街の物資を預かった倉庫
まず目を向けたいのが建物そのものです。港に面して建つヴィクトリア朝様式のれんが造りで、1892年にウェリントン港湾局のボンド・ストア(保税倉庫)として建てられました。輸入品は関税が納められるまでここで保管されていました。港湾局の事務所が置かれていたのもこの建物です。現在はジャーヴォイス・キーとクイーンズ・ワーフが交わる角にあり、ウォーターフロントの遊歩道にじかに面しています。
外観には、かつて支えた貿易港の面影がそのまま残っています。一方、館内の各フロアはウェリントン自身の物語にあてられています。マオリの到来と定住、活気ある港の営み、たび重なる地震、そして街のちょっと風変わりな習わしまで、テーマはさまざまです。展示が扱うのは国全体ではなく、この地域の歴史です。
目にするものはすべて窓から見える範囲で起きた出来事であり、そこにこの博物館ならではの強みがあります。
フロアを上りながらめぐる
館内は縦に積み重なった構成になっています。1階から順に上へ進んでいくのがいちばん効率のよい回り方です。フロアごとにテーマが分かれているので、階を追って進めば同じ部屋を行き来せずに済みます。
じっくり時間をかけたい見どころは次のとおりです。
- 港と海事の展示室:この埠頭が街の玄関口だった時代の模型や品々、記録が並んでいます。
- マオリの伝説の上演:ウェリントン港のマオリ名「テ・ファンガヌイ・ア・タラ(Te Whanganui-a-Tara)」にまつわる起源の物語を、短い舞台仕立てで語り直します。
- 最上階の屋根裏フロア:地元の珍品を集めた、肩の力を抜いて楽しめるコレクションです。のんびり歩いて回るのに向いています。
見学時間は1〜2時間ほどという人がほとんどです。解説パネルをすべて読み、上映も最後まで観るなら、長めにみておきましょう。
ワヒネ号の展示室
訪れた人の記憶に最も強く残るのがこの展示室です。1968年4月10日、島と島を結ぶフェリー「ワヒネ号(TEV Wahine)」は、ニュージーランドの観測史上でも指折りの猛烈な嵐の中、港の入口にあるバレット・リーフ(Barrett Reef)に乗り上げました。船はスティープル・ロック(Steeple Rock)付近で転覆し、51人が亡くなりました。その後も犠牲者は増えています。現在でも、この国の近代の海難事故として最もよく知られている惨事です。
博物館ではこの沈没事故のために専用の空間を設けています。引き揚げられた遺品や当事者たちの体験談のほか、当日の記録映像で構成した映画も観られます。事故現場からほど近い同じ港の上に立っているという事実が、展示にいっそうの重みを与えています。
この部屋では時間を惜しまず、映像もじっくり観てください。実際に多くの命が失われた惨事を扱っているので、子ども連れの方は先に自分で観てから、どこまで伝えるかを決めるとよいでしょう。
混雑を避けて訪れるには
混み具合はかなり予測しやすい博物館です。現在は毎日10:00〜17:00に開館しています。時期や祝日によって変わることがあるので、出発前にウェリントン博物館の公式サイトで今月の開館時間を確かめておきましょう。
平日は16:00〜17:00がいちばん空いています。ワヒネ号の展示室を静かに独り占めしたいときには狙い目ですが、閉館まで1時間しかありません。早めに入館して最後の時間帯に上の階を回すか、別の日に改めてこの1時間だけ訪れるとよいでしょう。
週末は少し手ごわくなります。11:00〜16:00は各フロアが人で埋まり、階段の流れも滞りがちです。週末しか行けないなら、混雑の波が押し寄せる前の10:00ちょうどに入館すれば、いちばんゆったり見られます。
入館と館内での過ごし方
館内は飾り気がなく実用的なつくりで、いくつかの点を心がけると快適に過ごせます。
- 入館料:最新の料金体系は公式サイトと受付で確認できます。古いブログ記事の情報をあてにせず、こちらで確かめてください。
- 荷物:階段や狭い展示スペースを通り抜けることになるので、手荷物はできるだけ少なくしましょう。
