メイソン・コーブ(Mason Cove)の入り江のほとりには、屋根を失った4階建ての砂岩の建物が立っています。窓からはそのまま空がのぞきます。これが「ペニテンシャリー(監獄棟)」です。もとは製粉所と穀物倉庫として建てられ、1850年代に囚人の独房へと改装されました。1890年代後半には森林火災で内部が焼け落ちています。敷地のちょうど中央にあるため、見学中は何度もこの建物の前を通ることになるでしょう。
ポート・アーサーが流刑地として使われていたのは1830年から1877年までです。現在は、11か所の構成資産からなる世界遺産「オーストラリアの囚人遺跡群」のひとつに登録されています。入り江を囲む広大な敷地には、芝生や遺構、修復された家々が点在しています。ちょっと立ち寄るような場所ではないので、丸1日かけるつもりで訪れてください。
メイソン・コーブ周辺の遺構
まずビジターセンターに立ち寄ってから、水辺へと下りていきましょう��入場料には通常、ガイド付きの導入ウォーキングツアーと短い湾内クルーズが含まれています。最初にこの2つに参加しておけば、敷地の全体像と主な歴史を把握できるので、そのあとの自由散策がぐっと楽しくなります。
見学計画の軸にしたいのは、次の建物です。
- ペニテンシャリー:入り江に立つ屋根のない建物で、絵はがきの多くに使われている光景です。
- セパレート・プリズン(独居監獄):沈黙と独房監禁のために建てられた監獄です。覆いのある運動場や、囚人が一人ずつ壁で仕切られた席に座らされた礼拝堂が残っています。
- 囚人教会:斜面を上った先にあるゴシック様式の砂岩の廃墟で、一度も聖別されることはありませんでした。
- 司令官の家と士官たちのコテージ:家具とともに修復されており、塀の外側で暮らした人々の生活ぶりを伝えています。
- 監視塔と軍事地区:敷地内でもっとも古い石造りの建造物群です。
対岸に見える死者の島とポイント・ピュアー
岸辺からは、時間をかけて訪れる価値のある場所が2つ見えます。ひとつは「死者の島(Isle of the Dead)」で、植民地の墓地として使われた小さな島です。囚人、兵士、自由移民がここに埋葬されましたが、囚人の多くは墓標のない墓に眠っています。上陸はガイド付きの別ツアーになるため、空き状況をビジターセンターで確認してください。
もうひとつは湾の向こうにある「ポイント・ピュアー(Point Puer)」です。ここは少年専用の監獄で、わずか9歳の子どもまで収容されていました。現在はほとんど何も残っていません。それでも、クルーズやガイドからその歴史を聞くと、敷地のほかの場所もまったく違って見えてくるはずです。
ホバートからのアクセス
ホバートからは東へ向かい、タスマン橋(Tasman Bridge)を渡ります。その後はアーサー・ハイウェイ(A9)でソレル(Sorell)を抜け、半島を南下してください。休憩なしでおよそ90分の道のりです。ダナリー(Dunalley)を過ぎると道幅が狭くなり、カーブも増えます。左側通行の運転に慣れていない方は、時間に余裕を持っておきましょう。
車を運転しない場合は、ホバート発の日帰りバスツアーがおもな選択肢です。なかには湾内クルーズや、タスマン国立公園の海岸線と組み合わせたツアーもあります。
道中でおすすめの立ち寄りスポットは次のとおりです。
- イーグルホーク・ネック(Eaglehawk Neck):細長い地峡で、かつては脱走を防ぐため、鎖につながれた犬がずらりと並べられていました。
- テッセレイテッド・ペイブメント(Tessellated Pavement):イーグルホーク・ネック近くにある平らな岩棚で、ひび割れがほぼ完璧なタイル模様を描いています。
- タスマン・アーチ(Tasman Arch)とデビルズ・キッチン(Devils Kitchen):海に削られてできた断崖で、ハイウェイから数分の場所にあります。
- リマーカブル・ケーブ(Remarkable Cave):歴史地区から車で少し南へ走ったところにあります。
急がず、ゆったりと1日を
ゲートが開いているのは毎日午前9時から午後5時までです。開館の午前9時ちょうどに着くようにホバートを早めに出発すれば、バスツアーの混雑より先に入れます。バスツアーは午前中の半ばごろに到着することが多いので、早く着けばたいていツアー客より先にセパレート・プリズンを見学できます。
敷地は広く、芝生の斜面が続いています。教会や家々へ向かう道には急な坂もあります。タスマニアの天気は夏でも急変することがあるので、防水の上着を持っていきましょう。夜には、日中の見学時間が終わったあとにゴーストツアーが催行されています。予約は別途必要なので、開催日や最新の料金はポート・アーサーの公式サイトで確認してください。
敷地内での心構え
ポート・アーサーは多くの人が訪れる名所で、評価も安定して高く、観光地として大切に扱われています。一方で、流刑の時代とは別の深い悲しみを抱えた場所でもあります。1996年にはここで銃乱射事件が起き、35人が命を落としました。犠牲者の多くが亡くなったブロード・アロー・カフェ(Broad Arrow Café)の跡地には、現在メモリアル・ガーデンが設けられています。
訪問者に心に留めてほしいとされていることは、次のとおりです。
- 1996年の事件についてスタッフに質問しないでください。 ガイドや地元の人々の多くは、あの日と個人的なつながりを持っています。伝えるべきことは、メモリアル・ガーデンが語���てくれます。
- メモリアル・ガーデンでは声を落としましょう。 セパレート・プリズンの礼拝堂でも同様です。どちらもあえて静けさが保たれている場所です。
- 遺構の壁には登らないでください。 砂岩はもろく、登ることは禁止されています。
- オプションのツアーは到着時かオンラインで予約しましょう。 死者の島とポイント・ピュアーのツアーは、混雑する日には定員に達してしまうことがあります。
1日の締めくくりには、もう一度入り江まで歩いて下りてみてください。帰る前に水際からペニテンシャリーを振り返り、アーサー・ハイウェイがまだ明るいうちに北へ向けて車を走らせましょう。
よくある質問
ポート・アーサー歴史地区はホバートからどのくらい離れていますか?
ホバートから南東へ車で約90分です。タスマン橋を渡り、アーサー・ハイウェイ(A9)でソレルを抜けてタスマン半島を南下します。車を運転しない場合は、ホバート発の日帰りバスツアーがおもな選択肢になります。
開館時間を教えてください。
毎日午前9時から午後5時まで開いています。夜のゴーストツアーは閉館後に行われ、予約も別途必要です。開催日は公式サイトで確認してください。
ポート・アーサーの見学にはどのくらい時間をかければよいですか?
丸1日を見込んでおきましょう。導入ウォーキングツアーと湾内クルーズ、ペニテンシャリー、セパレート・プリズン、教会、修復された家々を回るだけでも、5〜6時間はかかります。これには死者の島やポイント・ピュアーのツアー、道中での立ち寄りは含まれていません。
混雑を避けるにはどうすればよいですか?
開館の午前9時ごろに着くよう、ホバートを早めに出発しましょう。バスツアーは午前中の半ばごろに到着することが多いため、早めに行けば団体客より先にセパレート・プリズンとペニテンシャリーを見学できます。
周辺にはほかにどんな見どころがありますか?
道中では、タスマン国立公園内のイーグルホーク・ネック、テッセレイテッド・ペイブメント、タスマン・アーチ、デビルズ・キッチンに立ち寄れます。リマーカブル・ケーブは、歴史地区から車で少し南へ走ったところにあります。
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