なぜ訪れるべきか
ピア33を出たフェリーが動き出すと、まず気づくのは街の喧騒があっという間に遠ざかっていくことです。そして視界を支配し始めるのが、ゴツゴツとした岩塊の上に白い灯台と朽ちかけた監獄棟のシルエットを載せた、あの島の姿です。アルカトラズはサンフランシスコ湾内、沖合およそ1.25マイルに位置しています。
かつて受刑者たちが大晦日のパーティーの音を街から聞き取れたと言われるほど近い一方で、冷たい海流やサメ(実在はするものの、脱獄抑止のためにやや誇張されて語られてきた面もあります)のせいで脱獄はほぼ絶望的とされるほど遠くもある場所です。この「近いのに手が届かない」という矛盾こそが、訪れた者の記憶に長く残る理由なのです。
アクセス方法
島に上陸することを許されているフェリー会社は、アルカトラズ・クルーズただ一社のみです。乗り場となるピア33はエンバーカデロ(The Embarcadero)沿いにあり、ベイエリア高速鉄道(BART)のエンバーカデロ駅から徒歩すぐ、あるいはミュニ(Muni)のF系統のクラシックな路面電車でもアクセスできます。島内でチケットを購入することはできず、他のボート会社が桟橋に着けることも認められていないため、すべての行程はこの一つの発着点を通ることになります。
船での移動時間は約15分で、乗船前にはレンジャーまたは乗務員による簡単な安全説明があります。
見どころと楽しみ方
島に上陸すると、桟橋から本館の監獄棟まではつづら折りの急な坂道を上っていくことになります。数分程度の上り坂を覚悟しておくか、必要であればシャトルトラムを利用しましょう。館内では音声ガイドツアーこそがこの場所の評判を支えている理由です。元看守や元受刑者の語りに導かれながら、独房棟であるD区画の独居房、天井に今も催涙ガス弾の缶が吊るされたままの食堂、そして受刑者が隠し武器を持っていないか調べられたシャワー室を、房ひとつひとつたどるように見学していきます。
わずか5フィート×9フィートほどの独房に実際に立ち、かつて封鎖(ロックダウン)の合図として鳴り響いた鋼鉄の扉が閉まる音の反響を、そのまま耳にすることになるでしょう。監獄棟の外には、数十年の放置期間を経てボランティアの手で植え直され、今も手入れが続けられている庭園が広がっています。
野草がコンクリートの無機質さを和らげ、サンフランシスコの街並みとゴールデンゲート・ブリッジを望む、他ではなかなか見られないほどの絶景も楽しめます。島内だけでも最低2時間は見ておきたいところで、歴史好きなら3時間はあっという間に過ぎてしまいます。
いつ訪れるべきか
朝の便は空いていて涼しく、橋の塔にはまだ霧がかかっていることも多い時間帯です。午後の便になると監獄棟の入り口に一度に大人数が押し寄せ、正午前後には桟橋周辺やギフトショップも混雑しがちです。冬季(11月から2月)は全体的に人出が少なく、雨の降らない日には視界もクリアになりますが、夏の週末はフェリーの枠が最も早く埋まりやすく、数週間前から売り切れることもあります。
地元の人のように訪れるコツ
アルカトラズは有名で来訪者の多いスポットであり、隠れた穴場を見つけるような場所ではありません。ですから本当に大切なのは、空いた一角を探すことではなく、混雑をいかに上手にかわすかという点です。できるだけ早いフェリー、理想を言えばその日の始発便を予約しましょう。
午前も半ばを過ぎてツアーバスの団体が押し寄せる前であれば、監獄棟の音声ガイドツアーはずっと空いています。チケットはアルカトラズ・クルーズの公式サイトでオンライン販売されており、通常は数日から数週間前の予約が必要です。特に夏や連休の週末は当日券が手に入ることはめったにないので注意しましょう。
フェリーから桟橋近くの小さなカフェに至るまで、島内のあらゆる支払いはカード決済が基本で、現金が主流というわけではありません。靴はサンダルではなく、きちんとしたものを履いていきましょう。桟橋から監獄棟までの上り坂や、刑務所の中庭にある凹凸のある路面には、意外と足を取られがちです。
初めて訪れる人にありがちな失敗は、アルカトラズを単なる写真撮影スポットのように扱ってしまうことです。監獄棟をわずか45分で駆け足で見て回った挙句、帰りのフェリーの最終便を逃してしまったり、庭園やアガベ・トレイル(Agave Trail)をまるごと見逃してしまったりするケースが少なくありません。
急がず、音声ガイドは自分のペースでじっくりとたどってください。そして島に着いたらすぐに帰りのフェリーの時刻を確認しておくことです。そうすれば、自分を置いて出航していく船をただ見送るはめにはならずに済みます。
訪問と合わせて楽しみたい周辺スポット
帰りのフェリーがピア33に戻ったら、エンバーカデロ沿いに10〜15分歩くだけでフィッシャーマンズ・ワーフ(Fisherman’s Wharf)とピア39(Pier 39)に到着します。近くにはアシカの群れやシーフードの屋台、ケーブルカーの折り返し地点などがあります。フードホールと、日によっては朝にファーマーズマーケットも開かれるフェリー・ビルディング(Ferry Building)は、そこからさらに20分ほど水辺沿いを進んだ先にあり、アルカトラズ島観光の朝の締めくくりにぴったりの場所です。
よくある質問
アルカトラズ島へのチケットはどうやって手に入れますか?
チケットは公式フェリー運航会社であるアルカトラズ・クルーズのみが販売しており、乗り場はエンバーカデロ(The Embarcadero)沿いのピア33です。当日券が手に入ることはほとんどないため、オンラインで事前に予約しておきましょう。目安として2〜3週間前なら安心ですが、夏の週末はもっと早めの予約が必要です。
見学にはどれくらいの時間を見ておけばよいですか?
全体で2.5〜3時間ほど見ておくとよいでしょう。フェリーは片道約15分、島では監獄棟の音声ガイドツアーや庭園の散策も含めて2時間以上を過ごすことになります。
混雑を避けるにはいつ訪れるのがよいですか?
朝一番のフェリー便がいちばん空いています。午前も半ばを過ぎ、午後にかけてツアー団体が増えていくためです。全体としては、夏の週末に比べて冬の平日のほうが目立って空いています。
音声ガイドツアーは参加する価値がありますか?
はい、その価値は十分にあります。ほとんどのチケットに含まれており、元看守や元受刑者による案内で実際の監房を歩きながら聞くその内容は、このツアー最大の見どころとも言われています。
何を持っていくとよいですか?
風が強くしばしば霧も出る船上のためにジャケットを、桟橋から続く急な坂道や中庭の足場の悪さに備えて、履き慣れたつま先の閉じた靴を用意しましょう。島内では現金があまり使われないため、支払い用のカードも持参してください。
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