- 上演・上映:マオリの伝説の上演とワヒネ号の映像は繰り返し上映されています。次の回が何時に始まるかを受付で尋ね、それに合わせて回る順番を組み立てましょう。
- 支払い:ニュージーランドではカードやタッチ決済がほぼ主流です。チップはこの街のどこでも必要ありません。
- マナー:ワヒネ号の展示室では声を控えめにしましょう。沈没事故の関係者を家族に持つ来館者もいます。
混み合っている展示室は後回しにして、先へ進んでから戻ってくるのが賢明です。団体客はまとまって館内を移動する傾向があるので、通り過ぎたあとの部屋はたいてい数分で空きます。
ジャーヴォイス・キーへの行き方
博物館は歩いて楽しめるウェリントンのウォーターフロントの真ん中にあり、交通機関を使う必要はほとんどありません。ウェリントン駅からは港沿いを南へ向かって平坦な道を歩くだけで、10〜15分ほどで着きます。ジャーヴォイス・キーや近くのカスタムハウス・キー(Customhouse Quay)沿いにはバスも走っています。
目抜きの商店街ランブトン・キーからなら、どの脇道でも海の方へ下っていけば数分でクイーンズ・ワーフに出ます。近くにはウェリントン・アイサイト観光案内所(Wellington i-SITE)があり、この先の旅の地図や予約が必要なときに便利です。
市内の駐車スペースは限られており、埠頭周辺は人通りも多い場所です。徒歩かバスで向かうほうがほぼ確実に楽です。
ウォーターフロントで午後を過ごす
博物館は、港で一日をゆっくり過ごす計画にもうまく組み込めます。ウォーターフロントを南へ歩き、フランク・キッツ・パークを抜ければ、15分ほどで国立博物館のテ・パパ・トンガレワに到着します。テ・パパが国全体を扱うのに対し、ウェリントン博物館が取り上げるのはこの街だけです。両方を訪れれば、国全体の姿と地元の姿を両方とらえられます。
反対方向へ進むと、ランブトン・キーからウェリントン・ケーブルカーの麓の駅に行けます。ケーブルカーはケルバーンと植物園まで上っていき、たったいま歴史を学んできた港を振り返るように眺められます。
おすすめの回り方は、午前中に博物館を見学し、ウォーターフロント沿いで食事をしてから、午後にテ・パパへ足を延ばすかケーブルカーに乗るというものです。歩きすぎることなく、一日を充実させられます。
よくある質問
ウェリントン博物館がいちばん空いているのはいつですか?
平日は16:00〜17:00が最も空いています。ただし、閉館前の最後の1時間にあたります。週末の11:00〜16:00は最も混雑するので、なるべく避けましょう。週末に行くなら、10:00の開館と同時に入るのがおすすめです。
見学にはどのくらい時間をみておけばよいですか?
1〜2時間が目安です。マオリの伝説を描いた上演とワヒネ号の映像を両方とも最後まで観たい場合は、もう少し余裕をもたせてください。
ウェリントン博物館はどこにあり、どう行けばよいですか?
所在地はウェリントン中心部のジャーヴォイス・キー3番地(3 Jervois Quay)です。クイーンズ・ワーフの入口に建つ1892年築のボンド・ストアの中にあります。ウェリントン駅やランブトン・キー(Lambton Quay)からはウォーターフロント沿いに気軽に歩いて行けます。ジャーヴォイス・キー沿いにはバスも走っています。
開館時間を教えてください。
現在は毎日10:00〜17:00に開館しています。時期や祝日によって変わることがあるので、出かける前にウェリントン博物館の公式サイトで確認してください。
近くにはほかに何がありますか?
ウォーターフロントを南へ進み、フランク・キッツ・パーク(Frank Kitts Park)を抜けると、徒歩15分ほどでテ・パパ・トンガレワ(Te Papa Tongarewa)に着きます。内陸側へ数分歩けばランブトン・キーがあり、ケルバーン(Kelburn)や植物園へ上るウェリントン・ケーブルカーにも乗れます。
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