標高の高い街で過ごす3日間
この街のレースを左右するのは、何よりも薄い空気です。メキシコシティの標高はおよそ2,200メートルで、フォーミュラ1の開催地の中で最も高い場所にあります。ほかのどのサーキットと比べてもグリップが弱く、エンジンも冷えにくいのですが、そのぶんマシンはシーズン屈指の最高速度に達します。
2026年のメキシコシティGP(Gran Premio de la Ciudad de México)は、10月30日(金)から11月1日(日)までの開催で、決勝は日曜日に行われます。フォーミュラ1の週末は、金曜日がフリー走行、土曜日が予選という流れが一般的です。金曜日は観客が比較的少ないので、週末の混雑が始まる前に会場の様子をつかんでおくのに向いています。
スポーツ施設の中にあるサーキット
サーキットの名前は、リカルドとペドロのロドリゲス兄弟にちなんでいます。2人はメキシコが生んだ最初の偉大なレーシングドライバーで、いずれもレース中の事故で命を落としました。コースはイスタカルコ区(Iztacalco)にあるシウダ・デポルティーバ・マグダレナ・ミシュカの敷地内にあります。同じ施設には野球場や自転車競技場があり、マシンが走り抜けるコンサート用のスタジアムもここにあります。
1周は約4.3キロメートルで、決勝は71周で争われます。グリッドからターン1までの直線は1キロメートルを超えるため、オープニングラップの1コーナーは、1年のうちでも特に多くのマシンがひしめくブレーキングポイントになります。曲がりくねった中盤セクションを抜けると、マシンは大きく減速してスタジアムへと入っていきます。
スタジアムを抜ける1周
ここは、ほかのサーキットでは見られない区間です。最終セクターで旧ペラルターダのバンクを離れたマシンは、長くフォロ・ソル(Foro Sol)の名で親しまれてきた野球兼コンサート用のスタジアムへと進入します。三方を埋め尽くす高いスタンドの間を、マシンはゆっくりと縫うように走ります。表彰台はスタジアムのフィールドに設けられるため、表彰式は数万の観客席に見守られながら行われます。
この区間の魅力は、何といってもその大歓声です。スタジアム席にはメキシコのファンが最も多く集まり、チェッカーフラッグが振られたあとも長くコールが続きます。2026年は、再び地元ドライバーを応援できる年でもあります。セルジオ・“チェコ”・ペレスが新チームのキャデラックからグリッドに戻ってくるのです。
ターン1と比べると、ここで激しいバトルを目にする機会は多くありません。その代わり、低速で走るマシンを最も間近で眺められ、表彰台も正面から見ることができます。
死者の日と重なるレースウィーク
2026年の決勝は、死者の日の初日にあたる11月1日に行われます。そのため、この週末はひとつの街で2つのイベントを楽しめる機会になります。家庭ではマリーゴールドやろうそく、写真、パン・デ・ムエルト(死者のパン)を飾ってオフレンダ(家庭の祭壇)をしつらえます。市場には砂糖でできたドクロやオレンジ色のセンパスチルの花があふれます。
お祭りの雰囲気はサーキットにも広がりがちです。カトリーナのフェイスペイントをして来場するファンも多く、会場周辺のグッズにはドクロのモチーフがあしらわれています。
夜はサーキットを離れて過ごす観戦客も多くいます。
- ハマイカ市場(Mercado de Jamaica):市内最大の花市場です。サーキットからすぐの距離にあり、この時期はマリーゴールドで埋め尽くされます。
- ソカロとセントロ・イストリコ(歴史地区):例年、大規模な祭壇の展示やこの季節ならではのインスタレーションが登場します。
- サン・アンドレス・ミスキック(San Andrés Mixquic):南東部にある地区で、11月1日と2日の夜に墓地でろうそくを灯して夜通し故人をしのぶ行事で知られています。
マグダレナ・ミシュカへのアクセス
スポーツ複合施設の北側に沿って、茶色の路線であるメトロ9号線が走っています。便利な駅は次の3つです。
- シウダ・デポルティーバ駅(Ciudad Deportiva):メインゲートに向かうファンの多くが利用する駅です。
- ベロドロモ駅(Velódromo):施設の西側に行くときに便利です。
- プエブラ駅(Puebla):会場の東端にあります。
9号線は、パンティトラン駅(Pantitlán)で1号線と、チャバカノ駅(Chabacano)とセントロ・メディコ駅(Centro Médico)で2号線・3号線と接続しています。多くの旅行者が宿をとるローマ、コンデサ、セントロ・イストリコからも簡単に乗り継げます。ベニート・フアレス国際空港は北東にわずか数キロメートルの距離です。飛行機で週末だけ訪れるファンでも、開催地の中で屈指の早さでサーキットに着けます。
