川が持つ意味
物語の舞台は一本の橋です。1220年代、ジャラールッディーンの軍勢がトビリシを攻め落としました。ジョージア正教会が「1227年のトビリシ陥落」として記憶している侵攻です。教会の伝承によれば、ムトゥクヴァリ川に架かる橋の上にイコンが並べられ、住民たちはそれを踏んで渡り、信仰を捨てるよう命じられました。
同じ伝承では、これを拒んだ10万人が首をはねられ、その亡骸は川へ投げ込まれたといいます。ジョージア正教会はこの日を、とりわけ重要な祭日のひとつに数えています。教会が用いるユリウス暦では10月31日、グレゴリオ暦では11月13日にあたります。そのため、祭日は毎年同じ日付になります。
祭日を祝う場所
祭日の会場は一か所に決まっていません。市内各地の正教会の教区で、ジョージア語で歌われる聖体礼儀がささげられます。訪れる人が特に多いのは次の2つの教会です。
- メテヒ生神女教会:左岸の崖の縁に建つ石造りの教会で、ヴァフタング・ゴルガサリ王の騎馬像がすぐそばにあります。殉教の舞台と伝えられる川の一帯を見下ろせます。
- 至聖三者大聖堂(サメバ):エリアの丘に建つ総主教座聖堂で、国内最大の教会です。メテヒ教会からは坂を上って徒歩15分ほどです。
どちらへもトビリシ地下鉄1号線のアヴラバリ駅が最寄りです。メテヒ教会からメテヒ橋を渡れば、旧市街やメイダン(Meidan)まで歩いて数分で着きます。2026年の祭日は金曜日にあたるため、街はふだんの平日と同じように通勤・通学の人や車で混み合います。
ジョージアの礼拝の様子
ジョージアの教会には、座席がほとんどありません。信徒は礼拝のあいだ立ったまま参列し、途中でも静かに出入りします。入口を入ってすぐのカウンターで細い蜜蝋のろうそくを買い、火をともして、イコンの前にある砂を敷いた燭台に立てるのが習わしです。
旅行者も、信徒と同じ服装の決まりに従うのが一般的です。
- 女性はスカーフで髪を覆い、膝下丈のスカートをはきます。入口に羽織りものを置いている教会も多くあります。
- 男性は帽子を脱ぎ、長ズボンを着用します。
- 男女とも肩は覆います。
聖体礼儀のあいだは、ほとんどの人がスマートフォンをポケットにしまっています。礼拝中にフラッシュを使って撮影するのは失礼とされます。礼拝が終わって人が引いたあとなら、堂内を静かに撮るくらいは大目に見てもらえることがほとんどです。脇や後方に立つようにすると、聖職者や聖体を受ける人のために中央の通路を空けておけます。
左岸で一日を過ごす
祭日は、川沿いの散策と組み合わせやすいのも魅力です。メテヒ教会の下にはリケ公園があり、ガラス張りの平和橋で旧市街とつながっています。対岸には、アバノトゥバニの硫黄温泉の浴場とナリカラ要塞が見えます。要塞へはリケ公園からロープウェイで上れます。
11月中旬のトビリシは肌寒い日が多く、午後はすぐに日が暮れます。教会の石の床は冷えやすいので、長時間立ちっぱなしの礼拝には暖かい服を重ね着して臨む人が多くいます。午前中は聖体礼儀に参列し、午後は川沿いを散策して過ごすのが、多くの旅行者の定番です。
よくある質問
2026年のトビリシの10万人の聖殉教者の祭日はいつですか?
2026年11月13日(金)です。ジョージア正教会は毎年、グレゴリオ暦の11月13日にこの祭日を記念します。教会が用いるユリウス暦では10月31日にあたります。
チケットは必要ですか?
必要ありません。教会の礼拝で祝う宗教上の祭日です。トビリシの正教会には、ふさわしい服装をしていれば誰でも入れます。
この祭日ともっとも関わりの深い教会はどこですか?
ムトゥクヴァリ川の崖上に建つメテヒ生神女教会です。殉教の舞台と伝えられる川の一帯を見下ろす位置にあります。総主教座聖堂である至聖三者大聖堂(サメバ)へも、坂を少し上れば歩いて行けます。
メテヒ教会へはどう行けばよいですか?
トビリシ地下鉄1号線でアヴラバリ駅まで行き、川の方へ坂を下ります。旧市街からなら、メテヒ橋を歩いて渡れます。
礼拝にはどんな服装で行けばよいですか?
女性はスカーフで髪を覆い、膝下丈のスカートをはくのが一般的です。男性は帽子を脱ぎ、長ズボンを着用します。男女とも肩は出しません。入口に羽織りものを用意している教会も多くあります。
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