ガラスのビル群に囲まれた彩色の屋根
敷地の三方には、ガラス張りのオフィスビルが高くそびえています。その真ん中に建つのは、反りのある瓦屋根に朱色の柱、青・緑・金で彩られた軒をもつ、低い木造のお堂です。この対比ほど、ウランバートルという街をよく物語る光景はないでしょう。
チョイジン・ラマ寺院博物館は、1900年代初頭に建てられた塀に囲まれた僧院です。街の宗教建築のほとんどが失われた1世紀を、この寺は生き延びてきました。現在は博物館となっており、石畳の中庭を囲んで建ついくつものお堂に、仏教美術や儀式の道具が収められています。立地から想像するよりずっと静かで、広場へ向かう途中に門の前を素通りしてしまう人も少なくありません。
ここに暮らした神託師
この僧院は、チョイジン・ラマ(国家の神託師を意味する称号)であったロブサンハイダブのために、1904年から1908年にかけて建てられました。彼の兄は、モンゴルの宗教的指導者であり、1911年からは神権君主として国を治めた第8代ジェブツンダンバ・ホトクト、すなわちボグド・ハーンです。神託師の務めは、トランス状態に入り、国家の重大事について守護尊の言葉を伝えることでした。
1938年、モンゴル全土で数百の僧院が破壊され、数千人の僧侶が命を奪われた粛清のさなかに、この寺も閉鎖されました。それでも建物が残ったのは、博物館に転用されたためで、1942年に開館しています。僧侶の共同体が営まれることのないまま、聖域がガラスケースに収められたように保存されている今の姿には、こうした経緯があるのです。
お堂の内部
お堂は一般に5棟とされ、それぞれに異なる趣があります。堂内は薄暗く狭く、明かりはほとんど入口から差し込む光だけです。黒ずんだ木の床は、長い年月を経てすり減り、なめらかになっています。
見どころは次のとおりです。
- 本堂:金箔を施した大きな仏像が並び、その間にはチョイジン・ラマの師であったバルダン・チョイムボルの遺体がミイラとなって安置されています。
- 金銅仏:モンゴル初代のボグドであり、同国で最も名高い芸術家でもあるザナバザルに通じる、洗練された様式で造られています。
- タンカ(掛け軸の仏画):壁に沿って掛けられており、中には細部まで緻密に描き込まれたものもあります。
- 憤怒の守護尊:密教の堂であるヤダム堂に祀られており、この堂はほかよりも重く暗い雰囲気に包まれています。
どのお堂も小さいので、急がずにじっくり見てまわりましょう。目が暗さに慣れるまで1分ほど待つと、隅に描かれた絵が浮かび上がってきます。
ツァムの仮面と神託師の衣装
訪れた人の記憶にいちばん残るのが、この展示です。ツァムとはモンゴル仏教の仮面舞踊で、悪を払い、守護尊を称えるために演じられます。当館が所蔵するツァムの仮面と衣装のコレクションは、国内でも屈指の重要なものです。
仮面はどれも大きく、どっしりとした造りです。飛び出した目、髑髏の冠、炎のように逆立つ髪、むき出しの歯をもち、その多くは珊瑚や張り子で覆われています。たいていは仮面の隣に儀式用の衣装も並んでいて、この舞踊がいかに壮大で劇的なものだったかがうかがえます。全体像をつかむには、ツァムの展示とあわせて、お堂に祀られた守護尊の像も見ておきましょう。仮面は、まさにその神々を舞踊のために現世へ呼び出した姿なのです。
お堂を巡るときの心得
博物館とはいえ、お堂は今も寺院と同じように敬意をもって扱われています。そのふるまいにならうのは難しくありません。
- 時計回りに歩きましょう。 それぞれのお堂の中でも敷地内でも、モンゴルの人々はどの仏教施設でもこの向きで巡ります。
- 屋内では帽子を脱ぎ、声を抑えましょう。室内は音がよく響きます。
- 仏像や祭壇の布、彩色された柱には触れないでください。 多くは壊れやすく、ガラスで保護されていません。
- 写真を撮る前には確認しましょう。 お堂の中での撮影には、従来、別途許可が必要とされてきました。現在の決まりと料金は、入口のチケット窓口で教えてもらえます。
チケットは中庭に入る前に門で購入します。入場料はそこに掲示されています。係員から、本堂から見始めて外側へ回るよう案内されることもあり、そうするとお堂の順路がわかりやすくなります。
スフバートル広場からのアクセス
ウランバートルには地下鉄がなく、中心部は歩いてまわるのがいちばんです。スフバートル広場(今もチンギス広場と呼ばれることがあります)の南端から南へ数分歩くと、ゲンデン通りに出ます。ビル群の中で伝統的な屋根の形をしているのはこの寺だけなので、塀に囲まれた敷地はすぐに見つかります。
タクシーを使う場合は、地元の人に通じる「チョイジン・ラミン・スム(Choijin Lamyn Süm)」という名前を運転手に伝えましょう。ウランバートルでは夕方になると道路がよく渋滞します。遠くから来るなら、朝のうちに出発するほうが気持ちに余裕が生まれ、お堂の見学にも時間をかけられます。
現在は毎日午前9時〜午後6時に開館しています。ウランバートルの博物館は季節や祝日によって開館時間が変わることがあるため、特に冬は出かける前に公式情報を確認してください。
中心部のほかの見どころとあわせて
この寺は、広場周辺を歩いてまわる半日の行程にちょうどよく組み込めます。近くには次のような見どころがあります。
- モンゴル国立博物館:広場のすぐ北西にあり、匈奴の時代から遊牧が続く現代まで、壮大な歴史をたどれます。
- ザナバザル美術館:広場の西にあり、お堂で目にしたばかりの様式を生んだ彫刻家の作品を、さらに多く所蔵しています。
- ガンダン寺:西へ約2キロにある、今も僧侶が読経を続ける現役の僧院です。博物館となったこの寺院を訪れた後に足を運ぶと、ちょうどよい対比になります。
先にチョイジン・ラマ寺院を、次にガンダン寺を訪れると、粛清によって何が失われ、1990年以降に何がよみがえったのかが見えてきます。
よくある質問
チョイジン・ラマ寺院博物館はどこにありますか?どうやって行けばよいですか?
ウランバートル中心部スフバートル区のゲンデン通り沿いにあり、スフバートル広場から南へ歩いて数分です。徒歩で行くのがいちばん簡単です。タクシーを使う場合は「チョイジン・ラミン・スム(Choijin Lamyn Süm)」と伝えてください。
見学にはどのくらいの時間が必要ですか?
1–1.5時間ほどあれば、すべてのお堂とツァムの仮面コレクションを急がずに見られます。近くのモンゴル国立博物館やザナバザル美術館もあわせて訪れれば、半日の行程になります。
開館時間を教えてください。
現在は毎日午前9時〜午後6時に開館しています。季節や祝日によって時間が変わることがあるため、特に冬は出かける前に公式情報を確認してください。
現在も僧院として活動していますか?
いいえ。1938年の粛清の際に閉鎖され、1942年からは博物館となっています。それでも寺院を訪れるときと同じように、時計回りに歩き、帽子を脱ぎ、静かに過ごしましょう。
館内で写真を撮ってもよいですか?
お堂の中での撮影には、従来、別途許可が必要とされてきました。現在の決まりについては入口のチケット窓口で確認してください。料金がかかる場合は、そこに掲示されています。
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