商店街にたたずむ赤い車両
山麓駅はうっかり通り過ぎてしまいそうな場所にあります。ウェリントンきってのオフィス街であり商店街でもあるラムトン・キー(Lambton Quay)から、店と店のあいだの細い路地へ入った先です。スーツ姿の人々が行き交う路地を進むと急に視界が開け、ホームと真っ赤な車両、そして丘へ向かって急角度でのびる線路が現れます。
1902年に開業したこのケーブルカーは、ニュージーランドで現在も運行している唯一のケーブルカーです。観光専用の乗り物だったことは一度もありません。学生や通勤客、ケルバーン(Kelburn)の住民にとっては家路につくための足であり、朝早くから動いているのもそのためです。
5分間で4つの駅
全行程にかかる時間は約5分です。2両の車両が1本のケーブルでつながったフニクラ(鋼索鉄道)方式で、自分の車両が上っているあいだ、もう一方の車両は下ってきます。2両がすれ違うのは、路線の中ほどにある行き違い区間です。
途中にもいくつか駅があり、地元の人たちが乗り降りする姿を見かけるはずです。
- クリフトン・テラス(Clifton Terrace):市街地のすぐ上にある駅
- タラベラ(Talavera):車両がすれ違う地点
- サラマンカ(Salamanca):ヴィクトリア大学ウェリントンのケルバーン・キャンパスの最寄り駅
- ケルバーン(Kelburn):展望台と博物館がある山頂駅
線路は短いトンネルをくぐったり橋を渡ったりしながら進みます。座席は斜面に合わせて階段状になっています。上りでは谷側を向いて座ると、背後に広がっていく街並みを眺められます。下りは進行方向を向いて座るのがおすすめです。
ケルバーンで待っている景色
ケルバーンで降りると、出発地点より約120メートル高いテラスに出ます。手すり越しに見下ろせば、ウェリントンの中心業務地区(CBD)の向こうに港が広がっています。左手には弧を描くオリエンタル・ベイ(Oriental Bay)、その奥にはビクトリア山(Mount Victoria)がそびえています。
ウェリントンは風の強い街として知られ、この場所も吹きさらしです。ラムトン・キーで風がなかったとしても、上着を一枚持っていきましょう。風を遮るもののない丘の上は、建物に守られた下の通りとは比べものにならないほど強い風が吹きつけます。
展望台では20分ほど過ごすつもりでいてください。車を使わず、きつい坂道を延々と登ることもなくたどり着ける無料の展望スポットとしては、街いちばんの眺めです。
かつての巻き上げ機室
ケーブルカー博物館は山頂駅のすぐ隣にあります。建物は、かつて巻き上げ機が置かれていたれんが造りの建物です。館内では、1979年に改修される前の仕組みを知ることができます。初期の車両も当時の塗装のまま保存されています。
こぢんまりとした博物館なので、見学時間は20〜30分ほどです。これほど坂の多い街に、なぜ斜面をまっすぐ上る鉄道が必要だったのか。その理由がよくわかる場所です。開館時間はケーブルカーとは別なので、予定を立てる前に公式サイトで確認してください。
植物園を歩いて下る
初めて訪れる人の多くは往復券を買います。ですが、上りだけケーブルカーに乗り、帰りは歩いて下るほうがおすすめです。ウェリントン植物園はケルバーンの山頂駅を出てすぐのところから始まっています。自生の森や針葉樹の林、芝生のあいだをジグザグに縫う小道をたどれば、街のソーンドン(Thorndon)側まで下りられます。
下り道では、次のスポットにも立ち寄ってみてください。
- カーター天文台のスペース・プレイス(Space Place at Carter Observatory):山頂駅から歩いてすぐ
- レディ・ノーウッド・ローズガーデン(Lady Norwood Rose Garden):植物園の下のほうにあります
- ボルトン・ストリート墓地(Bolton Street Cemetery):市内でも最も古い墓地のひとつで、街へ戻る遊歩道の途中にあります
