月のこの道は寒く、雨も多いうえ、夜のセッション後は真っ暗です。しっかりしたコートが役に立ちます。
仮装と大合唱
ダーツの観客席ほど独特な光景は、ほかのスポーツではなかなか見られません。大人数のグループがおそろいの衣装で現れます。スーパーヒーロー、クリスマスの妖精、サンタクロース、バナナ、さらには独身最後のパーティーの一行が全員で同じアニメキャラクターに扮していることもあります。アリー・パリーでは長年続く伝統で、テレビカメラも積極的にこうした観客を映し出します。
手作りのボードもお楽しみのひとつです。ファンはカメラに向けて、選手の名前やジョーク、地元への挨拶などを書いた段ボールを掲げます。自分のボードが画面に映れば、ちょっとした勝利です。
もうひとつの恒例行事が音楽です。レグの合間や休憩中には、ホール全体がプラネット・ファンク(Planet Funk)の「チェイス・ザ・サン(Chase the Sun)」を大合唱します。選手ごとの入場曲も大音量で流れ、試合中ずっと歌われ続けることも珍しくありません。慣れたファンは、人気選手の入場曲を事前に覚えてから足を運びます。
アリー・パリーでのセッションの仕組み
チケットは1日単位ではなく、セッション単位で販売されます。1セッションでは通常、複数の試合が続けて行われ、多くの日に昼と夜の2セッションが組まれています。常連にとって、セッションはちょっと立ち寄る場ではなく、夜を丸ごと楽しむイベントです。
フロア席の多くは、長いテーブルを相席で囲むスタイルです。バーからは積み重ねたカップで飲み物が運ばれ、見知らぬ者同士がいつの間にか肩を並べて歌っています。後方の階段席はボードが見やすい反面、パーティー気分はやや控えめです。
常連が守っているお約束をいくつか紹介します。
- 選手が投げている間は席を立たない。 レグが終わるまでは係員が通路で観客を待たせます。投てき中に動くと、周囲から大きなブーイングを浴びます。
- 移動は休憩中に。 セットの合間は、バーやトイレの列がもっとも早く進む時間帯です。
- 支払いはカードで。 会場内のバーや屋台は、ほとんどがカードやタッチ決済で運営されています。
- 大型スクリーンに注目する。 たいていの席からはボードがとても小さく見えるため、観客はスクリーンでトレブルの一本一本を追いかけます。
セッションの一覧と、会場の入場・手荷物に関する規定は、PDCのサイトに掲載されています。
ダーツで過ごすクリスマス
この大会ならではの特徴は、その時期にあります。序盤のラウンドが続く12月は、英国中の職場がクリスマスパーティーを開く季節です。アリー・パリーのセッションを自分たちのパーティーとして予約するグループも多く、サンタ帽があふれているのはそのためです。
過去の大会では、クリスマス当日の前後に短い中断期間を挟み、その後に後半のラウンドが再開されていました。終盤戦は年をまたぎ、2026/27大会の決勝は2027年1月3日です。
大会が進むにつれて、観客の雰囲気も変わっていきます。序盤のセッションは、ダーツをBGMにした大宴会といった趣です。終盤のラウンドともなると、ホール全体が一投一投を固唾をのんで見守るため、9ダーツフィニッシュや170のチェックアウトが決まったときの歓声はいっそう大きくなります。
パレスの周辺
開場前に着いたなら、丘の周辺を散策してみるのもおすすめです。パレス正面の南テラスからは、無料で楽しめる眺めとしてはロンドン屈指の大パノラマが広がります。地平線には、シティ(the City)やカナリー・ワーフ(Canary Wharf)の高層ビル群が連なっています。
眼下の斜面にはアレクサンドラ・パーク(Alexandra Park)が広がり、東側にはボート池があります。西へ少し歩くかバスに乗るとマスウェル・ヒルのブロードウェイ(Broadway)に出ます。エドワード朝時代の商店街にパブやレストランが軒を連ねており、セッション前にここで食事をするファンも少なくありません。丘のふもとのウッド・グリーンには、チェーン系のレストランがさらに多く、地下鉄の駅もあります。
ロンドン以外から訪れる人は、たいていロンドン中心部に宿を取り、鉄道や地下鉄で会場へ向かいます。キングス・クロス駅やピカデリー線の沿線からなら、移動は簡単です。
よくある質問
PDC世界ダーツ選手権2026/27の日程は?
会期は2026年12月11日から2027年1月3日の決勝までで、会場はロンドン北部のアレクサンドラ・パレスです。全セッションのスケジュールはPDCが公式サイトで公開しています。
会場はどこにあり、どうやって行けばよいですか?
大会の舞台は、ウッド・グリーンとマスウェル・ヒルの間の丘に建つアレクサンドラ・パレスのグレート・ホールです。ムーアゲート駅またはキングス・クロス駅からグレート・ノーザン線でアレクサンドラ・パレス駅まで行き、公園を抜けて坂を上る方法があります。ピカデリー線でウッド・グリーン駅まで行き、W3系統のバスで丘を上ることもできます。
会場は例年と同じですか?
建物は同じですが、使われるホールが違います。アリー・パリーは2007/08大会から、ウエスト・ホールで選手権の会場を務めてきました。2026/27大会では、はるかに広いグレート・ホールが初めて舞台となっています。
1セッションの長さはどのくらいで、どんな雰囲気ですか?
チケット1枚で観戦できるのは1セッションで、各セッションでは複数の試合が続けて行われます。昼や夜を丸ごと使って楽しむ人がほとんどです。フロアでは相席のテーブルに座り、仮装や手作りのボード、「チェイス・ザ・サン(Chase the Sun)」の大合唱も観戦の醍醐味です。
周辺にはどんな見どころがありますか?
アレクサンドラ・パレスの南テラスからは、ロンドンを一望する広大な景色が楽しめます。すぐ下にはアレクサンドラ・パークとボート池があります。西へ少し歩くかバスに乗るとマスウェル・ヒルのブロードウェイがあり、パブやレストランが並んでいます。セッション前にここで食事をするファンも大勢います。
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