レース当日は、ビアドゥクト(Viaducto)やシルクイト・インテリオール(Circuito Interior)をはじめ、サーキット周辺の道路がひどく渋滞します。レース後は配車アプリの迎えもなかなか来ないため、ゲートから数ブロック歩いてから車を呼ぶファンが多くいます。
チケットと座席選び
フォーミュラ1の公式サイトには、メキシコシティGPのスケジュールとチケット購入ページへのリンクが掲載されています。チケット料金の情報は提供されていないため、本ガイドでは記載していません。各グランドスタンドの料金は、公式販売ページで確認できます。
座席は大きく3つのタイプに分かれます。
- スタジアム席:最も熱気があり、表彰台も見えます。ただし、マシンの走行スピードは遅めです。
- ターン1のグランドスタンド:長い直線の先にあり、スタートや追い抜きを楽しめます。
- 自由席エリア:タイプとしては1席あたりの料金が安めですが、土手に立つか座っての観戦となり、日陰も少なめです。
10月下旬は乾季の始まりにあたりますが、標高が高いため、涼しい朝でも日差しは強烈です。グランドスタンドの常連は、帽子と日焼け止めを持参します。日が傾くと気温が一気に下がるので、夜に備えて羽織るものも用意しています。
チランゴ(メキシコシティっ子)流のレース当日の過ごし方
地元の人々は、メトロの駅や屋台でのちょっとした支払いに、チャージ式の交通カード「統合交通カード(Tarjeta de Movilidad Integrada)」を使っています。このカードはメトロとメトロブスで利用できます。券売機に並ばずに済むよう、週末の初めに一度まとめてチャージしておくファンが一般的です。
サーキット内の飲食店やグッズ売り場では、ほとんどの店でカードが使えます。一方、ゲートの外の露店ではペソの現金しか受け付けないことが多いです。
入場ゲートではすべて手荷物検査があります。決勝が近づくにつれてゲートの流れは遅くなるため、観戦慣れした人はサポートレースが始まるよりずっと前に会場に着くようにしています。サーキット内はエリアごとに区切られているので、場内ではチケットに記載されたエリアから出ないようにしましょう。
スタッフや店員とのやりとりでは、次のようなフレーズが役立ちます。
- ドンデ・エスタ・ラ・プエルタ…?(¿Dónde está la puerta…?):「…番ゲートはどこですか?」
- トリブーナ(Tribuna):グランドスタンド
- ラ・サリダ・アル・メトロ(La salida al Metro):メトロへの出口
レースが終わると、何千人もの観客がいっせいにシウダ・デポルティーバ駅へ向かいます。表彰式やスタジアムでのお祝いを見届けながら、スタンドで30分から45分ほど待つファンも多くいます。ホームが比較的すいているベロドロモ駅やプエブラ駅まで歩く人もいます。
よくある質問
2026年のメキシコシティGPはいつ開催されますか?
2026年10月30日(金)から11月1日(日)までの開催です。決勝は11月1日(日)で、この日は死者の日(Día de Muertos)の初日にもあたります。
フォーミュラ1 メキシコシティGPの会場はどこですか?
会場はアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスです。メキシコシティ東部イスタカルコ区にあるスポーツ複合施設「シウダ・デポルティーバ・マグダレナ・ミシュカ(Ciudad Deportiva Magdalena Mixiuhca)」の中にあり、ベニート・フアレス国際空港からも近い場所です。
サーキットへはどう行くのがいちばん便利ですか?
メトロ9号線(茶色の路線)に乗り、シウダ・デポルティーバ駅、ベロドロモ駅、プエブラ駅のいずれかで降ります。3駅ともスポーツ複合施設のすぐ外側にあります。レース当日は道路がひどく混むため、タクシーや配車アプリよりもメトロのほうがたいてい早く着きます。
チケットはどこで買えますか?料金はいくらですか?
フォーミュラ1の公式サイトに大会情報とチケット購入ページへのリンクが掲載されています。各グランドスタンドや自由席エリアの料金は、公式販売ページで確認できます。本ガイドでは金額を記載していません。
雰囲気をいちばん楽しめる席はどこですか?
旧フォロ・ソルの中をマシンが走り抜けるスタジアムセクションは、サーキットで最もにぎやかなエリアで、表彰台もここにあります。スタートや追い抜きを見たいなら、ターン1のグランドスタンドがおすすめです。
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