ボーモント・ストリートに建つ神殿風の正面
淡い色の石でできたペディメントを8本のイオニア式円柱が支え、堂々とした階段が歩道まで続いています。通りの向かいにはランドルフ・ホテルが建っています。1840年代にチャールズ・ロバート・コッカレルが手がけたこのファサードを見ると、昔ながらの古典的な博物館を思い浮かべることでしょう。
ところが、中に入ると印象は一変します。正面の建物の奥には、2009年にリック・マザーが設計した増築部分があり、光あふれる真っ白なアトリウムが広がっています。各階の展示室は階段とガラス張りの通路で結ばれています。手前にはヴィクトリア朝の柱廊玄関、奥には現代的な中心軸があり、両方を目にすると建物全体のつくりがすっと理解できます。
英国初の公共博物館
アシュモレアン博物館の開館は1683年です。英国で最も古い公共博物館であり、大学博物館としては世界で最初の存在です。創設のもととなったのは、イライアス・アシュモールによる寄贈品でした。その多くは、庭師として知られるジョン・トラデスカント父子の収集品です。父子はロンドンの自宅を、世界各地から集めた珍品で埋め尽くしていました。
博物館は現在もオックスフォード大学の所有です。そのことは館内の静けさからも伝わってきます。展示室のベンチでは学生がスケッチをしていますし、解説パネルも急ぎ足の観光客ではなく、好奇心旺盛な人に向けて書かれています。収蔵品は、世界各地の文明が生んだ古代から現代までの美術品や古美術品に加え、美術工芸品にも及びます。一度ですべてを見るのは無理だと考えて、計画を立てておきましょう。
トラデスカントの方舟とアルフレッド・ジュエル
初めて訪れる人の多くは全部を見ようとして、結局どれもじっくり見られずに終わってしまいます。ここでしか見られない品をいくつかに絞り、それを軸に見学を組み立てるのがおすすめです。
- アルフレッド・ジュエル:アングロ・サクソン時代の金とエナメルの工芸品です。「アルフレッドが私を作らせた」という意味の銘が刻まれており、アルフレッド大王ゆかりの品とされています。
- ポウハタンのマント:貝殻で飾られた鹿革の壁掛けです。トラデスカントの旧蔵品の一つで、ヴァージニアのポウハタン族と関わりがあるとされています。
- ガイ・フォークスのランタン:1605年に議事堂の地下で捕らえられた際、フォークスが手にしていたと伝わるランタンです。
- 「メサイア」ストラディヴァリウス:1716年製のヴァイオリンで、ほとんど演奏されていない状態を保っています。現存するストラディヴァリの中でも最高の一挺とよく評されます。
- ウッチェロ作『森の狩猟』:騎手と猟犬が木立の中へ駆け込んでいく様子を描いたルネサンス期の板絵で、暗い画面が輝くように浮かび上がります。
このうちのどれかが目当てなら、当日インフォメーションデスクで展示場所を尋ねてみてください。保存修復や貸し出しのため、展示場所が移ることもあります。
フロアごとの見どころ
この建物は迷路のように捉えるより、テーマが積み重なったものと考えると回りやすくなります。1階は古代地中海世界のフロアです。エジプトのミイラの棺や祠堂、ギリシャ彫刻、ローマの石造物が並んでいます。上の階へ進むにつれてアジア、ヨーロッパと展示が移り、やがて絵画のフロアに至ります。収蔵品にはラファエル前派や印象派の作品も含まれています。
クレタ島のクノッソスを発掘したアーサー・エヴァンズは、かつてここの館長を務めていました。その縁でエーゲ海コレクションが充実しているので、ミノア文明の土器に興味がある方はぜひ立ち寄ってください。現代的なアトリウムがあるおかげで、いつでも中央の階段に出て別のフロアへ移れます。見終わった部屋を引き返す必要はありません。
混雑を避けて展示室を巡るには
ここはオックスフォードでも指折りの人気スポットで、混み合うのも当然といえます。次のような点を心がけると、落ち着いて見学できます。
- 開館時刻の10時に到着する。 観光バスの団体や学校の団体は午前中にかけて増えていくため、早めに入れば展示室を最もゆったり使えます。
- まず上へ向かう。 多くの来館者は入口近くのエジプト展示室から見始めます。階段で最上階まで上がり、下へ降りながら見ていけば、人の流れとは逆に進めます。
- 荷物は少なめに。 混雑時は手荷物検査があると考えておきましょう。小さなバッグなら手早く済みますし、大きな荷物は狭い展示室で邪魔になります。
