ガラス屋根の下で
扉をくぐったら、まず天井を仰いでみてください。床から伸びる細い鋳鉄の柱は、途中で枝分かれしてリブになり、ほぼ全面がガラスの屋根を支えています。降り注ぐ自然光に照らされて、骨格標本がずらりと並んでいます。自然界に捧げたゴシック様式の大聖堂のようだと感じる人も多いでしょう。建設を後押ししたヴィクトリア朝の人々も、おおむねそれを狙っていました。
建物が完成したのは1855年から1860年にかけてです。設計はアイルランドの建築家ディーン&ウッドワードで、批評家ジョン・ラスキンも熱心にこの計画を支持しました。外観は淡い色の石造りで、尖頭アーチが連なり、中央には急勾配の塔がそびえています。館内には広大な正方形の中庭ホールが一つあり、主要な展示はここに集められています。上の階にはアーケード状の回廊がぐるりと巡っています。
ドードー、メガロサウルス、そして触れる展示
この博物館で特に有名な「住人」は、すでに絶滅した生き物たちです。館が所蔵する「オックスフォードのドードー」は、軟組織が今も残っている唯一のドードー標本です。誰もがカメラを向けるのは、そばに置かれたドードーの模型のほうです。
ルイス・キャロルの筆名で知られるチャールズ・ドジソンは、近くのクライスト・チャーチで数学を教えていました。『不思議の国のアリス』に登場するドードーは、ここの標本から着想を得たという説が広く知られています。
中庭ホールでは、次の展示をぜひ探してみてください。
- メガロサウルスの骨:1824年にウィリアム・バックランドが記載しました。これによってメガロサウルスは、世界で初めて学名を与えられた恐竜となりました。
- ティラノサウルス・レックスの骨格レプリカ:中央通路の上に高くそびえています。
- 大型哺乳類やクジラの骨格標本:ガラス屋根の下に整然と並んでいます。
- タッチテーブル:化石や鉱物、毛皮などの標本を実際に手に取れます。触ってよいものには表示があります。
上階の回廊では、昆虫学や地質学をさらに詳しく紹介しています。1階が混んできたら���階段を上がってみる価値は十分にあります。
柱を読み解く
ほとんどの来館者が気づかずに素通りしてしまうのが、この細部です。中庭ホールを囲む石柱は、1本ずつ英国各地の異なる岩石から切り出されています。それぞれに岩石の種類と産地を記したラベルが付いているので、回廊全体が手で触れて学べる地質学の教材になっています。
次に、柱の頭部にある柱頭に目を向けてください。オシェイ兄弟をはじめとする石工たちが、実在する植物の葉や花、枝をモチーフに彫刻を施しています。建物の正面には、途中で彫るのをやめたままの彫刻もいくつか残っています。出入りの際に確かめてみてください。
1860年、この場所で起きた論争
1860年6月、建物がまだ完成途中だったこの場所で、英国科学振興協会の会合が開かれました。そこで行われたのが、科学史上もっとも繰り返し語られてきた論争の一つです。前年に発表されたダーウィンの進化論をトマス・ヘンリー・ハクスリーが擁護し、オックスフォード主教サミュエル・ウィルバーフォースと対決しました。
発言をそのまま記録した資料は残っていません。サルと祖父母をめぐる有名なやりとりも、年月とともに脚色されてきたものです。それでも、進化論が公の場で論じられたその空間に立つと、ドードーや恐竜の見え方が変わってくるはずです。館内には、この出来事を記念する銘板や展示があります。
塔に集うアマツバメ
毎年夏、おおよそ5月から8月にかけて、博物館の塔ではアマツバメが子育てをします。研究者たちは1948年からこのコロニーを観察し続けており、単一の鳥類集団を対象とした研究としては世界でも屈指の長さを誇ります。夏の夕方にパークス・ロードに立てば、甲高い声を上げて塔の周りを飛び交う姿が見られるかもしれません。
奥の扉からピット・リヴァース博物館へ
中庭ホールの一番奥にある出入口を抜けると、ピット・リヴァース博物館に入れます。大学が所蔵する考古学・人類学のコレクションで、雰囲気はまったくの別世界です。照明は薄暗く、木製の展示ケースには品々がぎっしりと詰め込まれています。展示は地域別ではなく、品物の種類ごとに分類されています。