のんびり歩いて30〜45分ほどです。たどり着くのは国会議事堂やビーハイブの近くで、そこからラムトン・キーまでは平らな道を少し歩くだけです。ずっと下り坂が続くので、この向きで歩くのがいちばん楽です。
行列を避けて乗るには
観光客にとても人気があるので、天気のよい週末には山麓駅の行列がケーブルカー・レーンにまで延びることもあります。並ばずに乗るには、時間帯を選ぶのが一番です。
- 平日: すいているのは午前8時〜9時と午後7時〜9時です。ただし現在、月曜〜木曜の運行は午後8時までなので、夜にすいている時間帯は実質的に午後7時〜8時になります。金曜は午後9時まで運行しています。
- 週末: すいているのは午前9時〜11時と午後5時〜9時です。行列ができる午前11時〜午後5時は避けましょう。現在、日曜の運行は午後7時までなので、夕方以降にねらえるのは午後5時〜7時です。
乗車列に並ぶ前に、ラムトン・キーの駅で切符を買っておきましょう。最新の運賃や支払い方法は、ウェリントン・ケーブルカーの公式サイトで確認してください。普段から利用している人は交通系ICカードをタッチして乗っています。歩いて下る予定なら、片道券を頼みましょう。
車内では手すりにつかまるか、座っていてください。かなりの急勾配で発車と停車をくり返します。平日の朝や夕方の通勤・通学時間帯には、サラマンカ駅へ向かう学生たちの邪魔にならないよう、カメラを手にドア付近に陣取るのは控えて道を譲りましょう。
1日の予定に合わせた乗り方
現在の運行時間は、月曜〜木曜が午前7:30〜午後8時、金曜が午前7:30〜午後9時、土曜が午前8:30〜午後9時、日曜が午前8:30〜午後7時です。これは今週の運行時間で、変更になる場合もあります。遅い時間に乗るときは、事前に公式サイトで確認してください。
平日の早い時間に乗れば、午前9時の出勤ラッシュを前に目覚めていく街並みを見下ろせます。夜のすいている時間帯なら、展望台の下に広がるCBDに明かりがともっていく様子を楽しめます。到着したときにどのくらい暗くなっているかは季節によって変わります。
博物館と植物園の散策まで含めるなら、全体で2〜3時間みておきましょう。ケーブルカーに乗って景色を眺めるだけなら、45分あれば十分です。
よくある質問
ウェリントン・ケーブルカーにはどこから乗れますか?
山麓駅は、ウェリントン中心部のラムトン・キー280番地から入るケーブルカー・レーンにあります。店と店のあいだを通る細い路地なので、ラムトン・キー沿いにあるケーブルカーの案内表示を目印にしてください。終点のケルバーンには、展望台やケーブルカー博物館、植物園があります。
いちばんすいている時間帯はいつですか?
平日は午前8時〜9時と、午後7時から運行終了までが比較的すいています。現在の運行終了時刻は、月曜〜木曜が午後8時、金曜が午後9時です。週末なら午前9時〜11時か午後5時以降に行きましょう。週末の午前11時〜午後5時は行列ができるので避けてください。
所要時間はどのくらいですか?
乗車時間そのものは約5分です。ケーブルカーに乗って展望台を見るだけなら45分ほどみておけば十分です。ケーブルカー博物館を見学し、植物園を歩いて下るなら2〜3時間かかります。
往復券と片道券、どちらを買うべきですか?
上りだけケーブルカーに乗り、ウェリントン植物園を歩いて下る人がたくさんいます。道はずっと下り坂で、30〜45分ほど歩くとソーンドンの国会議事堂の近くに出ます。現在の切符の種類と運賃は、ラムトン・キーの駅と公式サイトに掲載されています。
山頂駅の近くにはほかに何がありますか?
ケルバーンの山頂駅のすぐ隣にあるのがケーブルカー博物館です。カーター天文台のスペース・プレイスとウェリントン植物園へも歩いてすぐです。街へ歩いて下る途中には、レディ・ノーウッド・ローズガーデンやボルトン・ストリート墓地もあります。
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