- 写真撮影: 常設展示室では、フラッシュを使わない個人用の撮影はおおむね問題ありません。特別展には独自のルールがあることが多いので、入口の掲示を確認してください。
一般入館は無料で、入口付近には寄付箱が置かれています。見学に価値を感じたら、ここで寄付をするとよいでしょう。企画展はたいてい有料で、週末には売り切れることもあります。最新の料金はアシュモレアン博物館の公式サイトに掲載されており、時間指定の事前予約もそこで行うのが一番です。
アクセスと1日のスケジュール
住所はBeaumont St, Oxford OX1 2PHです。オックスフォード駅からは、ハイス・ブリッジ・ストリート(Hythe Bridge Street)とジョージ・ストリート(George Street)を東へ歩いておよそ10〜15分です。ロンドンからの長距離バスが発着するグロスター・グリーン・コーチステーションは、さらに近くにあります。
中心部へ車で乗り入れるのはやめましょう。駐車場はほとんどなく、市は環状道路沿いにパーク&ライドの駐車場を設けて、市内までバスを運行しています。博物館は現在、毎日10:00–17:00に開館しています。ただし祝日やイベントによって時間が変わるため、特にクリスマス前後は公式サイトで確認してください。
2〜3時間あれば、見どころに加えて1〜2フロアをじっくり見られます。昼食をはさめば、丸1日でも楽に過ごせます。館内にはカフェがあり、マザー棟の最上階にはレストランもあります。
周辺の見どころ
博物館は、オックスフォードでも特に散策が楽しいエリアの交差点に位置しています。徒歩10分以内で次の場所へ行けます。
- 殉教者記念碑とセント・ジャイルズ:博物館のすぐ東側にある、並木の続く広い通りです。
- ベリオール・カレッジとセント・ジョンズ・カレッジ:どちらもセント・ジャイルズとブロード・ストリートに面しています。一般公開の状況はカレッジごとに異なります。
- ブロード・ストリートとボドリアン図書館:シェルドニアン・シアターがあり、その先にはラドクリフ・カメラがあります。
- オックスフォード大学自然史博物館とピット・リヴァーズ博物館:パークス・ロードを北へ進んだところにあります。まだ収蔵品を見足りないなら、次に訪れるのにぴったりです。
おすすめは、午前中にアシュモレアン博物館を見学し、昼食後にブロード・ストリートを歩いてラドクリフ・カメラへ向かうプランです。締めくくりはピット・リヴァーズ博物館へどうぞ。ぎっしり詰まった展示ケースは、アシュモレアン博物館の開放的な展示室とは対照的です。
よくある質問
アシュモレアン博物館は無料で入れますか?
はい、常設展の一般入館は無料で、入口付近には寄付箱が置かれています。特別展はたいてい有料です。最新の料金や時間指定予約については、アシュモレアン博物館の公式サイトをご覧ください。
アシュモレアン博物館の見学にはどのくらい時間をかければよいですか?
アルフレッド・ジュエルや「メサイア」ストラディヴァリウス、エジプト展示室といった見どころを回るなら、2〜3時間みておきましょう。昼食休憩をはさんで全フロアをしっかり見たい場合は、丸1日の予定を組んでください。
オックスフォード駅からアシュモレアン博物館へはどう行けばよいですか?
オックスフォード駅からハイス・ブリッジ・ストリートとジョージ・ストリートを東へ進み、ボーモント・ストリートまで徒歩約10〜15分です。グロスター・グリーン・コーチステーションからはさらに近くなります。中心部は駐車場が少ないため車は避け、パーク&ライドのバスを利用しましょう。
開館時間を教えてください。
現在は毎日10:00–17:00に開館しています。祝日やイベントによって時間が変わることがあるため、訪れる前に公式サイトでご確認ください。
アシュモレアン博物館の近くには何がありますか?
すぐ外には殉教者記念碑とセント・ジャイルズがあり、向かいにはランドルフ・ホテルが建っています。ブロード・ストリート、ボドリアン図書館、ラドクリフ・カメラへは歩いて数分です。ピット・リヴァーズ博物館と自然史博物館は、パークス・ロードを北へ進んだ先にあります。
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