二つの博物館は入口が共通なので、両方を見る前提で時間の計画を立てましょう。自然史の中庭ホールには1〜2時間を見込んでください。ピット・リヴァース博物館にはさらに最低1時間は必要です。特に上階は、じっくり見て回るほど発見があります。
パークス・ロードへのアクセス
所在地はParks Rd, Oxford OX1 3PWです。大学のサイエンス・エリアの中にあり、赤れんがの縞模様が印象的なキーブル・カレッジ(Keble College)の向かいに建っています。すぐ裏手からはユニバーシティ・パークスが広がっています。
- 市中心部から:ブロード・ストリートから北へ向かい、シェルドニアン・シアターの前を過ぎてパークス・ロードを進みます。徒歩で約10分です。
- オックスフォード駅から:中心部を抜けて歩くと約20〜25分かかります。市中心部行きの路線バスに乗り、そこから歩くこともできます。
- 車の場合:オックスフォード中心部は駐車場の確保が困難です。環状道路沿いにあるパーク・アンド・ライドに車を停め、バスで中心部に入るのが一般的です。
見学のあとは、ユニバーシティ・パークスに足を延ばし、チャーウェル川沿いを散策するのもいいでしょう。南へ戻れば、ラドクリフ・カメラやボドリアン図書館にも数分で行けます。
訪問のタイミングと館内マナー
平日の午前10時〜午後6時は比較的すいているので、平日の午前中に訪れるのが無難です。週末は正午〜午後4時を避けましょう。この時間帯は最も混雑し、家族連れで中庭ホールがいっぱいになり、タッチテーブルにも人だかりができます。週末でも、午前10時〜午後6時の早い時間か遅い時間を選べば、ゆったり見学できることがあります。
開館時間は本ガイドでは確認できていません。また、大学の博物館は祝日やイベントに合わせて開館時間を変更することがあります。お出かけ前に公式ウェブサイトで確認してください。
一般入場は以前から無料で、予約も必要ありません。入口近くに寄付箱が置かれており、感謝の気持ちを寄付で示すのが通例です。特別展やイベントは条件が異なる場合があるので、最新情報は公式サイトで確認してください。
快適に見学するためのポイントをいくつか紹介します。
- 中庭ホールが混んでいたら上階から回りましょう。 回廊は比較的静かで、骨格標本を見下ろす絶好の眺めも楽しめます。
- 触ってよいのは表示のあるものだけです。 タッチテーブルの標本は手に取れますが、展示台に据えられた標本には触れないでください。
- フラッシュはオフにしましょう。 特にピット・リヴァース博物館には光に弱い展示品が多くあります。
- 無理のないペースで回りましょう。 二つの博物館を一度に見るのはかなりのボリュームです。奥の扉をくぐる前に、何を優先して見るかを決めておくと安心です。
よくある質問
オックスフォード大学自然史博物館が最もすいているのはいつですか?
平日の午前10時〜午後6時が比較的すいています。週末は正午〜午後4時が最も混み合うので、できればその前後の時間に訪れてください。
オックスフォード駅から博物館へはどう行けばよいですか?
市中心部を抜けてパークス・ロードまで歩くと約20〜25分です。バスで中心部まで行き、ブロード・ストリートから北へ10分ほど歩く方法もあります。
見学にはどのくらいの時間が必要ですか?
自然史のコレクションを見るなら1〜2時間を見込んでください。中庭ホールの奥から入れるピット・リヴァース博物館も見る場合は、さらに最低1時間を追加しましょう。
チケットの予約は必要ですか?
一般入場は以前から無料で、予約は不要です。寄付は歓迎されています。特別展やイベントは条件が異なる場合があるので、最新情報と開館時間は公式ウェブサイトで確認してください。
周辺には何がありますか?
ピット・リヴァース博物館が館内でつながっています。すぐ裏手にはユニバーシティ・パークスとチャーウェル川があり、パークス・ロードを挟んだ向かいにはキーブル・カレッジがあります。南へ少し歩けば、ラドクリフ・カメラやボドリアン図書館にも行けます。
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